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PMSのむくみに「γ-トコ」 | PMSラボは月経前の心や身体の不調「月経前症候群」に関する情報サイトです。

PMSのむくみに「γ-トコ」

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γ-トコ

ビタミンEの1種であるγ-トコフェロールとγ-トコトリエノールには、PMSの主な症状の1つである「むくみ」を軽減する作用が期待できます。本ウェブサイトでは、この2つのビタミンEをまとめて「γ-トコ」と呼びます。

PMSの時期はなぜむくむ?

そもそも、月経前はどうしてむくみやすいのでしょうか?PMSの症状が出る時期は、排卵を合図に妊娠しやすい状態に身体を整えようとして、体内に栄養や水分をため込みやすくなります。
そのため、手足や顔がむくむばかりではなく、体重の増加や、疲れやすい、胸やお腹が張る、頭痛などの症状も、むくみに関連して生じることがあります。
身体にはいくつかの水分保持・排出の仕組みが備わっていますが、その1つに「体液のミネラルバランスの調節」があります。塩(=塩化ナトリウム)に含まれるナトリウムが身体の中に多くなれば、これを薄めるために水分を身体に保持しようとするため、むくむのです(下図)。
20~40代の日本人女性のナトリウム摂取量は食塩相当量で8.3~8.9グラム(※1)と、目標量の6.5グラム未満(※2)に比べると多め。その影響もあって月経前にむくみやすくなる人も多数いるようです。

むくみが生じる仕組み

γ-トコの代謝物がむくみを軽減

ビタミンEには、少しずつ構造が異なる8種類が存在します。そのうちのγ-トコフェロールとγ-トコトリエノールの2つ、「γ-トコ」が肝臓で代謝されて生成する「γ-カルボキシエチルヒドロキシクロマン(γ-CEHC)」が、むくみを解消する成分であると考えられるようになってきました(※3)
なお、食品やサプリメントに多く含まれるビタミンEの主成分として一般的なα-トコフェロールから生成する「α-CEHC」には、このような作用はないようです(※4)

γ-トコフェロールとγ-トコトリエノールはγ-CEHCに

(Lipids; 36(1): 43-48, 2001)

体内のナトリウム量や水分量の調節は、腎臓1個に約100万個ある「ネフロン」という器官で行われます(下図)。ナトリウムの大部分は尿細管の上部で再吸収され、最終的には尿が完成する直前の部分で調節しますが、それ以外にもいくつかの調節機構が備わっています。γ-CEHCは、体内のナトリウム量が多い時に、ナトリウムを再吸収する仕組みのひとつをブロックし、ナトリウムを体外に排出させます。
γ-CEHCはサブ的に働く部分のみをブロックするため、低ナトリウム血症になる心配もなく、急激な尿意や頻尿を引き起こしにくいという利点もあります。

γ-CEHCはナトリウムが多い時に作用する

むくみの軽減、ヒトでの効果は

では実際に、γ-トコをどのくらいとればむくみの症状がやわらぐのでしょうか。γ-トコのうち、γ-トコフェロールを用いて検討した試験があります。PMSのむくみの症状を感じている20人の女性(20~25歳)を2つのグループに分け、排卵日ごろからの7日間、一方は1日に400ミリグラムのγ-トコフェロールを、もう一方はプラセボ(偽成分)をサプリメントで摂りました。その結果、γ-トコフェロールを摂取した人たちはPMSのむくみの症状が軽くなる傾向がみられました。(※5)

食事から有効量を摂るのは難しい

γ-トコフェロールもγ-トコトリエノールも植物油に含まれる成分です。しかし主な植物油100グラム中の含有量をみてみると、大豆油のγ-トコフェロール67.6ミリグラム、米ぬか油のγ-トコトリエノール10.8ミリグラムが最高値です(下表)。前述の試験に用いられたγ-トコフェロールの1日量、400ミリグラムに比べて大幅に少なく、食事から摂れる量にむくみの改善作用を期待するのは難しいようです。

γ-トコフェロールとγ-トコトリエノールは植物油に多い

表中の「−」は検出できない、あるいは定量できないという意味。
(Morecules; 25(21): 5076, 2020より算出)

むくみは精神症状にも関連あり?!

身体的な症状があるせいでイライラする憂うつになる、というのもありそうですが……。閉経前女性68人を対象としたアンケート調査では、「むくみの症状」と「否定的な感情」に関連がみられました。(※6)むくみが不快で感情面にも悪影響を及ばしたかどうかは不明ですが、気になるところです。

むくみが強い人は否定的な感情も強い

(産科と婦人科; 83(12): 1434-1439, 2016)

※1 令和元年国民健康・栄養調査
※2 日本人の食事摂取基準2020年版
※3 ビタミン; 74(5-6): 289-292, 2000
※4 J Pharmacal Exp Ther; 282(2): 657-662, 1997
※5 Acta Med Nagasaki; 53(3): 59-64, 2009
※6 産科と婦人科; 83(12): 1434-1439, 2016

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