コラム 暮らしを彩るワンポイント菓子研究家・福田里香さんの
台所はいつもセレンディピティ

第16回 
菜の花のひとり鶏団子鍋

春を代表する野菜・菜の花を存分に楽しむシンプル鍋を紹介します。薬味たっぷりの鶏団子とほろ苦い菜の花の相性は抜群です。

ひとり鍋のすすめ

3月は名残り雪が降ったりと、じつは肌寒い日も多いですよね。厚手のセーターを仕舞うには早すぎるし、食卓には温かい料理が手放せません。だけど、薄手のワンピースに袖を通したくなるし、「春」を味わいたくなります。おすすめは、材料が少なく、さっと作れる「ひとり鍋」。具材は菜の花と鶏団子だけ。鶏団子には、隠し味にすりおろした生姜とねぎをたっぷり混ぜるから、食後は身体がホカホカに。これは菜の花を食べるための料理。ほろ苦い春をあたたかく召し上がれ。
第16回 菜の花のひとり鶏団子鍋/菓子研究家・福田里香さん の【台所はいつもセレンディピティ】
菜の花と鶏団子はおいしい組み合わせ。鍋の具材は少ないほうが好み。

コツは菜の花の水切り

まずは菜の花の下処理からはじめましょう。半束ほど(お好みでもっとたくさんでも!)用意し、さっと水洗い。茎の先を冷水に浸け、キッチンばさみで水切りします。そのまま鍋に入れる直前まで水に浸け、しっかり水分を与えてください。それだけで味がグッとよくなります。つぎは小鍋に昆布を入れ、8分目まで水を注いでください。鍋は「鍋物専用鍋」じゃなくても大丈夫。わたしは煮物や味噌汁に使うアルミ鍋で作っています。
第16回 菜の花のひとり鶏団子鍋/菓子研究家・福田里香さん の【台所はいつもセレンディピティ】
菜の花だって切り花と一緒。水を吸わせるとシャキッとする。
第16回 菜の花のひとり鶏団子鍋/菓子研究家・福田里香さん の【台所はいつもセレンディピティ】
材料:鶏ひき肉 150g、塩 小さじ1/3、すりおろした生姜 大さじ1、みじん切りしたねぎ 15cm、昆布 8cm、レモンと醤油 適宜

鶏ひき肉は練りすぎない

次は、鶏団子です。ボウルに鶏ひき肉 150g、塩 小さじ1/3、すりおろした生姜 大さじ1、みじん切りしたねぎ15cmを入れ、軽く混ぜ合わせます。ふわっと軽い食感にしたいから、あまり混ぜすぎないようにしています。これはお好みなんですが、粘りが出るほどしっかり混ぜると詰まってみっちりした歯触りに。小鍋を火にかけ、沸騰したら、両手にスプーンを1本ずつ持ち、片方で生地をすくい、もう片方で鍋に落としていきます。団子が浮き上がって数分したら、菜の花を加え、1分煮たら火を止めてできあがり。
第16回 菜の花のひとり鶏団子鍋/菓子研究家・福田里香さん の【台所はいつもセレンディピティ】
沸騰したお湯に投入すれば、団子に卵や片栗粉を入れなくても固まる。
第16回 菜の花のひとり鶏団子鍋/菓子研究家・福田里香さん の【台所はいつもセレンディピティ】
菜の花は食べやすいように半分に切る。茎が太い場合は十字に切れ目を入れる。

たれは、レモン醤油

菜の花はすぐに火が通るから、煮過ぎないのがコツ。緑の色が鮮やかになったら、もう食べ頃です。「菜の花のしゃぶしゃぶ」というイメージで作ってみてください。醤油にレモン果汁をたっぷり絞ったたれに、煮汁ごと入れていただきます。市販のポン酢でもおいしい。途中で七味や黒胡椒、練り芥子を添えて“味変”を楽しんでも。〆はやっぱり、鍋に残った汁に余りごはんを加えて卵でとじておじや、かな~。
第16回 菜の花のひとり鶏団子鍋/菓子研究家・福田里香さん の【台所はいつもセレンディピティ】
七味をかけて。春の葉野菜をたっぷり食べるために肉団子があるというバランス。
福田 里香
福田 里香(ふくだ・りか)さん
旬の野菜を一番おいしく食べる方法を福田里香さんが教えてくれます。
菓子研究家。武蔵野美術大学出身。フルーツの専門店で勤めたのち、独立。果物を使ったオリジナリティあふれるスイーツや料理で注目を集める。雑誌でフードコラムを担当しながら、『いちじく好きのためのレシピ』(文化出版局)『新しいサラダ』(KADOKAWA)『R先生のおやつ』(文芸春秋)など料理本を多数出版。漫画への造詣も深く、作品に登場する食べ物の表現への考察は漫画ファンのみならず、漫画家からの評価も高い。美しい料理を次々とアップするInstagram(@riccafukuda)にはおいしいもの好きが集う。
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