コラム 暮らしを彩るワンポイント菓子研究家・福田里香さんの
台所はいつもセレンディピティ

第36回 
春野菜のメネストラ

水で煮るだけ。スペイン式煮物で、春野菜をおいしく。
第36回 春野菜のメネストラ/菓子研究家・福田里香さん の【台所はいつもセレンディピティ】

余った野菜も入れて

メネストラは、スペイン北部の野菜の煮物です。聞きなれない料理名ですが、お隣の国イタリアのミネストローネと発祥は同じと言われています。ミネストローネより汁気が少ないのがメネストラ、と覚えてください。野菜はすべて塩水で煮るだけと簡単なのにすごく美味しい。春から初夏にかけて登場する野菜がたっぷり食べられます。また、冷蔵庫に少しずつ野菜が余ってしまうのは、みんなが経験するあるある現象ですが、メネストラにすればスッキリ片付きます。

野菜は水から煮るだけ

今回、用意した具材の野菜はこの7種類。絶対入れた方がいいのは玉ねぎ、じゃがいも、人参、さやいんげんあたり。家に新玉ねぎや新じゃが、春人参があれば、ぜひ使いましょう。芽キャベツはキャベツに、グリーンアスパラやスナップえんどうは絹さややブロッコリー、グリーンピース等に変更してもおいしくできます。野菜を煮ている間に、生ハムを炒めて出汁の素を作って混ぜれば完成です。さあ、作ってみましょう。
第36回 春野菜のメネストラ/菓子研究家・福田里香さん の【台所はいつもセレンディピティ】

材料(約4人分)

【具材】
玉ねぎ 1個(150g)
じゃがいも 1個(150g)
人参 1/2本(約90g)
さやいんげん 5本(60g)
芽キャベツ 3個
グリーンアスパラ 2本
スナップえんどう 6本
塩 4g
【出汁材料】
生ハム 30g
ニンニク 1片
小麦粉 大さじ1
オリーブ油 大さじ1+1/2
◎生ハムをベーコンに変更してもいい。
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1 玉ねぎと人参、じゃがいもは皮をむく。玉ねぎと人参は2cm角に、じゃがいもは3cm角に切る。
2 芽キャベツは半分に切る。
3 さやいんげんとスナップえんどうは筋を取り、幅3cmに切る。
4 出汁に使うニンニクは皮をむき、みじん切りにする。
5 鍋に野菜を1、2、3の順に入れ、水1リットルを注ぎ、塩を加える。火にかけ、沸騰したら弱火にして30分煮る。

生ハムとニンニクで出汁を作る

野菜を煮ている間にささっと出汁を作りましょう。30分煮た野菜の煮汁は、それだけでとてもおいしいスープストックですが、生ハムを加えることで旨味が、炒めたニンニクからは風味が加わります。調理時間は3分。生ハムをニンニクとオリーブ油で炒めて、小麦粉を加えるだけで出汁の素が完成します。
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6 生ハムは粗みじん切りにする。
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7 弱火にしたフライパンでオリーブ油とニンニクを軽く炒め、6を加えてさらに炒める。
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8 生ハムから油が出たら、小麦粉を加えてさらに1分炒める。小麦粉が泡状にフツフツしたら火を止める。
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9 鍋の煮汁をレードルに2杯ほど、8に加えてよく混ぜる。
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10 野菜を30分煮たら、9を汁ごと鍋に戻す。さらに5分煮て馴染んだら出来上がり。

味変はゆで卵で

熱々のメネストラを器に注いだら、野菜の味わいを生かした煮物の完成です。お米にもよく合いますよ。翌日煮直してとろとろになったバージョンも好きです。このまま食してもすごくおいしいんですが、スペインではメネストラにゆで卵をのせたり、混ぜたりして食べるのもポピュラー。この食べ方もおいしいんです。そういえば、日本の家庭料理でも煮物の上に卵を割って卵とじにしたりしますよね。まさにその感覚です。
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11 汁気の少ない具沢山のスープともいえる仕上がり。たっぷり盛り付けてください。
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12 黒胡椒をふったゆで卵をのせて潰しながら食べるのもおすすめ。
福田 里香
福田 里香(ふくだ・りか)さん
菓子研究家。武蔵野美術大学出身。フルーツの専門店で勤めたのち、独立。果物を使ったオリジナリティあふれるスイーツや料理で注目を集める。雑誌でフードコラムを担当しながら、『いちじく好きのためのレシピ』(文化出版局)『新しいサラダ』(KADOKAWA)『R先生のおやつ』(文芸春秋)など料理本を多数出版。漫画への造詣も深く、作品に登場する食べ物の表現への考察は漫画ファンのみならず、漫画家からの評価も高い。美しい料理を次々とアップするInstagramにはおいしいもの好きが集う。
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