第25回
油揚げクルトンの春菊サラダ
油揚げはクルトンです。さっと作れて和から洋まで何にでも合う春味の副菜。
春のテーブルはサラダから
春の陽気になれば、自然と緑の葉物野菜が生で食べたくなります。つい最近まで野菜には火を通して温かくして食べていたのに。季節の巡りを体感するのは、こんなときです。食事は野菜から食べ始めると身体に負担が少ないと言われています。野菜に含まれる食物繊維は、動脈硬化等の原因とされる食後高血糖を防ぐ効果が期待できるからです。春菊は抗酸化作用が強いβカロチンを豊富に含む緑黄色野菜。茎を折ると香る、あの独特の清らかな芳香には胃腸の調子を整える効果があるそうです。
春菊とごまの風味は相性がよく、油揚げのクルトンが歯触りのアクセントに。春の苦みと香気を楽しむサラダ。
油揚げはクルトンに最適
春菊は葉の部分を使います。まず、春菊の葉を茎から外し、冷水に10分ほど浸けてシャキッとさせます(茎は捨てずに後で利用)。サラダスピナーなどでしっかり水気を切ってください。室温が高い日は水切り後、和える直前まで冷蔵庫に入れておくのもコツ。次に油揚げをフライパンで空焼きして、クルトンを作りましょう。全体にパリッとしておいしそうな焼き色が付いたら、1cm角に切り分けます。
材料(2~4人分)
春菊の葉 7本分油揚げ 1枚
炒りごま 大さじ1
ごま油 大さじ1
好みのビネガー(または酢) 小さじ2
塩 適宜
油を引かないフライパンに油揚げを入れ、ときどきひっくり返しながら両面こんがり焼く。
焼いた油揚げを1cm角に切る。
春菊を和えるコツ
ボウルに春菊の葉を入れ、炒りごまをふり、ごま油をまわしかけます。よく混ぜて全体に油がまわったら、ビネガーを振り入れ、再度混ぜます。最後に油揚げを加え、ざっくり混ぜたら、器に盛り付けてください。塩を忘れたわけではないですよ。塩はまだ入れません。
春菊に炒りごまとごま油を和え、全体に照りが出たところ。ここにビネガーを振り入れる。
酢と油はお好みのもので作ってください。家にある調味料と油を並べてみました。左端の2本はバルサミコ酢。真ん中の2本は白ワインビネガーと赤ワインビネガー。右端はごまの香りが強い金白胡麻油。その日の気分で使っています。
塩のタイミングと茎の始末のこと
器に盛り付けたら、各自お好みの量の塩をふってください。葉野菜は、塩をふった途端に水気が出てシナシナになってしまうので、食べる直前に塩をふるようにしています。そのほうが断然おいしい。余った春菊の茎は細かい小口切りにして別の料理に使います。ネギやセリの代用と考えれば、味噌汁や炒め物、肉団子に混ぜたりするイメージが湧きますよね。わたしは卵焼きに入れてみました。
全量を大皿に盛ったところ。サラダとしてたっぷりメインに食べたいなら2人分、料理に添えて食べるなら4人分になる。
銘々皿に1/2量をたっぷり盛り付けたところ。取り分けて食べる直前に各自で塩をふっていただきます。
バルサミコ酢を追いがけしたところ。手持ちがあれば、ふってみてください。甘味とコクが出てさらにおいしくなります。
春菊の茎は薄い小口切りにして別の料理に使えます。
7本分の茎を、卵3個に混ぜて作った卵焼き。春菊の茎は香りよく、サクサクと小気味よい食感。

福田 里香(ふくだ・りか)さん
菓子研究家。武蔵野美術大学出身。フルーツの専門店で勤めたのち、独立。果物を使ったオリジナリティあふれるスイーツや料理で注目を集める。雑誌でフードコラムを担当しながら、『いちじく好きのためのレシピ』(文化出版局)『新しいサラダ』(KADOKAWA)『R先生のおやつ』(文芸春秋)など料理本を多数出版。漫画への造詣も深く、作品に登場する食べ物の表現への考察は漫画ファンのみならず、漫画家からの評価も高い。美しい料理を次々とアップするInstagramにはおいしいもの好きが集う。