PMS(月経前症候群)とは

月経前になると頭痛やおなかの張り、乳房の痛み、イライラする、落ち込む……などの不快な症状に悩まされていませんか?それは、「PMS(月経前症候群)」のせいかもしれません。PMSとは、一体何なのでしょうか。どうして現れるのでしょうか。症状をケアするために、まずはその正体を知ることから始めましょう。

PMS(月経前症候群)の症状

PMSは、Premenstrual Syndromeの略で、その日本語が「月経前症候群」。月経前=月経前の3~10日の間に続く精神的、身体的な症状で、月経が始まるとともに症状がおさまったり、なくなったりするものを指します。(※1)「なんだか調子が悪いな」と思っていたら月経がきて、「いつもの症状だったのか」とあとから気がつく人も多いようです。あなたの症状も「気のせい」ではなく、PMSかもしれません。
PMSかどうかは、症状が出るのが月経前に限られているか、毎月繰り返し症状が出るか、日常生活に支障があるか、といったことがポイントになります。3カ月以上症状に悩まされているなら、PMSの可能性が高いと考えられます。PMSの診断基準は、以下の通りです。

PMSの診断基準(米国産科婦人科学会)

(産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2020; 日本産科婦人科学会, 日本産婦人科医会: 174, 2020)

イライラや気分の落ち込み、不安感がある、怒りっぽいといった精神症状、下腹部や乳房の張り・痛み、頭痛、手足のむくみといった身体症状が代表的ですが、いろいろな不調が複合的に発生する上、個人差も大きくその種類は200種ほどもあるといわれています。(※2)

精神症状が主体で強いなら「PMDD」かも

「イライラ」や「気分の落ち込み」「不安」「怒りっぽくなる」といった精神症状がひどく、日常生活や対人関係にまで影響を及ぼすようなら「月経前不快気分障害(Premenstrual Dysphoric Disorder:PMDD)」かもしれません。これは精神疾患の1つです。

「月経が始まれば落ち着くから」「つらいのはみんな同じ」と、月経前の不快な症状をガマンする必要はありません。人によってさまざまな症状が出るのもPMSの特徴です。このサイトでPMSのことを正しく理解し、適切なケアに結びつけていきましょう。

※1 日本産科婦人科用語集・用語解説集(改訂第4版);日本産科婦人科学会編, 日本産科婦人科学会:60-61, 2018
※2 Gynecol Endocrinol; 29(1): 67-73, 2013

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