大塚製薬株式会社
H. ルンドベックA/S

医療関連事業
2022年6月27日

抗精神病薬「ブレクスピプラゾール」
アルツハイマー型認知症に伴う行動障害(アジテーション)を対象とした
グローバルフェーズ3 試験で主要評価項目を達成し有効性を確認

  • アルツハイマー型認知症に伴う行動障害(アジテーション)を対象としたグローバルフェーズ3試験の結果、ブレクスピプラゾール投与群はプラセボ投与群と比較して、主要評価項目および主副次評価項目において統計学的な有意差をもって有効性を示しました
  • 現在、本疾患に対して米国で承認された薬物療法はありません

大塚製薬株式会社(本社:東京都、以下「大塚製薬」)とH.ルンドベックA/S(本社:デンマーク、コペンハーゲン、以下「ルンドベック」)は、アルツハイマー型認知症に伴う行動障害(アジテーション)の効能追加を目的とした「ブレクスピプラゾール」のグローバルフェーズ3試験の結果速報で、あらかじめ設定した基準を達成し、本剤の有効性が確認されたことをお知らせします。

試験結果速報では、アルツハイマー型認知症に伴うアジテーション症状を有する患者さんに対して、主要評価項目として評価したベースラインから12週目までのCohen-Mansfield Agitation Inventory(CMAI)総スコアの変化量の平均値で、ブレクスピプラゾール2mgまたは3mg投与群はプラセボ投与群と比較して統計学的な有意差(p=0.0026)をもって有効性を示しました。また、主副次評価項目であるアジテーションに関連したClinical Global Impression-Severity Illness(CGI-S)においても統計学的な有意差(p=0.0055)で有効性を示しました。

本試験においてブレクスピプラゾールは全般的に良好な忍容性を示し、新たな安全性の懸念は認められませんでした。ブレクスピプラゾール投与群で5%以上の発現率を示した有害事象は頭痛(6.6% vs プラセボ6.9%)のみでした。また、ブレクスピプラゾール投与群で2%以上の発現率がありかつプラセボ投与群よりも発現率が高かった有害事象は、傾眠、鼻咽頭炎、めまい、下痢、尿路感染症、無気力症でした。3mg/day投与群で死亡例が1例認められましたが、治験担当医師により治療薬との関連性はないと評価されています。

今後さらに試験結果の解析を進め、本剤の有効性および安全性を明らかにしていく予定です。

これにより両社は、本試験とすでに終了している2つの試験結果に基づき、2022 年後半に米国での承認申請を予定しています。なお、本件は 2016年2月に米国FDAよりファストトラック(優先承認審査制度)の指定を受けています。

グローバルフェーズ3 試験について

本試験(NCT03548584)は、アルツハイマー型認知症に伴うアジテーション症状を有する55歳から90歳の患者さん345名を対象とした多施設共同、プラセボ対照、ランダム化、二重盲検比較試験です。

主要評価項目である一定期間内の具体的なアジテーションの出現頻度を介護者が評価するCMAI合計スコアのベースラインからの平均変化量、主副次的評価項目であるCGI-Sのベースラインからの平均変化量で、本剤2mgまたは3mgの有効性および安全性をプラセボ群と比較して評価しました。

ブレクスピプラゾールについて

新規抗精神病薬「レキサルティ®(一般名:ブレクスピプラゾール)」は、大塚製薬が創製した独自の薬理作用を有する化合物で、ルンドベック社と共同開発しました。2015年に米国で「成人の大うつ病補助療法」および「成人の統合失調症」の2つの効能で承認され、現在、統合失調症治療薬として、約60カ国で展開しています。