大塚製薬株式会社

医療関連事業
2020年5月5日

腎性貧血治療薬「バダデュスタット」
グローバルフェーズ3試験のポジティブな結果速報について

  • バダデュスタットが、フェーズ3試験で有効性と安全性における主要評価項目を達成したことをアケビア・セラピューティクス・インクが発表
  • 明確で一貫性のあるデータで、米国FDAその他の国の薬事申請に進む

大塚製薬株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:井上眞、以下「大塚製薬」)は、腎臓分野に特化した商業化・開発を行っているバイオ製薬企業のアケビア・セラピューティクス・インク(本社:米国マサチューセッツ州・ケンブリッジ、社長兼CEO:ジョン・P・バトラー、以下「アケビア社」)が、慢性腎臓病に伴う透析期における貧血の経口治療薬(低酸素誘導因子安定化剤)「バダデュスタット(vadadustat)」のグローバル臨床試験(フェーズ3)においてポジティブな結果速報を発表したことをお知らせします。

2つの臨床試験(INNO2VATE trials)では、成人の透析期における慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease: CKD)に伴う貧血患者さんを対象に、バダデュスタットの有効性および安全性を注射剤のダルベポエチン アルファ(遺伝子組換え)製剤と比較して評価しています。それぞれの主要評価項目であるバダデュスタット投与群のベースラインと主要評価期間(24~36週)と副次的評価期間(40~52週)におけるヘモグロビン(Hb)の平均変化量は目標範囲内に維持され、対照薬投与群に対する非劣性を示しました。また、安全性においても、バダデュスタット投与群は、死亡、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中など主要な心血管系有害事象(MACE)が発生するまでの時間で、対照薬投与群に対して非劣性を示しました。明確で一貫性のあるデータであり、今後米国FDAその他の国の薬事申請に進みます。

大塚製薬とアケビア社は2016年に米国におけるバダデュスタットの共同開発・共同販売の契約を締結しています。また、両社は2017年に開発・販売エリアを拡大するグローバルライセンス契約も締結しました。これにより、大塚製薬は、日本と中南米を除く、欧州、カナダ、オーストラリア、中国等*で本剤を独占的に販売する権利を有しています。

  • *田辺三菱製薬株式会社がライセンスを取得している日本・アジア諸国以外の国

【INNO2VATE試験の概要】

INNO2VATE試験は、3,923人の血液透析を受けている慢性腎臓病の貧血患者さんを登録した2つのグローバル、多施設共同、オープンラベル、実薬(ダルベポエチン アルファ)対象、非劣性のフェーズ3試験です。患者さんは、バダデュスタット投与群または対照薬投与群のいずれか1:1に無作為化されています。試験の詳細についてはclinicaltrials.govをご参照ください。

NCT02892149
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02892149?term=NCT02892149&draw=2&rank=1

NCT02865850
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02865850?term=NCT02865850&draw=2&rank=1

【参考】
バダデュスタット(vadadustat:アケビア社保有)について

低酸素誘導性因子(Hypoxia Inducible Factor;HIF)の分解酵素である低酸素誘導性因子プロリル水酸化酵素(HIF Prolyl Hydroxylase ; HIF-PH)を阻害することにより、エリスロポエチン転写因子であるHIFを安定化・調整する働きをします。HIFは、酸素濃度の変化に応答し、赤血球の産生に関与する遺伝子発現を制御します。バダデュスタットは、標高が高くなって酸素濃度が低下した時に、人体が低酸素状態に自然に適応するメカニズムと同じ作用で働きます。人体は低酸素状態では、HIFの産生を上昇させます。このHIFはエリスロポエチン産生を導くのみでなく鉄輸送能を改善する働きもあるので相互依存的プロセスを調整することで、赤血球の産生を高め、結果として酸素運搬を改善します。