日常の生活シーンにおける脱水
脱水というと、真夏に汗をかいた時や、運動した時の発汗を思い浮かべるかもしれません。しかし、私たちは普段の生活の中でも常に水分を失っています。快適な環境にいてもカラダの水分は失われていくため、意識的な水分補給が大切なのです。
知っていますか?1日に失われる水分量
特に運動せず、汗をかかない一般的な事務作業をしているような日でも、健康な成人で1日約2.5Lの水分が失われていると言われています。その内訳は尿として約1.5L、便として約0.1L、そして「不感蒸泄」と呼ばれる⽪膚や粘膜、あるいは呼気から気づかないうちに失われる水分が約0.9Lにものぼります。
これに対して、カラダに入ってくる水分量も約2.5Lに調節されています。その内訳は、飲料から約1.0L、食べ物から約1.2L、食事で摂取した栄養素を代謝する過程で約0.3Lの代謝水が作られています。
このように、水分だけでなく食事を通して、体内の水分バランスを保っていますが、空気が乾燥する時期には不感蒸泄量が増加するため、自覚がないカラダの水分損失にも気をつけましょう。

このように、水分だけでなく食事を通して、体内の水分バランスを保っていますが、空気が乾燥する時期には不感蒸泄量が増加するため、自覚がないカラダの水分損失にも気をつけましょう。
日常シーンで失われる水分
1. デスクワークや長距離移動に潜む脱水のリスク
日常生活では、仕事などで長時間座っていることは珍しくありません。日常生活下でのカラダの水分損失量を調べた研究では、約23℃の環境で4時間座りっぱなしでいることで、約210mlの水分が失われると報告されています。さらに、飛行機に9時間搭乗すると(約24.5℃)、652mlの水分が失われることも報告されています。長時間の座位はエコノミークラス症候群のリスクも高めるため、定期的な水分補給と軽い体操を心がけましょう。

2. お風呂での脱水リスク
入浴時は体温が上昇することによって汗をかくことで多くの水分が失われます。41℃のお湯に15分入浴し、その後30分安静にした場合、約800mlもの水分が失われることが報告されています。お風呂を楽しむためにも、入浴前と入浴後の水分補給が重要です。長時間のリラックスを楽しみたい場合は、少しぬるめのお湯や半身浴もおすすめです。

3. 飲酒による脱水
アルコール飲料には利尿作用があるため、飲んだ量以上の水分が失われてしまいます。例えば、水割りを1,000ml飲むと、6時間後には約1,455mlの尿が排出されることが報告されています。これはアルコールにはADH(抗利尿ホルモン)の分泌を抑える作用があるため、利尿が促進されるためです。お酒を楽しむ際は、間に水やソフトドリンクを挟む「チェイサー」をつけるなどの工夫をしましょう。

4. 眠っている間も続く水分ロス
睡眠中も汗をかいていることをご存知でしょうか。28.6℃の高温環境で7〜8時間の睡眠をした場合、約500mlの水分が失われることが報告されています。就寝前と起床後の水分補給を習慣にすることで、朝のすっきり感も違ってきます。

日常の効果的な水分補給のコツ
暑い日やスポーツなど大量の発汗時には、汗で失われる水分やナトリウムなどの電解質を補うために、活動前からこまめにイオン飲料などで水分補給を行いましょう。電解質と適度な糖質を含むイオン飲料は、水よりも体内に長くとどまりやすく、効率的に吸収されるため、日常の水分補給にもおすすめです。
また、アルコールやカフェインを含むコーヒー・緑茶などには利尿作用があり、摂取した水分の一部が尿として排出されやすくなります。中でもアルコールは飲んだ量以上の水分が排出されることもあるので、お酒を飲むときはしっかりと水分・電解質を補給しましょう。

また、アルコールやカフェインを含むコーヒー・緑茶などには利尿作用があり、摂取した水分の一部が尿として排出されやすくなります。中でもアルコールは飲んだ量以上の水分が排出されることもあるので、お酒を飲むときはしっかりと水分・電解質を補給しましょう。
年齢やシーンにおける
水分補給のポイント

子どものカラダは体積に対して表面積が大きく、加えて大人に比べて身長が低く地面に近いため、気温の変化を受けやすいのが特徴です。少しの気温上昇でも発汗量が増え、カラダから水分が失われやすくなります。暑くなったり、運動したときは特に注意が必要です。しっかり水分補給できるように周りの大人がサポートしてあげましょう。

デスクワークに没頭していると、水分補給や休憩を忘れがちです。しかし、長時間座ったままで水分を摂らないと、血流が悪化してエコノミークラス症候群を発症するリスクがあります。定期的に立ち上がってカラダを動かし、イオン飲料などを飲み一息いれましょう。

加齢に伴う筋肉量の減少や腎機能の低下によって体内の水分保持能力が低下することで、高齢者は若年に比べて水分損失のリスクが高くなります。また、喉の渇きを感じにくくなるため、水分補給を怠ることで知らず知らずのうちに脱水状態に陥ることがあります。高齢者は「喉の渇き」を感じなくても、少量をこまめに飲む習慣づけが重要です。
喉の渇きは既に軽度の脱水が始まっているサインです。仕事や趣味に集中していると、この感覚を見逃しがちです。喉が渇く前にこまめな水分補給を心がけましょう。
さらに、野菜や果物などの食事からも多くの水分を摂取できるため、バランスの良い3食の食事も水分補給の観点から大切です。
日常生活の中で意識的な水分補給を習慣づけることで、健康的な毎日を送りましょう。

日常生活の中で意識的な水分補給を習慣づけることで、健康的な毎日を送りましょう。
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