大塚製薬株式会社
H.ルンドベックA/S
「ブレクスピプラゾール」 大うつ病併用補助療法の
フェーズ3試験結果を第53回米国神経精神薬理学会で発表
- 従来の抗うつ薬単剤治療で十分な効果が認められなかった大うつ病(MDD)患者に対し、「ブレクスピプラゾール」の併用補助療法は2つのフェーズ3試験において、プラセボに対してうつ症状を有意に改善
- 「ブレクスピプラゾール」は、ドパミンD2受容体及びセロトニン5HT1A受容体に結合してパーシャルアゴニストとして働き、セロトニン5HT2A受容体にはアンタゴニストとして働くSerotonin-Dopamine Activity Modulator(SDAM)と呼ばれる新しい作用機序を有する
- 「ブレクスピプラゾール」は統合失調症及び大うつ病 (MDD)併用補助療法の適応で2014年9月にFDAに申請。審査完了は2015年7月の見込み
大塚製薬株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:岩本太郎、以下「大塚製薬」)とH.ルンドベックA/S(本社:デンマーク、コペンハーゲン、取締役会議長:ホーカン ・ビョークルン、以下「ルンドベック社」)は、抗うつ薬の治療で十分な効果が認められない大うつ病(MDD)の併用補助療法として「ブレクスピプラゾール」のフェーズ3試験結果を、第53回米国神経精神薬理学会(ACNP、開催地:アリゾナ州フェニックス)で発表しました(米国時間12月9日)。今回はポスターセッションにて発表を行い、その中で「ブレクスピプラゾール」(OPC-34712)の大うつ病併用補助療法の有効性と安全性について、2つのピボタル臨床試験の結果を発表しました。
ペンシルバニア大学医学部 精神科教授、気分・不安障害プログラムディレクター及び臨床試験担当医師であるマイケル・E・テーズ先生は「患者さんが抗うつ薬の治療では効果が不十分な場合、医師は複数の薬を処方し効果を得ようとします。しかしそのため効果的な治療そのものが次第に無くなってしまいます。今回の結果は、抗うつ薬が十分な改善効果を示さなかった大うつ病の併用補助療法としての『ブレクスピプラゾール』の有効性と安全性を示す科学的根拠となっている点で有望な選択肢となり得ます」と述べています。
大うつ病(MDD)併用補助療法としての「ブレクスピプラゾール」の臨床試験結果
ポスターセッションでは、抗うつ薬で十分な改善が見られなかった大うつ病の併用補助療法としての「ブレクスピプラゾール」の有効性、安全性、忍容性を評価した2つのフェーズ3試験の結果が発表されました。
試験1(NCT01360645)と試験2(NCT01360632)について
1~3剤の抗うつ薬(現在最も一般的な治療法)に効果不十分であった大うつ病の患者さんを単盲検試験に組み入れ、抗うつ薬投与を8週間実施しました。この治療後、効果不十分な患者さんを二重盲検試験に組み入れ、無作為に「ブレクスピプラゾール」群またはプラセボ群に割り付けて、抗うつ薬との併用療法を6週間続けました。両試験とも、主要評価項目として、投与前値から6週間までのMADRS(Montgomery-Åsberg Depression Rating Scale)総得点の変化量を評価しました。各試験では、有効性評価対象集団及び最終治験実施計画書(プロトコール)に適合した(修正後の無作為化基準を満たした)対象集団について、当初試験計画の解析を実施しました。
両試験の主な結果は、以下の通りです。
- 「ブレクスピプラゾール」の併用補助療法は6週目で、試験1(抗うつ薬+ブレクスピプラゾール2mg [N=175]:-3.21、p=0.0002)及び試験2(抗うつ薬+ブレクスピプラゾール1mg群 [N=211]:-1.30、p=0.0737; 抗うつ薬+ブレクスピプラゾール3mg群 [N=213]:-1.95、p=0.0079)において、最終治験実施計画書に適合した有効性評価対象集団のMADRS総得点でプラセボ併用群を上回る改善を示しました。同様の結果が、両試験の有効性評価対象集団で確認されました。
- 治療完了例の割合は高く(>90%)、「ブレクスピプラゾール」群とプラセボ群で同等でした。有害事象による試験中断率は、すべての投与群で低く(ブレクスピプラゾール1mg群 = 1.3%、2mg群 = 3.2%、3mg群 = 3.5%、プラセボ群 = 0.7%)、効果不十分による試験中断はわずか1名でした(「ブレクスピプラゾール」1mg群)。
- 「ブレクスピプラゾール」併用補助療法において、すべての用量で鎮静作用及び賦活作用(焦燥感、落ち着きのなさ、不眠など)による副作用の出現は極めて低いレベルでした。
- 最も多く確認された有害事象(2つの試験を通していずれかの実薬群で出現率が5%を超え、プラセボを発現率で2倍以上上回っていたもの)は、アカシジア(4.4%、7.4%、13.5% 、1.7%)、体重増加(6.6%、8.0%、5.7% 、1.9%)、振戦(4.0%、2.1%、5.2%、2.2%)、傾眠(4.0%、4.3%、5.7%、0.5%)、上咽頭炎(6.6%、1.1%、3.1%、1.7%)でした。
括弧内は、それぞれ、抗うつ薬+1mg (N=226)群、抗うつ薬+2mg (N=188)群、抗うつ薬+3mg (N=229)群、プラセボ併用群(N=411)を指します。
試験1の結果は、2014年3月に第22回欧州精神科学会議 (EPA) のポスターセッションで発表されています。
大塚ファーマシューティカルD&C CEOのウィリアム・カーソンは「今回発表の試験結果は、大うつ病に対する『ブレクスピプラゾール』の有効性を評価した先行試験の結果を裏付けるものです。米国には成人の大うつ病患者さんが1,400万人以上おり、その大部分は抗うつ薬治療の効果が十分に得られない状態が続いています。有効で忍容性の優れた治療方法を求めて苦労している患者さんには新たな治療選択肢が必要です。今回の試験結果により我々の方向性の正しさが示されたと考えます」と述べています。
ルンドベック社研究開発部長兼副社長のアンダース・ガーセル・ペダーセンは「我々は大うつ病に悩む患者さんに貢献したいと考えてきました。今回の結果において、患者さんや治験医をはじめとするメンタルヘルス領域の関係者全体が連携し、『ブレクスピプラゾール』の複数の臨床試験を支えてくださっていることに感謝いたします。『ブレクスピプラゾール』は大うつ病の患者さんやその家族の皆様にとって、従来の治療との違いをもたらす可能性があると確信しています」と述べています。
大塚製薬とルンドベック社は、成人統合失調症に対する「ブレクスピプラゾール」単剤治療の有効性を評価したフェーズ3試験の結果も、ACNPで発表します。そこではポスターセッションにて、成人の急性統合失調症に対する「ブレクスピプラゾール」無作為化プラセボ対照比較試験2本の結果を発表します。
「ブレクスピプラゾール」について
「ブレクスピプラゾール」は大塚製薬が開発した新規抗精神病薬で、現在ルンドベック社と共同開発を行っています。「ブレクスピプラゾール」は、ドパミンD2受容体及びセロトニン5HT1A受容体に結合してパーシャルアゴニストとして働き、セロトニン5HT2A受容体にはアンタゴニストとして働くSerotonin-Dopamine Activity Modulator(SDAM)と呼ばれる新しい作用機序を有します。