未来を切り拓く
デジタル診断技術の挑戦

診断事業部
中枢デジタル診断プロジェクト
「こころを測る」ためには客観的な指標も必要と考え、様々な手法を通じたデジタルバイオマーカーの精度向上に取り組んでいます。

大塚製薬でのキャリアの始まり、診断事業との出会い

大学でスポーツ科学を専攻しました。その指導教官の専門が神経内分泌で、脳と運動に関する講義が大変興味深く、それがきっかけとなり“運動のメンタルヘルス増進効果”を研究のテーマとしました。大塚製薬は重点領域の一つに中枢神経領域があり、大学での経験を活かせることから興味を持ち、2021年4月に大塚製薬に新卒で入社しました。診断事業部研究部への配属と同時に神経変性疾患マーカーの測定方法に関する研究開発に従事し、2023年2月からは診断事業部中枢デジタル診断プロジェクトに配属され、デジタル技術を駆使した診断製品の新規開発に向けて活動しています。

大塚製薬の診断事業部は『革新的な診断製品により世界の人々の健康維持と治療の質向上に貢献する』という想いのもと、医療現場での診断を支援するために様々な臨床検査を展開している部署です。臨床検査とは、患者さんの健康状態を評価し、病気の診断や治療効果の確認を行うための検査で、血液や尿、身体の組織などのサンプルを分析し、病気の有無や進行度を判断します。最近は、デジタル技術を駆使したデジタルバイオマーカーやSaMD(Software as a Medical Device:プログラム医療機器)と呼ばれるソフトウェアを用いた臨床検査も登場しています。

「こころを測る」ために、効果的な方法の確立を目指す

私の所属する中枢デジタル診断プロジェクトの特徴は、医療現場のニーズを探索し、そこから得た知見をもとにコンセプトの立案や研究開発を実施できることです。実際に医療機関に足を運び、現場の課題を特定し、それを解決するための製品を開発するという一連の工程に携わることができ、とてもやりがいを感じています。少人数のプロジェクトのため裁量が大きく、自分の考えや判断を速やかにプロジェクトに反映することができます。臨床医や研究者など社外の専門家との連携も積極的に進めており、対話を通じて得られた知見を反映することで診断結果の精度を向上させるとともに、より患者さんや医療関係者の負担を軽減し、治療満足度向上に貢献する製品の開発を目指しています。

現在プロジェクト内では、社内外に蓄積されている臨床データを活用し、新規のデジタルバイオマーカーの確立にも取り組んでいます。中枢神経(脳)の病気は、精神・神経疾患として知られ、診断方法や治療経過の判断は問診を中心とした主観的評価が主体となっています。「こころを測る」ためには客観的な指標も必要であると考えており、デジタルデバイスから得られた生理指標の活用や、AIを用いたこれまで不可能であった臨床上のイベント検出、様々な評価尺度など、多様なモダリティの活用を通じてデジタルバイオマーカーの精度を向上できるよう取り組んでいます。

困難な目標も後押ししてくれる大塚の文化

現在は診断事業部に所属していますが、診断だけではなく治療まで見すえた上で製品開発を考えることが、大塚製薬の強みだと思います。社外の専門家にお話を伺う際にも他部署の方に紹介してもらうなど、課題を相談できる方が社内にいることも、疾病の診断から治療までを担う医療関連事業を持つ当社の強みだと感じています。また、大塚製薬には「既存概念にとらわれない」、「難しい方へ行こう」と挑戦する文化があり、最初から無理だと言わずにまずは行動してみることを後押ししてもらえるのはとても心強いです。

診断事業部では近年デジタル製品の開発が加速しており、製造販売承認の取得にもつながっています。新製品の発売に向けて業務をされている方から様々な事を学ぶことが、「次は自分も新しい製品の発売に携わりたい」というモチベーションになっています。

現在取り組んでいるプロジェクトを製品化し世の中に出すことで、客観的な検査結果を提供し、患者さんと医療関係者が治療方針を話し合う「共同意思決定」の促進に繋げたいと思います。また、患者さん一人ひとり異なるリカバリー目標の達成に向け、それぞれの治療のゴールや価値観、そしてデータに沿って行われる個別化医療に貢献できるよう取り組んでまいります。

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