コラム 暮らしを彩るワンポイント菓子研究家・福田里香さんの
台所はいつもセレンディピティ

第13回 
麻婆“おぼろ”豆腐

中華料理の定番・麻婆豆腐も、福田さんの手にかかると、簡単なのにおしゃれでおいしいごちそうに変身します。

麻婆“おぼろ”豆腐

師走です。寒風の季節に食べたくなるのが、ピリッと辛くて、ふわっと柔らかい、麻婆“おぼろ”豆腐です。麻婆豆腐は普通、絹ごしか木綿で作りますが、あるとき、おぼろ豆腐で作ってみたら、これがおいしかったんです。普通の麻婆は豆腐をサイコロに切り分けますが、おぼろ豆腐で作る場合は切らずに、丸ごと盛り付けるのがコツといえばコツでしょうか。
第13回 麻婆“おぼろ”豆腐/菓子研究家・福田里香さん の【台所はいつもセレンディピティ】
熱々をたっぷりすくって、取り分ける。おぼろ豆腐1丁で2~3人分。

おぼろ豆腐のこと

切ったら形が保てないほど柔らかいお豆腐の存在を知ったのは、佐賀県唐津市の川島豆腐店の「ざる豆腐」から。大きなざるにゆるく固めた出来立てのお豆腐は味わいも見た目も新鮮で、その頃ちょうど発達し始めた宅配便の普及と共に、掬(すく)えないほど柔らかいお豆腐のおいしさが日本中に広まったのでした。今ではおぼろ豆腐といったような名前で、いろんなメーカーが柔らかいお豆腐を作っています。木綿、絹ごし、おぼろと料理によって使い分けられるようになったのは、うれしいことです。
第13回 麻婆“おぼろ”豆腐/菓子研究家・福田里香さん の【台所はいつもセレンディピティ】
近所のスーパーではいつも2~3社のおぼろ豆腐を販売。今日は京都のものを購入。

お鍋ひとつと電子レンジで作る

ゴマ油 小さじ2を鍋にそそぎ、すりおろした生姜 小さじ1、長ネギのみじん切り 10cm分、赤唐辛子 1本(あれば醤油漬けの実山椒を入れても◎)を軽く炒めたら、豚ひき肉 200gを入れ、しっかり火が通るまで炒める。1cm角のサイコロに切った茄子 1本を加えて油を吸わせるように軽く炒めたら、酒 大さじ1とみりん 大さじ1を加えてさらに炒める。水 150mlと味噌大さじ1、醤油 大さじ1を加えて、ひたひたになるまで煮詰め、塩で味を整える。煮詰めている間におぼろ豆腐を汁ごと耐熱皿に移し、500wで3~4分加熱し、芯まで温める。
第13回 麻婆“おぼろ”豆腐/菓子研究家・福田里香さん の【台所はいつもセレンディピティ】
煮切る手前で火を止める。
第13回 麻婆“おぼろ”豆腐/菓子研究家・福田里香さん の【台所はいつもセレンディピティ】
豆腐のパックに皿をピッタリあてて逆さにするときれいに移せる。

ご飯にタップリのせて

お豆腐が熱々になったら、具材をのせて、薬味を振りかけます。今回は粗くちぎったバジルですが、小ねぎや青しそ、夏なら茗荷などでもおいしい。副菜のひとつとして食べてもいいし、お酒の肴にするのもおすすめですが、炊き立てのご飯とよく混ぜて食べてみてください。食欲が増すこと請け合いです。半熟卵を落とせばさらに旨味がましますよ。
第13回 麻婆“おぼろ”豆腐/菓子研究家・福田里香さん の【台所はいつもセレンディピティ】
熱々のおぼろ豆腐に豚ひき肉と茄子の具材は相性抜群。
第13回 麻婆“おぼろ”豆腐/菓子研究家・福田里香さん の【台所はいつもセレンディピティ】
ご飯とよく混ぜてもおいしい。
福田 里香
福田 里香(ふくだ・りか)さん
福田里香さんが教えてくれる、食卓が華やかになるおいしいレシピを紹介します。
菓子研究家。武蔵野美術大学出身。フルーツの専門店で勤めたのち、独立。果物を使ったオリジナリティあふれるスイーツや料理で注目を集める。雑誌でフードコラムを担当しながら、『いちじく好きのためのレシピ』(文化出版局)『新しいサラダ』(KADOKAWA)『R先生のおやつ』(文芸春秋)など料理本を多数出版。漫画への造詣も深く、作品に登場する食べ物の表現への考察は漫画ファンのみならず、漫画家からの評価も高い。美しい料理を次々とアップするInstagram(@riccafukuda)にはおいしいもの好きが集う。
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