大塚製薬株式会社

医療関連事業
2021年6月1日

腎性貧血治療薬「バダデュスタット」 米国FDAが製造販売申請を受理
- 透析期および保存期における成人の慢性腎臓病に伴う貧血の適応で -

大塚製薬株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:井上眞、以下「大塚製薬」)は、6月1日(米国時間)、アケビア・セラピューティクス・インク(本社:米国マサチューセッツ州・ケンブリッジ、社長兼CEO:ジョン・P・バトラー、以下「アケビア社」)と共同で開発を進めている経口の腎性貧血治療薬「バダデュスタット(一般名)」について、透析期および保存期における成人の慢性腎臓病(CKD)に伴う貧血の適応で、米国FDAが新薬承認申請(NDA)を受理したことをお知らせします。

本剤の審査終了目標日は、処方薬ユーザーフィー法(PDUFA)に基づき、2022年3月29日に設定されています。大塚製薬はアケビア社と連携し、欧州医薬品庁(EMA)へも申請を予定しています。

アケビア社の社長兼CEO ジョン・P・バトラーは、「バダデュスタットのNDA申請が受領されたことは、当社と大塚製薬だけでなく、慢性腎臓病による貧血の患者さんに新しい経口治療の選択肢をもたらすための重要なマイルストーンを示しています。明確で質の高い臨床試験結果によりFDAの審査に協力できることを楽しみにしています。承認後は、バダデュスタットの上市をサポートするため、引き続きパートナーの大塚製薬と協力してまいります」と述べています。

大塚製薬の専務取締役 医薬品事業担当 カビア・ナスは「バダデュスタットの開発において、アケビア社とともにこのマイルストーンを達成できたことを誇りに思います。米国での製造販売承認とともに、できるだけ早く慢性腎臓病を患う患者さんに利便性の高い新たな治療選択肢をお届けすることが私たちの共通のコミットメントです」と述べています。

両社は、2016年に米国における共同開発・共同販売の契約を締結しています。2017年の契約拡大に伴い、欧州では両社が共同開発および大塚製薬が販売、日本と中南米を除くその他の地域*では、大塚製薬が独占的に開発および販売を実施する権利を有しています。

  • *田辺三菱製薬株式会社がライセンスを取得している日本・アジアの国および地域(台湾、韓国、シンガポール、マレーシア、インドネシア他)以外の国

【参考】

バダデュスタット(vadadustat:アケビア社保有)について

低酸素誘導性因子(Hypoxia Inducible Factor;HIF)の分解酵素である低酸素誘導性因子プロリル水酸化酵素(HIF Prolyl Hydroxylase ; HIF-PH)を阻害することにより、エリスロポエチン転写因子であるHIFを安定化・調整する働きをします。HIFは、酸素濃度の変化に応答し、赤血球の産生に関与する遺伝子発現を制御します。バダデュスタットは、標高が高くなって酸素濃度が低下した時に、人体が低酸素状態に自然に適応するメカニズムと同じ作用で働きます。人体は低酸素状態では、HIFの産生を上昇させます。このHIFはエリスロポエチン産生を導くのみでなく鉄輸送能を改善する働きもあるので相互依存的プロセスを調整することで、赤血球の産生を高め、結果として酸素運搬を改善します。