PMSとPMDDの違い

PMSの諸症状のうち、精神症状ばかりが強く出るという人はいませんか?もしかしたらそれは、重症のPMSに潜む、PMDDという精神疾患の可能性があります。PMSとPMDDの違いやPMDDの症状の特徴、治療法について紹介します。
PMDDとは
PMSの諸症状のうち、「イライラ」や「気分の落ち込み」「不安」「怒りっぽくなる」といった精神症状が主体で強いなら「月経前不快気分障害(Premenstrual Dysphoric Disorder)」が疑われます。この名称がついたのは1994年と比較的新しく、2013年に「抑うつ症状群」の一つと捉えられるようになっています。(※1)
なおPMDDは月経がある女性の1.8~5.8%が該当するとされ(※2)、これは「重症のPMS」とみなされていた人たちの割合とほぼ一致しています。
PMDDをセルフチェック
「PMDDかも」と思ったら、下記の自己診断表でチェックしてみましょう。
●PMDD自己診断表
直近の1年間のほとんどで感じた月経の前に出る症状を、
リストAとリストBからチェックして下さい。
症状リストA(月経前1週間)
- 突然悲しくなる、涙もろくなる。また、拒絶や批判に対する感受性が高くなる。
- イライラしたり、怒りっぽくなったりする。
- うつ気分や落ち込みが強い。
- 不安、緊張感を感じることや、”高ぶっている””いらだっている”などの感情がある。
リストAの中でのチェック項目数 [ ]
症状リストB(月経前1週間)
- 趣味や日常生活に興味が薄れている。
- 物事に対する集中力が薄れている。
- いつもより疲れているし、気力がわかない。
- 過食や、あるものを食べ続けたりする。
- 睡眠過多だったり、睡眠不足だったりする。
- 限界感、制御不能といった自己喪失感がある。
- 月経前に以下のような身体症状に悩まされる。
- (例)
-
- 乳房痛または緊満感
- 関節または筋肉痛
- ふわふわした感じ
- 体重増加
リストBの中でのチェック項目数 [ ]
次の5つの質問に「はい」「いいえ」で答えてください。
- リストA・リストBにおいて、少なくとも1つずつ当てはまるものがありますか。
- リストAとリストBのチェック項目数を足すと5項目以上になりますか。
- 直近の1年間、ほとんどの月経周期において、月経開始前に少なくとも5つの症状があり。月経が開始すると症状が小さくなるか、消失する。
- あなたに上記症状があるとき、あなたは通常の活動が障害されますか。
- うつ病やパニック障害によるものではないと考えられる。(これらの障害は併存する可能性があるため、異変を感じる場合は医療機関を受診しましょう。)
ありがとうございました。もしあなたが5つの質問にすべて当てはまるとしたら、あなたはPMDDの可能性があります。早速医師に受診し問題解決にあたってください。
(産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2020;日本産科婦人科学会, 日本産婦人科医会: 174-176, 2020)
PMDDの治療法
PMDDの治療には、抗うつ薬や経口避妊薬などを用いることが多いようです。(※3)またPMS同様、生活習慣の見直しをはじめとしたセルフケアも大切です。
セルフチェックの結果、PMDDが疑われる人は、ガマンしてもいいことはありません。ぜひ一度、婦人科を受診しましょう。
※1 産科と婦人科,83(12):1383-1388,2016
※2 最新女性心身医学; 本庄英雄監修, 日本女性心身医学会編, ぱーそん書房: 170-7, 2015
※3 臨床精神医学; 40(2): 217-26, 2011