大塚製薬株式会社

医療関連事業
2025年7月19日

ブレクスピプラゾールの成人の心的外傷後ストレス障害(PTSD)
効能追加承認申請における米国FDA諮問委員会の結果について

大塚製薬株式会社(本社:東京都、代表取締役社長 井上眞、以下「大塚製薬」)は、7月18日(米国時間)に開催された米国食品医薬品局(FDA)の精神薬理学医薬品諮問委員会(PDAC)において、抗精神病薬「レキサルティ®(一般名:ブレクスピプラゾール)」の成人の心的外傷後ストレス障害(PTSD)における効能追加承認申請(sNDA)について議論されたことをお知らせします。

本会議では、諮問委員会による投票が行われ、「申請者(大塚製薬およびルンドベック)が成人のPTSDの効能追加における十分なデータを提供しているか」という質問に対し、否定的な見解(賛成1:反対10)が示されました。この会議の結果は、FDAがレキサルティとセルトラリンの併用療法をPTSDの成人患者に対する治療薬として審査する際に考慮される可能性があります。

本申請は、2つのフェーズ3試験(#071試験:416人の可変用量試験と#072試験:553人の固定用量試験)とフェーズ2試験(#061試験:321人の可変用量試験)に基づいています。いずれの試験も、成人のPTSD患者さんを対象とした、ブレクスピプラゾールとセルトラリン併用療法の有効性、安全性、忍容性を評価しました。これら3つの試験における主要評価項目は、投与10週目におけるセルトラリン単剤療法に対するブレクスピプラゾールとセルトラリン併用療法のCAPS-5(Clinician-Administered PTSD Scale for DSM-5)総スコアの変化量でした。

大塚ファーマシューティカルD&Cの上級副社長兼医学責任者 ジョン・クラウスは、「本日の結果は残念でしたが、当社はFDAがこの申請の審査を完了するまで、引き続き全面的に協力してまいります。レキサルティとセルトラリンの併用療法は、現在のPTSD治療方法に比べて意味のある違いをもたらすと考えています」と述べています。

ルンドベック社の上級副社長兼研究開発責任者 ヨハン・ルスマンは、「患者さんとPTSDコミュニティ全体への私たちのコミットメントは揺るぎません。PTSDは長年にわたり、治療が難しい複雑な疾患とされてきました。本試験に参加してくださった患者さんと治験機関の皆様に感謝申し上げます」と述べています。

大塚製薬とルンドベックは、審査終了に向けて、引き続きFDAと緊密に連携してまいります。

【PTSD(Post-Traumatic Stress Disorder)について】

PTSDは、米国で最も一般的な精神疾患のひとつであり、特定の年におけるPTSD発症率は約5%にも上ります1,2,3,4。PTSDは、心的外傷となる出来事や状況を経験または目にしたことで起こりうる精神疾患です。PTSDは患者さんにとって精神的または身体的に有害であるか、命にかかわる経験となり、精神的、身体的、社会的、精神的な健康が影響を受ける可能性があります。要因となる出来事の例として、自然災害や重大事故、テロ行為、戦争、暴力、いじめなどがあります5,6

【ブレクスピプラゾールについて】

新規抗精神病薬「レキサルティ(一般名:ブレクスピプラゾール)」は、大塚製薬が創製した独自の薬理作用を有する化合物です。海外ではルンドベック社と共同開発し、2015年に米国で「成人の大うつ病補助療法」および「成人の統合失調症」の2つの効能で承認され、現在、日本を含めた約60の国・地域で展開しています。2023年5月には、米国で初めてとなる「アルツハイマー型認知症に伴うアジテーション」の効能追加の承認を米国FDAより取得しました。日本でも、2024年9月に「アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、過活動又は攻撃的言動」の効能追加の承認を取得しています。

  1. Kessler RC, Petukhova M, Sampson NA, Zaslavsky AM, Wittchen H -U. Twelve-month and lifetime prevalence and lifetime morbid risk of anxiety and mood disorders in the United States. Int J Methods Psychiatr Res. 2012;21(3):169-184.
  2. Lehavot K, Katon JG, Chen JA, Fortney JC, Simpson TL. Post-traumatic Stress Disorder by Gender and Veteran Status [published correction appears in Am J Prev Med. 2019 Oct;57(4):573]. Am J Prev Med. 2018;54(1):e1-e9.
  3. Lancaster CL, Teeters JB, Gros DF, Back SE. Posttraumatic Stress Disorder: Overview of Evidence-Based Assessment and Treatment. J Clin Med. 2016;5(11):105.
  4. U.S. Department of Veterans Affairs. How Common Is PTSD in Adults? Last updated: Feb. 3, 2023. Last accessed: April 30, 2024. Available at: https://www.ptsd.va.gov/understand/common/common_adults.asp
  5. American Psychiatric Association: Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition. Arlington, VA, American Psychiatric Association, 2013
  6. American Psychiatric Association. What is Posttraumatic Stress Disorder (PTSD)? Last updated: November 2022. Last accessed: August 28, 2024. Available at: https://www.psychiatry.org/patients-families/ptsd/what-is-ptsd.