大塚製薬株式会社
Cantargia社のIL-1RAP抗体「CAN10」に関する資産譲渡契約を締結
‐ 大塚製薬が全世界での独占的開発・販売権を取得し、自己免疫疾患で事業化 ‐
大塚製薬株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:井上眞、以下「大塚製薬」)と、Cantargia AB(本社:スウェーデン・ルンド、CEO:Damian Marron、以下「カンタルジア社」)は、本日、カンタルジア社が開発中のIL-1RAP抗体「CAN10」に関連する資産を大塚製薬に譲渡する契約を締結しましたので、お知らせします。これにより、大塚製薬は、CAN10に関連する資産に関して、全世界において開発・製造・商業化等を独占的に実施する権利を獲得します。
CAN10は、IL-1RAP(InterLeukin-1 receptor accessory protein)を標的とするモノクローナル抗体です。自己免疫疾患では複数の異なるサイトカインが協調して病態を悪化させます。炎症反応において重要な役割を果たすサイトカインIL-1、IL-33、IL-36は各々別々の受容体と結合したのち、IL-1RAPとさらに相互作用することで初めて細胞内に炎症シグナルを伝えます。IL-1RAP抗体であるCAN10は、これらのIL-1RAPとの相互作用を阻害することで、複数のサイトカインのシグナルを同時に遮断する次世代の抗体医薬品となることが期待されます。
現在、カンタルジア社がフェーズ1試験(NCT06143371)を実施中で、健常人を対象に安全性と忍容性が確認されています。また、本抗体の作用メカニズムとして期待されるIL-1β、IL-36のシグナルが完全に阻害されたこともフェーズ1試験で確認されています。大塚製薬は、本抗体を自己免疫関連疾患領域における治療薬として開発を進める予定です。
今回の契約に基づき、大塚製薬はカンタルジア社に対して資産譲渡に伴う契約一時金(33百万米ドル)に加え、条件付き取得対価を支払います。なお、本契約に基づく正式な権利の取得は、今後届出を提出する外国直接投資(Foreign Direct Investment)規制当局の承認後に確定します。
大塚製薬 代表取締役社長 井上眞は、「大塚製薬は、米国子会社であるビステラ社の抗体医薬とジュナナ社の低分子創薬のプラットフォームを活用して、自己免疫疾患領域の研究開発パイプラインの拡充を進めています。ライセンス契約を締結した抗体医薬であるT細胞エンゲージャーHBM7020に加えて、マルチサイトカイン抑制抗体であるCAN10をパイプラインに加えることで、自己免疫疾患に関連する様々な経路を制御できる研究開発ポートフォリオの一層の拡大と加速を図り、より多くの患者さんに貢献できることを願っています」と述べています。
カンタルジア社CEOのDamian Marronは、「当社のCAN10の強力な可能性が大塚製薬に認められたことを大変嬉しく思います。この取引が、重度の免疫炎症性疾患に苦しむ数百万の患者さんのために貢献することを願っています。これは、当社がIL-1RAP生物学と抗体分野における世界トップクラスの地位を確立していることを示しており、がんをはじめとする疾患領域におけるプラットフォームとプログラムの推進を加速させるための重要なステップとなります」と述べています。
カンタルジア社のIL1-RAP抗体ポートフォリオに関して
カンタルジア社は、IL-1RAPを阻害する複数の抗体を研究開発しています。大塚製薬はCAN10の他、そのバックアップ抗体として3G5*も取得します。また契約後2年間、大塚製薬はカンタルジア社が研究開発する次世代のIL-1RAP抗体に関して独占的な交渉権を有します。なお、カンタルジア社が自社でがんを適応症として開発しているNadunolimab(CAN04)に関してはカンタルジア社が全ての権利を保持します。
* CAN10と類似したIL1RAPを標的とする前臨床段階の抗体
カンタルジア社について
カンタルジア社は、がんおよび炎症性・自己免疫関連疾患を対象とした医薬品の研究開発を専門とする、スウェーデンに本社を置くバイオテクノロジー企業です。IL-1RAPを標的とする抗体開発のリーディングカンパニーであり、スウェーデンの証券取引所に上場しています。
詳細はコーポレートサイトwww.cantargia.comをご覧ください。
大塚製薬について
大塚製薬は、一人ひとりの可能性に向き合うトータルヘルスケアカンパニーです。"Otsuka-people creating new products for better health worldwide"の企業理念のもと、未充足の医療ニーズに新たな価値を提供する医療関連事業と、科学的根拠をもった独創的な製品やサービスにより日々の健康維持・増進をサポートするニュートラシューティカルズ関連事業を通じて、人々のウェルビーイングの実現に向けて取り組んでいます。 詳細はコーポレートサイトwww.otsuka.co.jp をご覧ください。