大塚製薬株式会社
毛髪の悩みとエクオール産生能の関係についての論文を発表
大塚製薬株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:井上眞、以下「大塚製薬」)は、人の腸内で大豆イソフラボンから作られる活性物質「エクオール」について研究を行っています。このたび、閉経後女性における毛髪の密度の低下、軟毛化、白髪化などとエクオール産生能の関係について明らかにし、その観察研究論文が、日本美容皮膚科学会誌に掲載されました。
- 要旨
【閉経後女性における毛髪とエクオール産生能の関係に関する観察研究】
45~64歳の日本人閉経後女性200名を対象に、腸内でエクオールをつくれるか否かと、頭頂部の毛髪の本数・密度と直径、さらに毛髪に対する自覚症状との関係を調査しました。エクオールは大豆イソフラボンから特定の腸内細菌により産生される成分で、このエクオールをつくれる人は日本人で2人に1人と考えられています。今回の調査の結果、エクオールをつくれる人は全体の47%にあたる93人でした。エクオールをつくれない人は、閉経後の経過月数が長い人ほど、密度が減り細い毛髪(軟毛)が増えましたが、エクオールをつくれる人では、密度も軟毛も変わりませんでした。また、エクオールがつくれない人に比べてつくれる人で白髪が少なく、毛髪の「まとまり、ハリ・コシ」及び「ツヤ、光沢」の自覚が良好でした。
以上の結果は、閉経後の女性においてエクオールが毛髪の老化(密度の低下、軟毛化、白髪化)抑制に関与することを示唆しています。
エストロゲン様作用によって女性の健康に広く寄与することが実証されているエクオールですが、今回の成果から新たなエクオールの可能性と、女性の毛髪領域におけるさらなる研究の発展が期待されます。
日本美容皮膚科学会雑誌 Vol.30 No.1 「閉経後女性における毛髪とエクオール産生能の関係に関する観察研究」
岩下聡、宮川春菜、上野友美、浜本圭介、内山成人、植木理恵
The Journal of Japanese Society of Aesthetic Dermatology Vol.30 No.1
Equol status affects hair aging in postmenopausal women: A cross-sectional study
Soh Iwashita, Haruna Miyakawa, Tomomi Ueno, Keisuke Hamamoto, Shigeto Uchiyama, Rie Ueki
- エクオールについて
エクオールは、大豆イソフラボンの一つであるダイゼインから、腸内細菌の働きによって産生される代謝物です。大豆を摂取すると腸内で産生され、エストロゲンに似た構造を持つことから、その受容体に結合し弱い女性ホルモン(エストロゲン)様作用を有します。以前は大豆イソフラボンが女性ホルモンに似た働きをすると考えられていましたが、研究が進むにつれて、女性の健康や美容を支えるチカラは大豆イソフラボンではなく、大豆イソフラボンが代謝されてできるエクオールにあることがわかったのです。しかし、エクオールを産生できる人の割合は、日本や中国など大豆をよく食べる国では約50%、欧米人では約30%にとどまるといわれ*大豆を食べても、その恩恵を受けられない人がいます。現在ではエクオールを含む食品の利用によって、腸内細菌の有無に関わらず健やかに生きるために女性ホルモンの働きを補うという選択が可能となっています。
- *日本女性医学学会雑誌, 20: 313-332, 2012
- 大塚製薬・エクオールの研究開発について(参考WEBサイト:エクオールライフ https://equol.jp/)
大塚製薬は、長年の大豆研究の中で、更年期の女性の心や身体の変化に注目し、1996年から佐賀栄養製品研究所において研究を開始しました。2002年にはエクオールを産生する乳酸菌ラクトコッカス20-92株の単離に成功し、この乳酸菌で大豆胚芽を発酵し生成したエクオールを用い、その有用性と安全性について国内外で研究を重ねています。2014年、エクオールを手軽に摂取できる食品を日本で発売した後も、医薬専門家の協力を得ながら、「ゆらぎ世代」の女性の健康維持増進や生活の質の向上にむけた情報提供活動を行っています。