大塚製薬株式会社
「Jnana Therapeutics社」の買収完了について
大塚製薬株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:井上眞、以下「大塚製薬」)は、Jnana Therapeutics Inc.(本社:米国マサチューセッツ州ボストン、以下「ジュナナ社」)の買収が完了し、ジュナナ社は大塚製薬の100%子会社である大塚アメリカ Inc.(本社:米国カリフォルニア州サンフランシスコ)の完全子会社となりましたので、お知らせします。
本年8月に締結した合意内容に基づき、大塚製薬はジュナナ社株主に対し、同社の全発行済み株式の取得対価として800百万米ドルを支払いました。また、今後の開発品の進捗に応じた開発マイルストンおよび薬事マイルストンとして最大325百万米ドルを支払う可能性があります。
ジュナナ社は、独自の革新的な創薬アプローチであるRAPID(Reactive Affinity Probe Interaction Discovery)プラットフォームを利用して、従来のスクリーニング系では低分子医薬品の獲得が難しかった様々な医薬品標的に対して、ファースト・イン・クラスの化合物を同定し、自己免疫疾患領域や一部の希少疾患に集中することで、ユニークな競争ポジションを築いています。自己免疫疾患の分野では、インターフェロンの産生を司る主要な転写因子であるIRF3(インターフェロン調節因子3)など、医学的・生物学的に疾患への寄与が確認された標的に対する低分子化合物の創薬に取り組んでいます。
この創薬技術を用いて、同社は、腎臓におけるアミノ酸の再吸収を制御するタンパク質に対する経口低分子阻害剤JNT-517を開発し、乳児期から症状が現れることが多い遺伝性代謝性希少疾患である、フェニルケトン尿症(PKU)患者さんでのフェーズ1b/2試験を進めています。ジュナナ社は、本年9月に開催された学会(SSIEM 2024 Annual Symposium)において、フェーズ1b/2試験の中間解析結果を発表しました。今回の学会発表では、75mgに加えて、新たに150mg(いずれも1日2回)のデータが開示されました。概要は以下の通りです。
フェーズ1b/2試験の中間解析データ
- 疾患の重篤度、既存治療への不反応性に関わらず、投薬後1週間以内に強い血中フェニルアラニン低下効果が観察された。
- 150mg群(1日2回、経口投与)では、投与2~4週間後の血中フェニルアラニンの平均値は投与前から60%低下した(プラセボとの統計学的有意差p=0.0002)。
- いずれの投与群においても、重篤な有害事象は観察されず、忍容性と安全性が確認された。
(ご参考:ポスター発表資料 https://www.jnanatx.com/jnt-517-a-first-in-class-slc6a19-inhibitor/)
JNT-517はPKUに対して、米国食品医薬品局(FDA)からオーファンドラッグ指定および小児希少疾患医薬品指定を、欧州医薬品庁(EMA)からはオーファン指定を受けています。またEMAからは高フェニルアラニン血症に対する優先医薬品指定(PRIME:PRIority MEdicines)を受けています。今回のフェーズ1b/2試験のデータに基づき、米欧の当局と現在協議中で、2025年早期にはフェーズ3試験を開始する予定です。