大塚製薬株式会社

医療関連事業
2024年3月22日

新規結核治療薬「quabodepistat」の良好な臨床試験結果について
ー フェーズ2b/c試験の中間解析結果を国際学会で発表 ー

大塚製薬株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:井上眞、以下「大塚製薬」)およびその米国子会社のOtsuka Pharmaceutical Development & Commercialization, Inc.(所在地:米国ニュージャージー州・プリンストン、以下「OPDC」)は、新規結核治療薬候補化合物「quabodepistat(開発コード:OPC-167832)」のフェーズ2b/c試験の良好な中間解析結果を発表しました。本剤は、新しい作用機序を持つ抗結核化合物で、結核を引き起こす結核菌の細胞壁の合成に必要な酵素を阻害します1,2。中間解析において、本剤を基盤とした3剤併用療法(quabodepistat、デラマニド、ベダキリン)での4カ月治療は、標準治療である4剤併用療法(RHEZ:リファンピシン、イソニアジド、エタンブトール、ピラジナミド)での6カ月治療と同様の安全性と有効性を薬剤感受性肺結核の被験者に対して達成できることを示しました。

OPDCが南アフリカの6つの臨床研究施設で実施している臨床試験(NCT05221502)では、薬剤感受性肺結核と診断された被験者に対し、quabodepistat、デラマニド、ベダキリンの3剤を4ヶ月間投与し、これを標準治療である6ヶ月間の4剤併用療法(RHEZ)と比較して評価しています。試験の中間解析結果は、本剤を基盤とした3剤併用療法の治療終了時の喀痰培養陰性化率が、4剤併用療法(RHEZ)と同等であることを示しました3。3剤併用療法の忍容性は良好で、治療に関わる重篤な有害事象は認められませんでした。

結核は世界的に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に次ぐ致命的な感染症です4。大塚製薬は世界から結核をなくすためにビル&メリンダ・ゲイツ財団と提携しており、当臨床試験の実施にあたり、当財団より資金提供を受けています。

大塚製薬の抗結核プロジェクト・グローバルプロジェクトリーダーである川﨑昌則は、「この度の良好な中間解析結果は、私どもにとって大いに励まされる結果でした。ビル&メリンダ・ゲイツ財団の支援を得て、結核患者さんに対してより安全で効果的な治療法の探索を継続できることを嬉しく思います。臨床試験に参加しているすべての患者さんとそのご家族、そして医療関係者の皆様に心から感謝しています」と述べています。

当中間解析は、本年3月初旬に米国コロラド州デンバーで開催された「2024年 レトロウイルス・日和見感染症会議(CROI Conference)」で発表されました。フェーズ2b/c試験の最終的な結果は、2024年末までに明らかになる予定です。

臨床試験(NCT05221502)について
NCT05221502は、多施設共同、フェーズ2b/c、オープンラベル、ランダム化、投与量決定試験で、デラマニドとベダキリンとの組み合わせでのOPC-167832の4ヶ月間の投与が、薬剤感受性肺結核患者において、6ヶ月間の標準治療と比較して安全性と効果を評価するために設計されました。

References:

  1. *1Hariguchi N et al. OPC-167832, a Novel Carbostyril Derivative with Potent Antituberculosis Activity as a DprE1 Inhibitor. Antimicrob Agents Chemother. 2020 May 21;64(6):e02020-19.
  2. *2Dawson R et al. Quabodepistat in Combination with Delamanid and Bedaquiline in Participants with Drug-Susceptible Pulmonary Tuberculosis: protocol for a multicenter, phase 2 b/c, open-label, randomized, dose-finding trial to evaluate safety and efficacy. Trials. 2024 Jan 19;25(1):70.
  3. *3Dawson R et al. A 4-month Regimen of Quabodepistat, Delamanid and Bedaquiline for Pulmonary TB: Interim Results. Conference on Retroviruses and Opportunistic Infections (CROI), 5 March 2024, Denver, Co., USA; Abstract no. 163.
  4. *4World Health Organization, Tuberculosis key facts https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/tuberculosis