五大栄養素と免疫力

カラダを健康な状態に保ち、免疫力が下がらない様にするには、五大栄養素をバランスよく摂ることが大切です。 五大栄養素とは「タンパク質」「脂質」「炭水化物(糖質、食物繊維)」「ビタミン」「ミネラル」。 私たちが生きていくために必要な栄養素であり、3つの大きな役割をもっています。その役割について見ていきましょう。

1カラダをつくる「タンパク質」

ホルモン、酵素、免疫物質などをつくる役割を果たしています。 タンパク質は、20種類ものアミノ酸が結合してできている物質で、このうち9種類は体内で合成することができないため、食物から摂取する必要があり、これを「必須アミノ酸」と呼びます。 免疫抗体の材料となるタンパク質は、常に体内で合成と分解が繰り返されており、カラダの免疫機能を維持するためには必須アミノ酸をバランスよく含む良質なタンパク質を食事から十分に摂ることが大切です。

2エネルギー源となる「脂質」と「糖質」

脂質や糖質は体内で分解されエネルギーを生み出し、体温や活動する時のエネルギー源となります。 糖質は1gで4kcal、脂質は1gで9kcalのエネルギーを発生させます。 また、脂質はエネルギー源だけでなく、ホルモンや細胞膜や消化に必要な胆汁酸の原料であり、細胞の機能を十分に発揮させるのに欠かせない栄養素です。

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3カラダの調子を整える「ビタミン」や「ミネラル」

ビタミン・ミネラルはエネルギーにはなりませんが、体内でタンパク質、脂質、糖質を有効利用できる様に助ける働きがあるので、健康維持、体調管理には欠かせない栄養素です。 ビタミンは体内ではほとんど合成ができず、不足すると欠乏症となるおそれがある有機化合物(炭素を含む化合物)の総称で、脂溶性と水溶性の2つに分けられます。 脂溶性ビタミン(A,D,E,K)は油脂に溶けやすく、大量に摂取すると過剰症になる可能性があります。 一方、水溶性ビタミン(B群,C)は水に溶けやすく余分な量は尿と一緒に排出されるため過剰症の心配がほとんどありません。 ビタミンは野菜や果物に多く含まれています。
ミネラルは、無機質ともいい、人のカラダを構成する元素から酸素・炭素・水素・窒素を除いたものの総称です。 人のカラダに必要なミネラルはカルシウム、鉄、ナトリウムなど16種類あり、野菜、果物、海藻、乳・乳製品に多く含まれます。

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このように五大栄養素はカラダをつくる素になったり、動かすエネルギーになったり、調子を整えたりする役割を担っています。 それぞれが助け合って様々な働きをするため、ひとつでも不足すると、体調を崩す恐れがあります。 忙しい生活の中で常に摂取バランスを維持することが難しい場合は、五大栄養素を補給できるバランス栄養食品や、自分で不足を感じる栄養素を補うサプリメントを利用するのもよいでしょう。

免疫力アップが期待できる栄養素
ビタミンは栄養素の有効利用に働くだけではなく、免疫力アップにも期待できる栄養素です。

ビタミンD
免疫力を調整する働きがあり、充分摂ることで、ウイルスによるかぜやインフルエンザなどへの感染リスクを下げることが確認されています。鮭、青魚、カレイなどに多く含まれています。
ビタミンC
免疫細胞や免疫物質 IgA の働きを活発にし、ウイルスへの抵抗力を高めてくれます。また、強力な抗酸化作用が、免疫細胞とウイルスとの戦いの後に発生した活性酸素を消し、カラダへのダメージを防ぎます。
ビタミンB群
ビタミンB6は、タンパク質の利用を促進し、免疫機能を維持する働きがあり、牛肉、鶏肉、赤身魚などに豊富です。 ビタミンB1、B2、B6、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンは、何れも皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素で、免疫機能にも重要です。 ビタミンB1は豚肉や豆類に、ビタミンB2はレバーや魚介類に多く存在します。また魚介類はB1だけでなく、ビタミンB12やナイアシンも多く含まれる他、レバーは葉酸の補給にも役立ちます。
ビタミンA
皮膚や粘膜を防ぐ機能を高めて、ウイルスの侵入を防ぐ働きを高めます。βカロテンとしてほうれん草や人参などの緑黄色野菜から摂取することができます。
亜鉛
マクロファージや好中球など、自然免疫に関わる細胞を活性化し、感染症にかかりにくいカラダを作ります。特に含有量が多い食材はカキ、牛肉、レバー、カニなどです。
アルギニン
アミノ酸の一つで、マクロファージを活性化して自然免疫を活性化します。海老、豚肉、鶏肉、ナッツ類に多いと言われています。
【出典】
免疫力を高める食材辞典、株式会社 学研プラス、2020、pp3-5、P12-17.
一般財団法人日本臨床栄養協会編、NR・サプリメントアドバイザー必携(第3版)、第一出版株式会社、2018、pp100-1、p281.
監修:酒井リズ智子先生(米国医師 トータル・コンディショニング・コーディネーター)
監修:酒井リズ智子先生(米国医師 トータル・コンディショニング・コーディネーター)