コラム 暮らしを彩るワンポイント菓子研究家・福田里香さんの
台所はいつもセレンディピティ

第24回 
みぞれ豚しゃぶのひとり鍋

大根と豚肉だけのすぐに作れるひとり鍋を紹介します。アツアツを好きな味付けで。

ひとり鍋のすすめ 其の二

もともと鍋の具材は少ないほうが好き。去年の3月頃に「菜の花のひとり鶏団子鍋」をご紹介したのですが、これがなかなか好評でした。今回は「冬」を味わうひとり鍋です。冬野菜の代表といえば大根。この大根に含まれる消化酵素は、食べ物の消化を促進し胃もたれを防ぐ効果を期待できます。年末年始で疲れた胃腸にも、すごくやさしい鍋料理です。具材は薄切りのしゃぶしゃぶ用の豚肉とおろし大根の出汁だけ。だけど、それがおいしいんです。
第24回 みぞれ豚しゃぶのひとり鍋/菓子研究家・福田里香さん の【台所はいつもセレンディピティ】
覗くと鍋はみぞれ混じりの雪模様。薄切りの豚肉とおろし大根、具材は少ないほうがおいしい。

豚肉に下味をつけるのがコツ

材料が少なく、さっと作れるのがひとり鍋のよいところ。まずは豚肉の下ごしらえからはじめましょう。ボードやバットに豚肉を並べ、塩と黒胡椒を全体に薄くふります(画像参照)。ガラスボウルの中の塩と黒胡椒は、鍋の仕上げ用です。大根はすりおろす必要はありません。ピーラーで皮をむき、粗い乱切りに。大根をミキサーに入れ、分量の水を注ぎ、30~40秒ほど撹拌してください。だいたいなめらかになったらOKです。
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材料(1人分)

しゃぶしゃぶ用薄切り豚肉 80~100g
大根 400g
昆布 8cm
塩と黒胡椒 適宜
水 400ml
*あれば、レモンか柚子の輪切り 1切れ
*薬味はお好みで、からし、醤油などを用意してもいい。
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ミキサーで粉砕しやすいように、皮をむいた大根を乱切りにする。
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ミキサーで撹拌すれば、あっという間。ミキサーがなければ、丸ごとの大根をおろし金ですりおろし、水を注ぐといい。

大根汁を火にかける

小鍋に昆布を入れ、大根汁を注ぎ、火にかけます。沸騰したら、そのまま4~6分煮てください。途中で灰汁が浮いたらすくって取り除きます。不透明で真っ白だった大根汁が透明になったら、レモンの輪切りを加える。みぞれ出汁のできあがり。ごく弱火にして豚肉を2枚ほど入れて、肉に火を通します。ひとりで食べる鍋ですから、自分のペースに合わせて、肉に火入れをするのがおいしくいただくコツ。赤いところが無くなり、全体が淡いピンク色になったら食べ頃です。
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白い部分が灰汁。灰汁が浮いてきたらレードルですくって取り除く。
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鍋を卓上コンロに移したところ。一番上の肉はまだ赤い。豚肉なので完全に赤味が消えるまで火を通す。

〆めのおすすめは焼き餅

豚肉がきれいなピンク色になったら、小鉢に取り分け、熱々のみぞれ出汁をたっぷり注ぎます。塩、胡椒をふって召し上がってください。いくらでも食べられる、あっさりと滋味のあるおいしさです。お醤油を少々加えたり、からしを添えてもおいしいです。最後のお楽しみは、お鍋の〆め。ご飯にうどんは鉄板、春雨もいいですね。季節柄、冷蔵庫に残っているお餅を入れるのがわたしは好き。大根おろしで和えた「みぞれ餅」があるくらいですから、もともと相性がいいんです。
第24回 みぞれ豚しゃぶのひとり鍋/菓子研究家・福田里香さん の【台所はいつもセレンディピティ】
赤味が取れてうっすらピンク色になったら食べ頃。器に取り、塩、胡椒で味を整える。少々、醤油をたらしてもおいしい。からしを添えても合う。
第24回 みぞれ豚しゃぶのひとり鍋/菓子研究家・福田里香さん の【台所はいつもセレンディピティ】
〆めは焼き餅がおすすめ。パリッと焼いたお餅に醤油をひとたらし。手で揉んだ焼き海苔をたっぷりふる。
福田 里香
福田 里香(ふくだ・りか)さん
菓子研究家。武蔵野美術大学出身。フルーツの専門店で勤めたのち、独立。果物を使ったオリジナリティあふれるスイーツや料理で注目を集める。雑誌でフードコラムを担当しながら、『いちじく好きのためのレシピ』(文化出版局)『新しいサラダ』(KADOKAWA)『R先生のおやつ』(文芸春秋)など料理本を多数出版。漫画への造詣も深く、作品に登場する食べ物の表現への考察は漫画ファンのみならず、漫画家からの評価も高い。美しい料理を次々とアップするInstagramにはおいしいもの好きが集う。
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