大塚製薬株式会社
H. ルンドベックA/S

医療関連事業
2024年3月22日

アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションに対するブレクスピプラゾールの
有効性について米国老年精神医学会(AAGP)2024にて新たなデータ分析結果を発表

  • グローバルフェーズ3試験の新しい分析結果では、ブレクスピプラゾールが神経精神症状全体とアジテーションの緩和に関連していることが示されました。
  • ブレクスピプラゾールは介護者の負担を軽減することが分かり、その効果は早ければ4週間で現れました。
  • ブレクスピプラゾールがアルツハイマー型認知症に伴うアジテーションに効果的であることは、認知症の重症度、ケアの環境、他の薬剤との併用や過去の薬剤使用、他の神経精神症状がある場合、いずれにおいても確認されました。
  • さらに、精神病症状の有無にかかわらず、ブレクスピプラゾールはアルツハイマー型認知症に伴うアジテーションの改善をもたらしました。

大塚製薬株式会社(本社:東京都、以下「大塚製薬」)とH.ルンドベックA/S(本社:デンマーク、コペンハーゲン、以下「ルンドベック」)は、米国ジョージア州アトランタで開催された米国老年精神医学会(American Association for Geriatric Psychiatry:AAGP)の2024年度年次総会において、アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションの患者さんに対するブレクスピプラゾールの安全性と有効性を評価する2つの主要なフェーズ3試験における新たな事後プール解析結果1について発表しましたので、お知らせします。(注:本効能は日本国内では未承認です)

ブレクスピプラゾールは、大塚製薬が創製した独自の薬理作用を有する化合物で、ルンドベック社と共同開発しています。2015年に米国で「成人の大うつ病補助療法」および「成人の統合失調症」の2つの効能で承認され、2023年5月には、米国で初めてとなる「アルツハイマー型認知症に伴うアジテーション」の効能追加の承認を米国FDAより取得しました2。アジテーション症状は、アルツハイマー型認知症の患者さんの約半数で認められ、国際老年精神医学会において徘徊や同じ動作の反復などの活動亢進、攻撃的発言または攻撃的行動のうち少なくとも1つ以上の症状からなり、患者さんの日常生活、社会生活、人間関係のいずれかに支障を来した状態と定義されています。

大塚製薬とルンドベックは、AAGPでブレクスピプラゾールの効果について調査した3つの解析結果を発表しました。1つ目の発表は、神経精神症状評価尺度(NPI)を使用し、ブレクスピプラゾールが患者さんの神経精神症状と介護者の負担にどのような影響を与えるかを調べたものです。NPIは12の神経精神症状項目からなり、介護者へのインタビューに基づいて評価されます。ブレクスピプラゾールはプラセボと比較して、12週間で神経精神症状全体とアジテーションを軽減することがわかりました。さらに、ブレクスピプラゾールは介護者の負担を軽減することも示し、その効果は4週目から確認されています1

2つ目の発表では、実際の医療現場でよく見られる4つの患者さんの特性(認知症の重症度、ケアの環境、他の薬剤との併用や過去の薬剤使用、興奮を除く他のNPI症状)に分けて、ブレクスピプラゾールがアジテーションにどのような影響を与えるかを調査しました。その結果、12週間後のCMAI(Cohen-Mansfield Agitation Inventory:アジテーション症状29項目の出現頻度を評価する指標)の評価尺度によると、どの患者さん特性においてもブレクスピプラゾールの効果が確認されました3

3つ目の発表では、精神病症状の有無で患者さんを2つのグループに分けて、ブレクスピプラゾールの効果と安全性を調査しました。患者さんの約4人に1人が精神病症状を有しており、ブレクスピプラゾール2mg/日または3mg/日群において、12週時におけるCMAIトータルスコアを改善し、アジテーションの改善が確認されました。ブレクスピプラゾールの0.5mg/日から3mg/日における安全性と忍容性に新たな懸念は認められませんでした4

セントルイス大学医学部のGeorge T. Grossberg医師は、「アルツハイマー型認知症によって現れる様々な症状は、患者さんだけでなく、そのケアを担当する人々の生活にも大きな影響を与えます。そのため、ブレクスピプラゾールがアジテーションをどのように軽減し、それが介護者の負担にどのように影響するかを調査したこの新しい分析はとても重要です」と述べています。

大塚製薬取締役兼、大塚ファーマシューティカルD&C 上級副社長兼、医学責任者であるJohn Krausは、「これらの研究結果は、アルツハイマー型認知症とアジテーション症状をそれぞれ独立して治療することの重要性を強調しています。そして、FDAが承認した治療法を選ぶことで、医師がこれらの症状を対処する自信を持つことができます。このような重要な臨床試験に参加された介護者やその家族の努力に深く感謝しています」と述べています。

ルンドベック社の上級副社長兼研究開発責任者であるJohan Luthmanは、「通常、家族が介護者としてアルツハイマー型認知症の患者を世話するのに週に20時間以上かかることがあります5。AAGPで発表した幅広い研究結果は、アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションに対するブレクスピプラゾールの全ての可能性を追求し続ける私たちの決意を示しています」と述べています。



Reference

  1. *1Brubaker M, Wang D, Chumki S, et al. Efficacy of Brexpiprazole Across Agitation Behaviors in Alzheimer's Disease, Including Impact on Caregivers, Analyzed Using the Neuropsychiatric Inventory: a Post Hoc Pooled Analysis of Randomized, Fixed-dose, Placebo-controlled Trials. American Association for Geriatric Psychiatry (AAGP), Atlanta, Ge., March-15-18, 2024.
  2. *2FDA News Release. FDA Approves First Drug to Treat Agitation Symptoms Associated with Dementia due to Alzheimer's Disease. Published: May 11, 2023. Last accessed: Feb 20, 2024. Available at: https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/fda-approves-first-drug-treat-agitation-symptoms-associated-dementia-due-alzheimers-disease
  3. *3Brubaker M, Wang D, Chumki S, et al. Efficacy of Brexpiprazole in Patients With Agitation Associated With Dementia Due to Alzheimer's Disease Analyzed by Patient Characteristics: a Post Hoc Pooled Analysis of Randomized, Fixed-dose, Placebo-controlled Trials. American Association for Geriatric Psychiatry (AAGP), Atlanta, Ge., March-15-18, 2024.
  4. *4Behl S, Chang D, Chen D, et. al. Efficacy of Brexpiprazole in Patients with Agitation Associated With Alzheimer's Dementia Analyzed by Presence or Absence of Psychosis: a Pooled Analysis. American Association for Geriatric Psychiatry (AAGP), Atlanta, Ge., March-15-18, 2024.
  5. *5Alzheimer's Association. 2015 Alzheimer's Disease Facts and Figures. Alzheimer's & Dementia 2015;11(3)332. Last accessed: 07 Mar, 2024. Available at: https://www.alz.org/media/documents/2015factsandfigures.pdf