大塚製薬株式会社

医療関連事業
2018年7月11日

米国バイオベンチャー「ビステラ社」の買収について
-抗体プラットフォーム技術を獲得-

大塚製薬株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:樋口 達夫、以下「大塚製薬」)は、本日、Visterra Inc.(本社:米国マサチューセッツ州ウォルサム、社長兼CEO:ブライアン ペレイラ、以下「ビステラ社」)に対して、大塚アメリカインク(大塚製薬の100%子会社:Otsuka America, Inc. 以下「OAI社」)を通じて、ビステラ社を現金430百万米ドル*1で完全子会社化(以下「本買収」)することについて合意し、契約を締結いたしましたので、下記の通りお知らせします。本買収は、今後、必要な手続き等を経て、2018年第3四半期中に完了する予定です。

  1. 1本買収価額は合意された企業価値であり、取得対価は取引完了時点のビステラ社の財務数値(現金及び現金同等物等、有利子負債)に基づき調整されます。

1. 本買収の目的と意義

ビステラ社は、タンパク質の機能に必須と考えられる部分の立体構造をコンピューター上で推定し、同じくコンピューター上で推定した無数の抗体の部分構造と結合シミュレーションを行い、最適な抗体構造を発見し、抗体医薬を設計する独自の抗体プラットフォーム技術(Hierotope® platform)を有しています。これにより、従来難しいと考えられていた多くの生体物質に対する抗体医薬品を開発できる可能性があります。現在、同社の抗体技術から既に一つの臨床開発品が生み出されており、早期に臨床開発に移行するプログラムも複数保有しております。その中でもIgA腎症の治療を目的とした「VIS649」は、現在承認された治療薬がない同疾患に対する有効な治療手段として年内の臨床試験開始を予定しています。このたびの買収により、大塚製薬は、従来の低分子創薬に加えて、新たに抗体創薬基盤を獲得することで、さらなる医薬品開発を進めてまいります。

大塚製薬は、最重点領域の中枢神経、がんに加え、腎・循環器、眼科・皮膚科、感染症領域を中心に医療用医薬品の研究開発を行っています。現在、「エビリファイメンテナ」、「レキサルティ」、「サムスカ/ジンアーク」などのグローバル製品群*2が順調に成長していますが、中長期での持続的な成長を目指すためには、さらなる開発品目の強化が必要です。2007年に米国マサチューセッツ工科大学よりスピンアウトして設立されたビステラ社は、当社の重点領域と一致する、腎疾患、がん、神経疾患、感染症領域における抗体医薬の豊富な開発品目を有しています。また、同社が目指す治療困難な疾患領域に対する研究開発方針は大塚製薬の企業理念*3や方向性と重なっています。

大塚製薬の代表取締役社長 樋口達夫は「ビステラ社の卓越した抗体プラットフォーム技術と豊富なパイプラインが大塚製薬に加わることを大変嬉しく思います。お互いの文化・技術・人材を尊重し融合することで、今後の強力な新薬創出エンジンになることを期待しています」と述べています。

  1. 2「エビリファイメンテナ」:抗精神病薬、「レキサルティ」:抗精神病薬、「サムスカ/ジンアーク」:V2 -受容体拮抗剤
  2. 3「Otsuka-people creating new products for better health worldwide」- 世界の人々の健康に貢献する革新的な製品を創造する

2. 本買収の概要

本買収によりビステラ社は、大塚製薬の完全子会社としてマサチューセッツ州ウォルサムにおいて事業を継続することが予定されており、同社のパイプライン開発も継続して実施します。また本買収は、大塚製薬が本買収のためにOAI社の傘下に設立した特別目的会社を、ビステラ社を存続会社とする形で同社に合併させることで実施されます。ビステラ社の既存株主には、当該合併の対価として現金が支払われる予定です。当社、ビステラ社両社の取締役会はそれぞれ本買収を承認していますが、本買収の実行には米国独占禁止法に基づく条件の充足等が必要となる可能性があります。これらの手続き等を経て、2018年第3四半期中の本買収完了を目指します。

3. 大塚製薬の概要

会社名 大塚製薬株式会社
所在地 東京都千代田区神田司町2-9
代表者

代表取締役社長 樋口 達夫

事業内容

医薬品・臨床検査・医療機器・食料品・化粧品の製造、製造販売、販売、輸出ならびに輸入

資本金

200億円

設立

1964年8月10日

従業員数

5,634名(2017年12月31日現在)

売上高

5,312億円(2017年12月期)

4. ビステラ社の概要

会社名 Visterra Inc.
所在地 275 2nd Avenue, Waltham, MA 02451, USA
代表者 Brian Pereira(ブライアン ペレイラ), President & CEO
事業内容 医薬品の研究開発
資本金 243米ドル*4(2018年3月31日現在)
設立 2007年
大株主及び持ち株比率*5 Polaris Partners 17.2%
Flagship Pioneering 15.3%
Bill and Melinda Gates Foundation 10.6%
Merck Research Lab Venture Fund 10.2%
Temasek Holdings*6 10.2%
総資産

25,479千米ドル*4(2018年3月31日現在)

純資産

△12,934千米ドル*4(2018年3月31日現在)

当社と当該会社との間の関係
(2018年7月11日時点)

資本関係

当社と当該会社との間には、記載すべき資本関係はありません。また、当社の関係者及び関係会社と当該会社の関係者及び関係会社の間には、特筆すべき資本関係はありません。
人的関係 当社と当該会社との間には、記載すべき人的関係はありません。また、当社の関係者及び関係会社と当該会社の関係者及び関係会社の間には、特筆すべき人的関係はありません。
取引関係 当社と当該会社との間には、記載すべき取引関係はありません。また、当社の関係者及び関係会社と当該会社の関係者及び関係会社の間には、特筆すべき取引関係はありません。

  1. 4監査は実施されておりません。
  2. 5大株主の持分比率は、本買収契約書に基づき、OAI社が取得予定の株式数を基に計算しています。なお、同株主が保有する優先株等は普通株式に換算された株式数を用いて試算しています。
  3. 6Vertex Ventures HCを通じた持分を含みます。
  • ビステラ社は臨床開発ステージの会社であり、製品販売に基づく売上収益を有していないため、経営成績は開示しておりません。

<ビステラ社の主な開発品目>

領域適応症ターゲット抗体ステージ
腎疾患

IgA腎症

APRIL

VIS649

前臨床

移植片対宿主病、ループス腎炎、膜性腎症

IL-2R 探索研究

ANCA関連血管炎、移植拒絶反応

C5aR 探索研究

C3腎炎

C3転換酵素 探索研究
がん 多発性骨髄腫 CD138 探索研究
神経疾患 慢性疼痛 Nav1.7 探索研究
感染症

インフルエンザA型感染症

ヘマグルチニン VIS410 フェーズ2
デング熱 エンベロープタンパク VIS513 前臨床
劇症型緑膿菌感染症 グリカン VIS705 前臨床
インフルエンザ予防、呼吸器合方体ウイルス(RSV)、重度真菌感染症 探索研究

5. 取得株式数、取得価額及び取得前後の所有株式の状況

異動前の所有株式数 0株
取得株式数 17,284,837 株(普通株式に完全希釈化した株数)*7
取得価額 430百万米ドル*1(概算額)
移動後の所有株式数

17,284,837 株(議決権所有割合 100%)

  1. 7本買収契約書に基づき、OAI社が取得予定の株式数を掲載しています。なお、同株式数は増資に伴う優先株等が普通株式に換算された株式数となります。

6. 日程

取締役会決議日 2018年7月11日
契約締結日 2018年7月11日
株式譲渡実行日 2018年度第3四半期(予定)

以上