大塚製薬株式会社
H. ルンドベックA/S

企業
2011年11月11日

大塚製薬 ルンドベック社
中枢神経領域におけるグローバル・アライアンス契約を締結

  • 「アリピプラゾール持効性注射剤(月一回製剤)」と「OPC-34712」の共同開発・商業化へ向け、ルンドベック社から大塚製薬へ最大約18億USドルの支払いに合意
  • ルンドベック社が現在研究開発を進めている中枢神経疾患を対象にした最大3つの新規化合物および「アリピプラゾール持効性注射剤」と「OPC-34712」をあわせた最大5つの化合物に関する共同開発・商業化を実施

大塚製薬株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:岩本太郎、以下「大塚製薬」)とH.ルンドベックA/S (本社:デンマーク、コペンハーゲン、CEO:ウルフ・ウインバーグ、以下「ルンドベック社」) は、2011年11月11日に徳島県徳島市にて、中枢領域におけるグローバル・アライアンス契約を締結しました。今後両社は、中枢神経疾患を対象にした最大5つの化合物の研究、開発、商業化にむけ、長期にわたるグローバルな協力体制を構築してまいります。

グローバル・アライアンス契約の概要

本契約は、開発の早期段階および後期段階にある最大5つの化合物にわたる契約となっています。大塚製薬が創製した、本契約の対象となる化合物は、現在開発の後期段階にある「アリピプラゾール持効性注射剤(月一回製剤)」および「OPC-34712」です。ルンドベック社が創製した、本契約の対象となる3つの化合物に関しては、後期臨床第II相試験終了後に、共同開発・共同販売契約をする権利を有しています。

契約の締結を受け、大塚製薬は契約一時金として、ルンドベック社から2億USドルを受け取ります。ルンドベック社から大塚製薬へ支払われる契約一時金と開発・承認の達成金の合計は、最大で約14億USドルとなります。さらに、売上達成金を含むと、本契約により最大で約18億USドルがルンドベック社から大塚製薬へ支払われることになります。両社は、契約内容に基づき、売上および開発・商業化に掛かる経費を分担いたします。

「アリピプラゾール持効性注射剤」に関し、大塚製薬は、ルンドベック社に対し、米国では純売上の20%を、欧州主要5カ国、北欧4カ国およびカナダでの純売上の50%を分配金として支払います。開発ならびに販売経費も売上分配比率で両社が負担します。日本を含むアジアの多くの国、トルコ、エジプトでは、大塚製薬が権利を保有します。その他の国は、ルンドベック社が単独で販売を行い、大塚製薬は売上に応じた供給価格でルンドベック社へ製品を供給します。

また、「OPC-34712」に関しては、大塚製薬は、ルンドベック社へ、米国では純売上の45%を、欧州主要5カ国、北欧4カ国およびカナダでは純売上の50%を分配金として支払います。販売経費も売上分配比率で両社が負担します。日本を含むアジアの多くの国、トルコ、エジプトでは、大塚製薬が権利を保有します。その他の国は、ルンドベック社が単独で販売を行い、大塚製薬は売上に応じた供給価格でルンドベック社へ製品を供給します。また、「OPC-34712」の開発費に関しては、契約で定められた一定額までは 大塚製薬が費用を負担し、それ以上は両社で均等に折半し負担することになります。

大塚製薬が単独で販売を行う国・地域、および両社が共同で販促する米国、欧州主要5カ国、北欧4カ国およびカナダでは、両化合物の売上は大塚製薬に計上されます。それ以外の国・地域では、ルンドベック社が売上を計上すると共に、商業化に関する責任を負います。
また、大塚製薬は、契約期間中に新たな国で販売組織を設立した場合、当該地域で共同開発・共同販売を行う権利を保有します。

大塚製薬は、これまでに北米、アジアにおける中枢神経領域での基盤を築いており、ルンドベック社は欧州での確固たる基盤を築いています。両社のアライアンスにより、世界の多くの市場へのアクセスが可能となります。

私たちの共通の夢

大塚製薬は、1921年に四国の徳島を発祥とし、ルンドベック社は、1915年にシェラン島のコペンハーゲンを発祥として事業を開始しました。地理的に似た、海に囲まれた島で育まれた両社は、中枢神経疾患における世界最高のパートナーシップを培い、疾患を抱える患者さんに革新的な医薬品を届けるべく、協力してまいります。

中枢神経疾患の解決に向けた新しい治療薬の創出は、多くの企業にとって、困難な道のりとなっています。大塚製薬とルンドベック社は、両社の起業家精神を大切にし、ユニークなアプローチにより革新的な薬を開発し、真に患者さん、そしてそれを支えるご家族に貢献していくことを目指します。

中枢神経領域における大塚製薬およびルンドベック社のこれまでの歩み

大塚製薬は、中枢神経領域における研究開発を1970年代に開始し、四半世紀にわたる研究の成果として、中枢神経疾患の治療薬である抗精神病薬「エビリファイ」(一般名:アリピプラゾール)を見出しました。その後、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社との提携のもと、大塚製薬で最も売上の大きい中枢神経疾患の治療薬となっています。ブリストル・マイヤーズ スクイブ社との提携は今後も継続し、大塚製薬は引き続き、この共同事業に力を注いでまいります。

「エビリファイ」は、現在、世界65カ国・地域で販売され、2010年度の売上高は、約45億USドル(3,926億円)*1となり、売上高が世界でトップ3*2に入る抗精神病薬となりました。大塚製薬は、中枢神経疾患を対象にした世界の患者さんの治療に貢献できる新しい化合物の開発を現在進めています。

  • *12010年度の期中平均レート(87.79円/ドル)で換算
  • *2セジデム・ストラテジックデータ(株)の調査による

ルンドベック社は、中枢神経疾患を対象にした数多くの治療薬を開発・販売しています。近年では、世界で約40億ドルを売り上げる抗うつ薬「シプラレックス」/「レクサプロ」(一般名:エスシタロプラム)をはじめ、アルツハイマー症候群治療薬「エビクサ」(一般名:メマンチン)、パーキンソン病治療薬「アジレクト」(一般名:ラサギリン)、ハンチントン病による舞踏病の治療薬「ゼナジン」(一般名:テトラベナジン)、統合失調症治療薬「セルドレクト」(一般名:セルチンドール)、抗てんかん薬「サブリル」(一般名:ビガバトリン)を世界で販売しています。

大塚製薬とルンドベック社は、常に既存の常識に疑問を持ち、独創的なアプローチにより、医薬品の研究開発、商業化の挑戦を続けています。このように共通の企業文化背景を持つ両社は、革新的な医薬品の創出に向けて研究・開発を続けてまいります。

両社代表からのコメント

大塚製薬 代表取締役社長 岩本太郎より

「これからの中枢領域での事業を支える『アリピプラゾール持効性注射剤』と『OPC-34712』の共同開発・商業化をルンドベック社と共に行えることを嬉しく思います。これにより、うつ病や不安症に実績をもつルンドベック社と抗精神病薬に実績を持つ大塚製薬が、共同で大塚製薬の中枢ポートフォリオの医学的・商業的価値を最大化することが可能になります。さらに、欧州地域を中心とし、南米、オセアニア*3、BRICs*4など世界の多くの地域をカバーすることができます。我々のアライアンスは、ルンドベック社が研究を進める3つの新規化合物の共同開発・共同販売へとつながってまいります。」

  • *3オーストラリア、ニュージーランドなど
  • *4ブラジル、ロシア、インド、中国

ルンドベック社 CEOウルフ・ウインバーグより

「大塚製薬とのアライアンス契約を大変嬉しく思っています。『アリピプラゾール持効性注射剤』および『OPC-34712』の事業が加わることで、ルンドベックは将来有望な独自の医薬品により、アンメットニーズが極めて高い中枢神経領域におけるポートフォリオを、さらに大きく発展させることができます。また、この契約により、米国での事業展開を加速させ、2013年にも新しい薬剤による我々のプレゼンス強化にもつながっていくものと考えています。」

「アリピプラゾール持効性注射剤(月一回製剤)」について

今回の契約の対象となる「アリピプラゾール持効性注射剤」(一般名)は、無菌の凍結乾燥製剤です。注射用水で用時懸濁することで、注射可能な懸濁液となります。すでに終了した臨床第III相試験では、統合失調症の治療維持期における月一回の注射剤として評価が行われました。

米国申請用のアリピプラゾール持効性注射剤の臨床第III相試験(登録番号:31-07-246)は、統合失調症の治療維持期における同剤の有効性、安全性および忍容性を評価するための試験として実施されました。多施設ランダム化プラセボ対照二重盲検比較試験として実施された本試験は、当初52週間の実施を予定しておりましたが、中間解析が行われ、予定より7カ月早く、昨年6月に中間解析の結果が有効性を示し、早期終了の基準を満たしていたため、独立データモニタリング委員会の試験終了勧告を受け、試験を終了しています。

「OPC-34712」について

「OPC-34712」(開発コード)は、既存の統合失調症の治療や大うつ病の補助療法に比べ、優れた有効性と忍容性(例:アカシジア、落ち着きのなさ、不眠が少ない 等)が期待できる精神疾患の治療薬を目指して開発が進められている新規化合物です。モノアミン系に対し幅広い活性を持ち、ドパミンD2受容体におけるパーシャル・アゴニストとしての活性が小さく、特定のセロトニン受容体への親和性を強く示すという特性を持ちます。「OPC-34712」は、統合失調症および大うつ病の補助療法を対象とした臨床第III相試験の実施段階にあります。

会社概要

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