大塚製薬株式会社

ニュートラシューティカルズ関連事業
2011年12月1日

「子どもの排便状況と食物繊維の摂取」に関する実態調査
毎日の排便がない小学生は約4割
毎日の排便がない子どもの約6割の母親は食物繊維不足を実感

大塚製薬株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:岩本太郎)は、松生クリニック(東京都)の松生恒夫院長監修のもと、ベネッセコーポレーション運営の女性クチコミサイト「ウィメンズパーク」* にて6~12歳の子どもをもつ女性1,162名を対象に、「子どもの排便状況と食物繊維の摂取」に関する実態調査を行いました。

その結果、小学生の約4割が1日1回の排便がなく、現代の子どもたちの排便状況は決して良いとは言えないことが分りました。また、排便1日1回未満の子どもの母親の6割以上(62.1%)が子どもの食物繊維不足を実感している一方で、「子どもの排便状況の改善」を考えている母親は全体の約2割(21%)に留まり、全体的に意識が低いことが明らかになりました。

以下、調査結果についてレポートします。

  • *「ウィメンズパーク」:ベネッセコーポレーションが運営する会員数200万人以上の日本最大級女性クチコミサイト。
    妊娠・出産・育児の悩みや転勤や引越しに便利な地域のクチコミ情報、料理や家事のヒントを掲載する。

調査結果:主なトピックス

小学生の約4割(41.3%)は毎日の排便がない

  • 排便1日1回未満の割合は、低学年(1~3年生)ほど高い(44%)
  • 全体で排便1日1回未満の割合が1番高いのは小学1年生(47%)

約8割(78.8%)の母親が子どもの排便は順調だと思っている

  • さらに排便1日1回未満の子どもの母親の6割(60%)が、自分の子どもの排便は順調だと考えている

排便1日1回未満の子どもの母親の62.1%が「子どもの食物繊維不足」を感じている

  • 全体では、53.6%の母親が「子どもの食物繊維不足」を感じている

子どもの快便習慣が出来ていない」を認識する母親は僅か10.2 %

  • 子どもの生活習慣で改善したいことのベスト3は「食生活のアンバランスや偏食」 「運動不足」「寝不足」で、子どもの「快便習慣」への意識は低い

調査結果ダイジェスト

I.小学生の排便状況の実態

◆ あなたのお子様は、この一週間に何回、排便がありましたか? SA (n=1,162)

  • 「排便1日1回未満」(週6回以下)の子どもは全体で41.3%。

◆上記と「低学年」「高学年」及び「1~6年生の学年別」とのクロス集計 (n=1,162)

  • 小学生の低学年と高学年で比較すると、低学年の方が排便1日1回未満の割合が高い
    *は、それぞれ対応のあるt-検定により小学校高学年に対してp<0.05で有意差を示す。

  • 排便1日1回未満の割合は小学1年生が最も高い(47%)。

II.子どもの排便状況に対する母親の認識

◆あなたは、この一週間のお子様の排便に関して、どのような印象を持たれましたか。SA (n=1,162)

  • 全体で78.8%と、約8割近くの母親が、自分の子どもの排便は順調と思っている。
  • 「おおいに改善の必要を感じる」はわずか2.8%と少ない。
  • 約4割(41.3%)の「排便1日1回未満」の子ども(ダイジェストⅠ参照)が気づかれず放置されている可能性がある。

◆上記と「排便の回数:1日1回未満」「排便の回数:1日1回以上」のクロス集計(n=1,162)

  • 排便1日1回未満の子どもの母親でも、60%が自分の子どもの排便は順調だとっている。

III.子どもの食物繊維摂取に対する母親の認識

◆あなたとお子様の食物繊維の摂取量に関して、以下のいずれにあてはまると思いますか? より近いと思うものをお答えください。 SA (n=1,162)

  • 子どもの食物繊維の摂取量について「親子ともに不足」(38.2%)、「親は足りているが子は不足」(15.4%)を合わせた53.6%が不足を感じている。

◆上記と「食物繊維の摂取量」「排便の回数」のクロス集計 (n=1,162)

  • 排便1日1回未満の子どもの母親の62.1%が「子どもの食物繊維不足」を感じている。
  • 排便1日1回以上の子どもの母親の「子どもの食物繊維の不足」の認識47.7%と比べると差は明らか。
    *は、それぞれ対応のあるt-検定により排便の回数1日1回以上に対してp<0.05で有意差を示す。

◆上記クロス集計の詳細(n=1,162)

IV.子どもの健康、生活習慣に対する母親の認識

◆あなたのお子様の健康や生活習慣で、改善したい(感心しない、問題だ)と思っていることは、次のうちのどれですか。 MA (n=1,162)

  • 子どもの生活習慣で改善したいことのベスト3は「食生活のアンバランスや偏食」「運動不足」「寝不足」。
  • 自分の子どもの 「子どもの快便習慣が出来ていない」と思う母親は僅か10.2%。
  • 母親が自分の子どもの排便習慣を改善しようという意識は低い。
<調査概要>
調査対象と
回収サンプル数
6~12歳までのお子さんをもつ女性1,162名
調査地域 全国
調査方法 インターネット調査(ベネッセコーポレーション運営「ウィメンズパーク」会員 調べ)
調査期間 2011年10月17日(月)~2011年10月27日(木)
主な調査項目 ・あなたのお子様は、この一週間に何回、排便がありましたか?
・あなたは、この一週間のお子様の排便に関して、どのような印象を持たれましたか?
・あなたとお子様の食物繊維の摂取量は?
・あなたのお子様の健康や生活習慣で改善したい(感心しない、問題だ)と思っていることは?

V.参考レポート:松生クリニック 松生恒夫先生
子どもの将来にツケを残さないために、正しい排便習慣と腸内環境の改善を早いうちに

子どもの排便状況悪化は将来の病気のサイン!?

小学生の約4割に毎日排便がないというのはとても心配な結果です。子どもの頃に排便習慣が悪いというのは、実はその子の将来の健康に大きな負の因子を残している可能性があります。日本人の腸内環境が悪くなり始めたのは1970年頃と言われています。これは日本にファーストフードなどが広がり始めた時期と重なり、同時に、大腸がん、糖尿病、アレルギー性疾患などそれまであまり耳にしなかった病気が増えた時期でもあります。もちろん、それらがすべて腸内環境の悪化によるとは言えませんが、逆に全くの無関係と考えるのにも無理があります。つまり今の子どもたちの排便状況が良くないということは、将来の健康を心配した方がいいサインだと言うこともできるのです。

子どもの正しい排便習慣づくり

今では"働くお母さん"は珍しくなく、ファーストフードもコンビニ弁当も当たり前の時代になりました。しかし、そのような時代だからこそ、親は子どもの排便状況にもっと気を配ってほしいのです。

特に気をつけてほしいのは次の3点です。

  1. 子どもの体をさする。子どもはお腹の張りなどの軽い症状は何も言わずに我慢をしてしまいます。お腹の張りは触れば親でも分かります。入浴時などに子どもの体をくまなくさすってあげて、張りや硬いところ、色がおかしいところなどをチェックしてあげてください。
  2. 朝食を食べさせる。人の腸は、朝起きて食事を摂ることで始めて動き出し排便も活発になります。子どもは「排便は1日1回」などと考えもしないものです。しっかり朝食を食べさせてすっきり出すことを親が率先して習慣化させてあげてください。
  3. ウォッチング。小学校に入ると学校のトイレに行きたがらない子どもはどうしてもいます。そして我慢をして硬くなった便を無理に出そうとすると肛門が切れて、痛いとますます排便を嫌がるという悪循環になります。親は子ども便の状態がどうなのかいつも見るようにしてください。

親に気をつけてほしいこと

人間の腸の弾力のピークは20歳頃でそれまでは機能が発達する状態にあります。特に小さな子どもは腸の力がとても弱い状態にあり、放っておくと排便状況が悪くなるのはある意味当然です。私の病院にくる子どもの腹痛の原因の1位は便秘です。そのように便秘になると腸内環境も当然悪化します。それが将来の健康に大きなツケを残すことにもなりかねませんので、子どもの頃からの正しい排便習慣がとても大切なのです。

子どもの排便状況改善のためには、一つ目にまず下剤に頼らないことです。下剤は特に子どもの場合、排便力そのものを奪う作用がありますので注意が必要です。二つ目は、今回の調査でも排便状況の悪い人の方が不足を感じていた食物繊維の摂取です。私は便秘の患者さんに食物センイ飲料とオリゴ糖を寒天で固めたものを薦めていますが、これは改善に役立つととても評判です。三つ目は環境や季節の変化に合わせることです。今年3月の東日本大震災の避難所では多くの便秘が発生したと聞きました。また、夏は節電による発汗で水分不足となり便秘が増えました。冬になると空気が乾燥する上、寒くて外を歩かなくなるためやはり便秘になりがちです。

腸内環境づくりは、正しい排便習慣、バランスの良い食事、運動

このような対策は子どもだけでできるものではありません。今回の調査結果をきっかけとして、正しい排便習慣とバランスの良い食事、そして運動というトータルな形での子どもの腸内環境づくりに取り組んでいただければと思います。それが、ひいては子どもを将来の病から救うことにもつながるのですから。

松生恒夫(まついけ・つねお)
松生クリニック院長・医学博士

1955年、東京都生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。同大学第三病院内科助手、松島病院大腸肛門病センター診療部長などを経て、2004年、東京都立川市に松生クリニックを開業。専門は便秘治療。大腸内視鏡検査や生活習慣病としての大腸疾患の診療と治療、消化器疾患の漢方療法、地中海式食生活などを得意とする。現在までに3万件以上の大腸内視鏡検査を行ってきた第一人者。 著書に『「排便力」が身につく本』、『「腸内リセット」で便秘は必ず治る』(ともにマキノ出版)、『ひどい便秘の治し方』『「地中海式和食」のすすめ』(ともに講談社)、『便秘薬をやめて便秘を治す!』(現代書林)、『40歳からの腸内改造』(筑摩書房)など著書多数。新刊に『「腸ストレス」を取ると老化は防げる』(青春出版社)、『腸管免疫力を高めて病気にならない生き方』(永岡書店)がある。

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