第37回
長芋のタプナード和え
初夏においしい、長芋とオリーブの一皿。
オリーブの香味とほのかなニンニク風味は、長芋の歯触りを最高に引き立てます。
タプナードは万能調味料
タプナードは、フランス南東部のプロヴァンス地方のオリーブとニンニクを使った郷土料理です。そのままパンに塗ってペーストにする他、パスタや魚料理のソースにと万能に使えます。長芋と和えれば、和洋どちらにもよく合うおいしい副菜の出来上がり。ふと長芋と合うのでは?と思い立ち、作ってみた自分を褒めたいくらいに気に入っている組み合わせです。タプナードは多めに作っておくのもおすすめ。保存容器に入れて、冷蔵保存が可能です。日持ちは1週間程度。
まずはタプナードを作る
作り方はとても簡単。全部包丁で切るだけで作れます。最初にタプナードを仕上げます。オリーブとニンニクを包丁で粗くみじん切りにしたら、アンチョビを加えて、さらに細かくみじん切りにしてください。すり鉢を持っているかたは、すりこぎですりつぶせば、さらに本格的です。これを小さめのボウルに入れて、オリーブ油と塩こしょうを加え、よく混ぜれば出来上がり。あとは皮をむいて乱切りにした長芋と和えるだけで完成です。
材料(約2~4人分)
長芋 1/2 本(200~250g程度)【タプナードソース】
種抜き黒オリーブ 30g
アンチョビ 2切れ
ニンニク 1/2片
オリーブ油 大さじ1+1/2
塩 適宜
こしょう 適宜
1 オリーブとニンニクを包丁で粗くみじん切りにする。アンチョビを加えて、さらに細かくみじん切りにする。
2 1と残りのタプナードソースの材料をよく混ぜる。
長芋は乱切りがおいしい
長芋をタプナードと和えるなら、乱切りがおすすめです。表面積が大きくなるから、タプナードがまとわりつく面積が増えますし、よく絡みます。また、長芋のおいしさは粘りと歯応えです。乱切りにすると尖った薄い部分と厚みのある部分ができますから、長芋のサクサク感がより楽しめます。皮をむいたら、長芋を1/4ずつ回転させながら切り進むのが乱切りのコツです。
3 長芋の皮をむき、厚さ1cmのところに斜めに包丁を入れて切り落とす。
4 長芋を1/4回転させて、同様に厚さ1cmのところに斜めに包丁を入れて切り落とす。
5 さらに1/4回転させて、同様に厚さ1cmのところに斜めに包丁を入れて切り落とす。
6 「1/4回転させて切り落とす」を繰り返す。
7 乱切りにした長芋とタプナードをよく和える。
お酒の肴にもぴったり
白い長芋にオリーブの黒がよく映える一皿は、おかずとしても優秀ですが、お酒のおつまみにも打ってつけなんです。アンチョビの発酵風味が利いているんだと思います。ところで常々、タプナードは長芋に限らず、根菜と和えるとおいしいなと思っています。生の大根にかぶ、それから茹でたじゃがいもや里芋にもよく合うのでぜひ試してみてください。
8 しっかりと絡まったら器に盛り付ける。

福田 里香(ふくだ・りか)さん
菓子研究家。武蔵野美術大学出身。フルーツの専門店で勤めたのち、独立。果物を使ったオリジナリティあふれるスイーツや料理で注目を集める。雑誌でフードコラムを担当しながら、『いちじく好きのためのレシピ』(文化出版局)『新しいサラダ』(KADOKAWA)『R先生のおやつ』(文芸春秋)など料理本を多数出版。漫画への造詣も深く、作品に登場する食べ物の表現への考察は漫画ファンのみならず、漫画家からの評価も高い。美しい料理を次々とアップするInstagramにはおいしいもの好きが集う。