大塚製薬株式会社
H. ルンドベックA/S

医療関連事業
2018年11月30日

抗精神病薬「ブレクスピプラゾール」
心的外傷後ストレス障害(PTSD)を対象とした海外フェーズ2試験結果について

  • ブレクスピプラゾールとセルトラリンの併用療法群は、PTSD患者さんを対象として海外で実施したフェーズ2試験の主要評価項目でプラセボ群と比較して症状の改善を示した(p<0.01)

  • 併用療法群は副次評価項目でもプラセボ群を上回る結果を示した

  • 試験結果について2019年に米国FDAと協議予定

大塚製薬株式会社(本社:東京都、以下「大塚製薬」)とH.ルンドベックA/S(本社:デンマーク、コペンハーゲン、以下「ルンドベック社」)は、抗精神病薬「ブレクスピプラゾール(一般名)」の心的外傷後ストレス障害(PTSD)患者さんを対象とした海外フェーズ2試験の結果が得られましたので、お知らせします。

本試験は、2017年に開始されたPTSDを有する18歳から65歳の成人患者さん321人を対象とした多施設共同、プラセボ対象、ランダム化、二重盲検比較試験です。ブレクスピプラゾール単剤療法群、セルトラリン単剤療法群、両剤併用群について、それぞれ可変用量で12週間投与における本剤の有用性、安全性および忍容性を比較検討しました。

主要評価項目であるCAPS-5(Clinician-Administered PTSD Scale for DSM-5:PTSD臨床診断面接尺度)の合計スコアのベースラインからの変化量において、ブレクスピプラゾールとセルトラリンの併用療法群はプラセボ群と比較してPTSDの症状を有意に改善しました(p <0.01)。副次評価項目である安全性および忍容性に関しては重篤なものはありませんでした。(プラセボ群で1件の死亡例が報告)

ブレクスピプラゾール単剤療法群では、プラセボ群と比較して有意な差を示しませんでした(p>0.35)。また、セルトラリン単剤療法群でも同様に有意差はみられませんでした(p>0.60)。

大塚製薬とルンドベック社は、本試験結果および継続試験プログラムの評価について、2019年に米国FDAと協議する予定です。

PTSDについて

PTSD(Post Traumatic Stress Disorder:心的外傷後ストレス障害)は、強烈なショック体験、強い精神的ストレスがこころのダメージとなって、時間がたってからもその経験に対して強い恐怖を感じる精神疾患です。震災などの自然災害、火事、事故、暴力や犯罪被害などが原因になるといわれています。

突然、怖い体験を思い出す、不安や緊張が続く、めまいや頭痛がある、眠れないといった症状が出てきます。ストレスとなる出来事を経験してから数週間、ときには何年もたってから症状が出ることもあります。

(厚生労働省HP 「みんなのメンタルヘルス」より)

ブレクスピプラゾール」について

大塚製薬が創製した新しい作用機序を有する化合物で、2011年よりルンドベック社と共同開発しています。ドパミンD2受容体およびセロトニン5-HT1A受容体に結合してパーシャルアゴニストとして働き、セロトニン5-HT2A受容体にはアンタゴニストとして働くSerotonin-Dopamine Activity Modulator(SDAM)と呼ばれる新しい作用機序を有しています。

本剤は、2015年7月に米国で成人の大うつ病の補助療法と統合失調症の2つの適応で承認され、大塚製薬とルンドベック社がグローバル・アライアンス契約のもと、「REXULTI(レキサルティ)」という製品名で共同販売しています。カナダでも、2017年2月に成人統合失調症の適応で承認を取得しました。日本では、本年1月に製造販売承認を取得し、4月から販売を開始しています。欧州では本年7月に承認を取得しました。また、アルツハイマー型認知症に伴う行動障害(アジテーション)を対象とした追加フェーズ3試験をグローバルで実施中です。