大塚製薬株式会社

医療関連事業
2023年6月27日

抗精神病薬「ブレクスピプラゾール」
アルツハイマー型認知症に伴う行動障害(アジテーション)を対象とした
国内フェーズ3 試験で主要評価項目を達成し有効性を確認

大塚製薬株式会社(本社:東京都、代表取締役社長 井上眞、以下「大塚製薬」)は、アルツハイマー型認知症に伴う行動障害(アジテーション)の効能追加を目的とした「ブレクスピプラゾール」の国内フェーズ3試験において、主要評価項目を達成し、本剤の有効性が確認されたことをお知らせします。

本試験(NCT03620981)は、アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションを有する55歳から90歳の患者さん410名を対象とした多施設共同、プラセボ対照、ランダム化、二重盲検比較試験です。主要評価項目を投与10週時のCohen-Mansfield Agitation Inventory(CMAI:アジテーションの出現頻度を評価する指標)合計スコアのベースラインからの平均変化量とし、本剤1mgまたは2mgの有効性および安全性をプラセボと比較して評価しました。

試験結果速報では、主要評価項目であるCMAI合計スコアにおいて、ブレクスピプラゾールの1mg群および2mg群は、いずれもプラセボ群と比較して統計学的な有意差をもって有効性を示しました(1mg群: p=0.0175, 2mg群: p<0.0001)。また、臨床全般印象・重症度スコア(Clinical Global Impression-Severity Illness:CGI-S)など、副次評価項目においても、プラセボ群と比較してブレクスピプラゾールの1mg群および2mg群で改善が認められました。本試験においてブレクスピプラゾールは全般的に良好な忍容性を示し、新たな安全性の懸念は認められませんでした。

当社は、本試験結果の解析を進めるとともに、2023年後半に国内での効能追加申請を行う予定です。

現在、日本において本疾患に対して承認された薬剤はなく、承認された場合、ブレクスピプラゾールは本適応を有する初めての抗精神病薬となります。

ブレクスピプラゾールについて

新規抗精神病薬「レキサルティ®(一般名:ブレクスピプラゾール)」は、大塚製薬が創製した独自の薬理作用を有する化合物で、ルンドベック社と共同開発しています。2015年に米国で「成人の大うつ病補助療法」および「成人の統合失調症」の2つの効能で承認され、現在、統合失調症治療薬として、日本を含めた60以上の国・地域で展開しています。2023年5月には、米国で初めてとなる「アルツハイマー型認知症に伴う行動障害(アジテーション)」の治療における効能追加の承認を米国FDAより取得しました。

アルツハイマー型認知症に伴う行動障害(アジテーション)について

アルツハイマー型認知症に伴う行動障害(アジテーション)は、国際老年精神医学会において、徘徊や同じ動作の反復などの活動亢進、攻撃的発言または攻撃的行動のうち少なくとも1つ以上の症状からなり、患者さんの日常生活、社会生活、人間関係のいずれかに支障を来した状態と定義されています*1。これらの症状は、アルツハイマー型認知症の患者さんの約半数で認められ*2,3、介護者の負担を重くし、患者さん自身や家族、介護者の生活の質を低下させるとともに、患者さんが家族と同居できず介護施設へ入居せざるを得ない要因となっています。

<参考文献>

  1. *1Sano M et al. Agitation in cognitive disorders: Progress in the International Psychogeriatric Association consensus clinical and research definition. Int Psychogeriatr. 2023 Mar 7:1-13.
  2. *2Halpern R et al. Using electronic health records to estimate the prevalence of agitation in Alzheimer disease/dementia.

    Int J Geriatr Psychiatry 2019; 34: 420-431

  3. *3Fillit H et al. Impact of agitation in long-term care residents with dementia in the United States. Int J Geriatr Psychiatry

    2021; 36: 1959-1969