婦人科で行われるPMS治療 | PMSラボは月経前の心や身体の不調「月経前症候群」に関する情報サイトです。
婦人科で行われるPMS治療
公開日:
更新日:
症状がPMSによるものと分かったら、次に気になるのが、どのような対処法があるのかということでしょう。ここでは、婦人科で行われる治療法とセルフケア法についてご紹介します。
婦人科での治療(※1)(※2)
PMSには、「何らかの検査値が正常範囲を超えたていたら要治療」といった明確な診断基準はありません。婦人科などでは、まずカウンセリングや生活指導、運動療法などが行われますが、薬物による治療が必要な場合は、低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬などのホルモン療法薬で症状をやわらげます。
腹痛、頭痛がある場合は鎮痛薬を用います。またお腹の張りには桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、便秘には桃核承気湯(とうかくじょうきとう)、頭痛には川芎茶調散(せんきゅうちゃちょうさん)という漢方薬が使われることもあります。
むくみがひどい場合は、利尿薬で体内に水分が溜まらないようにします。漢方薬では当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)があります。気分の落ち込みがひどい「うつ」の状態になっていれば、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)という薬も有効です。ただし、精神症状が強い場合は精神科または心療内科の受診がすすめられます。また、これらの精神症状には、加味逍遥散(かみしょうようさん)や抑肝散(よくかんさん)といった漢方薬も使われます。
もっとも、漢方薬は医師が患者の状態をみて適切なものを選びますから、上記はあくまでも1例です。
症状を知り、生活習慣を整えて
PMSの症状をやわらげるには、PMSについて正しく理解し、自分の症状を把握するのが第一歩と言えます。いつ、どのような症状が、どの程度出るのか、日記をつけてみましょう。記録することで、さまざまなつらい症状がPMSのせいだと認識できます。それだけで症状が軽くなる場合もあります。(※3)
生活習慣を整えるのも大切です。PMSなどの婦人科系の不調は、生活習慣や精神状態、自分をとり巻く環境の影響を受けやすいものです。「規則正しい生活、十分な睡眠、適度な運動、未精製の炭水化物をしっかり摂る、精製糖を控える、カフェインの多いものやアルコール摂取を控える、禁煙、ストレス解消」といったことが、PMS対策に役立つとされます。(※4)
セルフケアの具体的な方法については、「自分でできる予防・改善法」の各記事を参考にしてください。
婦人科で自分の症状に合う薬を処方してもらうのと同じかそれ以上に、日ごろの生活習慣の見直しが大切なようです。
※1 産婦人科診療ガイドライン-婦人科外来編2023; 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会: 190-193, 2023 改変
※2 産科と婦人科; 78(11): 1311-1314, 2011
※3 心身医学; 49(11): 1163-1170, 2009
※4 最新女性心身医学;本庄英雄監修, 日本女性心身医学会編, ぱーそん書房:158-169, 2015
監修 小川真里子特任教授
福島県立医科大学
ふくしま子ども・女性医療支援センター
福島県立医科大学医学部卒業。慶應義塾大学産婦人科を経て、2007年に東京歯科大学市川総合病院産婦人科助教、2011年同講師、2016年同准教授。2024年4月より現職。日本産科婦人科学会産婦人科専門医、日本心身医学会心身医療専門医、日本女性心身医学会認定医などの資格を持ち、PMSや更年期などの診療にあたる。
よく読まれている記事
PMS(月経前症候群)についてもっと見る
CREA WEBの新着記事
-
CREA WEB CREA WEB〈第1回〉調子は良くない日が多い。これが私の通常運転。
頭痛や気分の浮き沈み、定期的にやってくる不調は、「体質だから」「生まれつきだから」仕方がないと諦めていませんか?
公開日: -
CREA WEB CREA WEB〈第3回〉なんだか仕事がうまくいかない。思う存分仕事ができない。
PMSの症状は、仕事や家事の効率、さらには人間関係にまで影響を及ぼす可能性があり、本人だけの問題にとどまりません。
公開日: