細胞の低酸素状態とは?
私たちが呼吸によって肺に取り込んだ酸素は、血液中のヘモグロビンと結合した後、全身を巡る過程で、様々な細胞に引き渡されます。成人20代の動脈血の酸素量(酸素分圧※)は健常者で約100Torrですが、臓器・組織に酸素を受け渡す毛細血管ではその40%程度となり、細胞レベルではさらに低下し、筋肉(骨格筋)の細胞では26.1%という研究報告があります。
それだけ、細胞が利用できる酸素量は限られているのです。
- 酸素分圧…大気中の酸素の圧力のことであり、酸素量を表す指標。

「細胞の低酸素状態」とは、酸素量の低下だけでなく、そこに加齢や運動不足、身体の不調、心身ストレスや外部環境の変化が加わることで、酸素の利用能力も低下した状態と定義しました。
そして残念ながら私たちは細胞がおかれている状況を事細かに感じ取ることはできないため、知らず知らずのうちに「細胞の低酸素状態」になっており、生命活動を維持するだけのエネルギーを産生しにくくなっている可能性があるのです。
細胞の低酸素状態を助長する
その他の要因
- 体
- ストレス・貧血・肥満
- 行動・習慣
- 飲酒・マスク着用・口呼吸・睡眠不足・デスクワーク
- 環境
- 高地・低気圧・PM2.5
細胞の低酸素状態が続くと、ミトコンドリアに何が起こる?
ミトコンドリアの酸素利用能力を向上するには、加圧トレーニングや低酸素トレーニングなど、一時的に筋肉中の細胞を低酸素環境にし、負荷をかけて運動することが有効であると知られています。
しかし、加齢や運動不足、疾患などで酸素の利用量や利用能力が低下した細胞の低酸素状態が慢性的になると、むしろミトコンドリアの数(量)と機能(質)に影響を及ぼし、ミトコンドリアの酸素利用能力をさらに低下させます。結果、限られた酸素を有効活用できず、さらなるエネルギー不足につながっていきます。
ミトコンドリアの数(量)と機能(質)への影響
細胞の低酸素状態が続くと、ヒトの体は「エネルギーをそれほど必要としない」と判断し、ミトコンドリアの数(量)を減らしてしまうだけでなく、ミトコンドリアの機能(質)をも低下させてしまいます。

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