大塚製薬株式会社
カルニチン欠乏症に2つの剤形で2月26日新発売
「エルカルチンFF内用液10%」「エルカルチンFF静注1000mg」
- 日本で唯一のカルニチン欠乏症の治療薬である「エルカルチン錠」※1に加え、新有効成分レボカルニチンを用いた内用液と注射剤の2つの新剤形を同時に発売
- 内用液は、錠剤が飲めない患者さんのために、また、注射剤はカルニチン欠乏により急な治療を要する場合や経口摂取ができない患者さんに速やかに補充が可能
- カルニチン欠乏症は、先天性代謝異常症の患者さんや血液透析の患者さんなどにみられ、筋肉の痛みや重症になると低血糖発作による昏睡などの症状がある患者さんにとって、新剤形が新たな治療選択肢になる
大塚製薬株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長 岩本太郎、以下、大塚製薬)は、レボカルニチン製剤の新しい有効成分・剤形として「エルカルチンFF内用液10%」および「エルカルチンFF静注1000mg」(一般名:レボカルニチン)をカルニチン欠乏症の効能・効果で2月26日に発売します。
大塚製薬は、「エルカルチン錠」を1990年に「プロピオン酸血症およびメチルマロン酸血症におけるレボカルニチン欠乏の改善」の効能・効果で発売し、その後学会等の要望で公知申請により2011年3月にカルニチン欠乏症」へ適応および用法・用量の変更を行いました。
「エルカルチンFF内用液10%」は、錠剤が飲めない患者さんのために、「エルカルチンFF静注1000mg」は、カルニチン欠乏により起こる急性期の脳症、高アンモニア血症等の患者さんや、経口摂取ができないカルニチン欠乏の患者さんなどに対して、速やかに補充できるよう開発した製剤です。2つの新剤形は、有効成分としてレボカルニチン(フリー体、FF: Free Form)を用いた製剤です。
- ※1 有効成分:レボカルニチン塩化物
- ※2 医薬品の有効性や安全性が医学薬学上公知であるとして、臨床試験の全部又は一部を新たに実施することなく行う承認申請
レボカルニチンについて
レボカルニチンは、食事(肉類、乳製品)による摂取と、生体内(肝臓、腎臓、脳)での生合成により供給される生体内物質であり、細胞膜に存在する有機カチオン/カルニチントランスポーター(OCTN2)を介して主として骨格筋、心臓、肝臓などの組織に取り込まれ存在します。
細胞内のカルニチンが何らかの原因により欠乏すると、これらのカルニチンの機能が不十分となり肝臓、脳、骨格筋、心筋など種々の臓器で異常が生じ、重篤なカルニチン欠乏症では、低血糖発作による昏睡や高アンモニア血症による脳症、心筋症や筋肉症状などが発症し、生命を脅かす臨床症状を呈し重篤で不可逆的な臓器障害を来します。
カルニチン欠乏症を発現する原因として、先天代謝異常(カルニチントランスポーター異常症、有機酸代謝異常症、脂肪酸代謝異常症など)、後天的医学条件(新生児に対する長期の完全静脈栄養など)や医療行為(透析や薬剤性など)が挙げられます。これらのカルニチン欠乏症のうち、OCTN2が先天代謝異常により遺伝的に機能低下している場合を一次性カルニチン欠乏症と称し、その他先天代謝異常症及び後天的医学条件によるカルニチン欠乏症を二次性カルニチン欠乏症と総称しています。
一次性及び二次性カルニチン欠乏症に対するレボカルニチン補充療法は、米国、イタリア、英国、ドイツ、フランス等では、一次性及び二次性カルニチン欠乏症を適応として承認され、臨床使用されており、安全で不可欠な治療法のひとつとして確立しています。また剤形として錠剤、液剤(内用薬)、注射剤などが承認されています。
エルカルチンについて
「エルカルチン錠」は、1990年に「プロピオン酸血症およびメチルマロン酸血症におけるレボカルニチン欠乏の改善」の効能・効果で承認を受け、大塚製薬が販売してきましたが、その他の原因によるカルニチン欠乏症に対しての適応症がありませんでした。
2010年10月に日本先天代謝異常学会や日本小児科学会からの効能追加等の要望に基づき、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議※3において、「エルカルチン錠」が公知申請に該当すると評価され、「カルニチン欠乏症」への適応および用法・用量の変更を行いました。しかし、剤形が錠剤のみであったため、同検討会議からの要請を受け、液剤、注射剤の開発を行いました。
- ※3 欧米では使用が認められているが、国内では承認されていない医薬品や適応について、医療上の必要性を評価するとともに、公知申請への該当性や、承認申請のために追加で実施が必要な試験の妥当性を確認すること等により、製薬企業による未承認薬・適応外薬の開発促進に資することを目的として設置された検討会議