コラム 暮らしを彩るワンポイント北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの
フィンランド花通信

第29回 
ヒマワリのフェンスアレンジメント

フィンランド人に人気のヒマワリを使いましょう。水辺のフェンスをイメージしたアレンジメントです。
第29回 ヒマワリのフェンスアレンジメント/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】

フィンランド人は太陽の花が好き

リノ:フィンランドはもうすぐ秋ですね。
クミ:8月の半ばから学校も始まり、朝晩は涼しいくらい。湖での水遊びもそろそろおしまいですね。とはいえ、日本はまだまだ暑いですから、涼し気なアレンジメントを作りましょう。
リノ:ヒマワリがメインになるんですね。
クミ:そう。ヒマワリはフィンランド語で「auringonkukka(アウリンゴンクッカ)」ですが、直訳すると太陽の花という意味。フィンランド人に人気の花のひとつです。
リノ:1年前は、ムーミンのマグカップに活けました(第19回 ヒマワリが咲くムーミンマグカップ)が、今回は?
クミ:植物でフェンスを作り、水の中に立てるアレンジメントです。フィンランドの湖を思い浮かべながら作りましょうね。
第29回 ヒマワリのフェンスアレンジメント/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
花材・道具:ヒマワリ/フトイ/グラスペディア/ブローディア/マーガレット/アルケミラモリス/フトイの茎/ワイヤー/背の低い円形の花器/ガラス玉
第29回 ヒマワリのフェンスアレンジメント/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
ヘンティネン・クミさん(右)と娘でフラワーデザイナーのリノさん。

ワイヤーでつなぐ

クミ:フトイの茎など、硬くて丈夫な植物の茎を20本ほど用意しておいてください。
リノ:20cmほどの長さに切りそろえておくのですね。
クミ:はい。ほかの植物は、フトイの茎よりも少し長めで25~30cmくらいに切っておきましょう。短くし過ぎないようにしてくださいね。
リノ:これを、ワイヤーでつないでいくのですね。
クミ:はい。フトイの茎→マーガレット→アルケミラモリス→ヒマワリ→茎→グラスペディア……というように、ときどきフトイの茎をはさみながら、好きな花をワイヤーで留めていきます。水に活けるときに立つようにワイヤーで留めるのは2ヵ所。きつくねじってくださいね。
第29回 ヒマワリのフェンスアレンジメント/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
ワイヤーは絡まない程度に長く切ったものを2本用意する。輪を作ってフトイの茎にひっかけて、ねじる。写真のように上と下と2ヵ所。
第29回 ヒマワリのフェンスアレンジメント/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
好きな花を数本、ワイヤーの間にはさんでねじって留める。フトイの茎よりも少し花の頭が出るようにする。
第29回 ヒマワリのフェンスアレンジメント/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
同じ花が続かないようにしながら「ねじって留める」を繰り返す。ときどき、フトイの茎を挟むと頑丈になる。ワイヤーはきつめにねじるとよい。
第29回 ヒマワリのフェンスアレンジメント/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
ワイヤーが足りなくなったら、新しいワイヤーで輪を作り、端の茎にひっかけて、ねじって留める。

そろえることが大切

リノ:「ねじって留める」を繰り返す。地道な作業ですね。
クミ:ときどき、全体を見てください。花の高さ、ワイヤーを留める位置をそろえるようにしてくださいね。気を抜くと、曲がっていきますよ。
リノ:たしかに。集中力が欠けたところが一目瞭然(笑)。
クミ:すべての花をワイヤーでつないだら、下のほうの茎をそろえてカットしましょう。このアレンジメントのポイントはたったひとつ。そろえること。
リノ:花、ワイヤー、茎をいかに丁寧にそろえられるかで、仕上がりに差が出そうですね。
第29回 ヒマワリのフェンスアレンジメント/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
すべての花をワイヤーでつないだ。ヒマワリのフェンスのできあがり。
第29回 ヒマワリのフェンスアレンジメント/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
茎の長さをそろえる。丁寧に1本1本切る。
第29回 ヒマワリのフェンスアレンジメント/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
花器に水を入れて、その中にヒマワリのフェンスをまっすぐ立てる。花器の内側の面に沿わせるようにすると立ちやすい。好みでガラス玉などを入れてもよい。

透け感を楽しむ

リノ:茎のすき間から見える水がきらめいていて、美しいです。
クミ:水面が透けて見える感じが涼やかで、夏らしいアレンジメントになりました。今回は円形の花器を使いましたが、スクエアでもOK。花も好きなものを用意してください。
リノ:ほかに、どんな花がよさそうですか。
クミ:そうですね。茎が硬いもの、水下がりのしにくいものがいいですね。カーネーションやガーベラ、春だとチューリップやスイセンなどもいいでしょう。
リノ:茎の代わりに、枝を使ってもよさそうですね。
クミ:カラフルなストローを使って、ポップなアレンジにしてもおもしろいと思いますよ。
第29回 ヒマワリのフェンスアレンジメント/北欧フラワーデザイン協会・ヘンティネン・クミさんの【フィンランド花通信】
陶器に活けてもよい。フェンスの透明感を活かすために、浅いものを選んだ。デザインのテクニックを知りたい人は、ヘンティネン・クミさんが主宰する北欧フラワーデザイン教室で丁寧に教えてもらえる。5,700円で受講できる体験レッスンもある。(https://www.linoka.jp/
また、著書『森の植物が教えてくれた 北欧フィンランドのフラワーデザイン』からも学べる。(詳しくはこちら
ヘンティネン・クミ
ヘンティネン・クミ(へんてぃねん・くみ)さん
北欧フラワーデザイナー。13歳より池坊生花を学び、国内大手百貨店内のフラワーショップに10年間勤務。イギリス、オランダへ花留学したのち、1998年からフィンランドへ。北欧フラワーデザインのパイオニアであるヨウニ・セッパネン氏の専属アシスタントを務めながら、フィンランド国立KEMPELE花卉園芸学校マスターフローリスト科を卒業。ヘルシンキ市内でフラワーショップとスクールを経営。13年間の欧州での花仕事の後、2007年に帰国。東京・新御徒町の「LINOKA Kukka」で、北欧スタイルのフラワーデザインスクールを開校。ビギナー向け、プロ向けのコースがあるほか、フィンランド料理と民族楽器の演奏を楽しむワークショップも開催している。著書に『森の植物が教えてくれた 北欧フィンランドのフラワーデザイン』(六耀社)がある。
Share
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • LINEで送る
美しく生きるヒントがきっとある

コラム記事

取り扱い先

取り扱い先を調べる

公式通販サイト

ご購入はこちら