大塚製薬株式会社
ループス腎炎治療薬「ルプキネス®」の製造販売承認を取得
大塚製薬株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:井上眞、以下「大塚製薬」)は、本日、カルシニューリン阻害剤「ルプキネス®カプセル7.9mg(一般名:ボクロスポリン)」について、「ループス腎炎」の適応で、日本国内における製造販売承認を取得しましたので、お知らせします。
ルプキネスは、ループス腎炎を対象に開発された新規の経口免疫抑制剤で、T細胞の増殖・活性化に重要な酵素であるカルシニューリンを阻害することで免疫抑制作用を発揮すると考えられています。米国においては、オーリニア社が2021年1月に米国食品医薬品局(FDA)より、成人の活動性ループス腎炎の適応で製造販売承認を取得しています。大塚製薬は、2020年12月に日本と欧州における独占的開発販売権をオーリニア社から取得するライセンス契約を締結し、2022年9月に欧州委員会(EC)より本剤の販売承認を得ています。
大塚製薬は、重点領域の一つとして循環器疾患や腎・免疫疾患に取り組み、世界中の未解決の医療ニーズを満たすため、患者さんやご家族に貢献できる研究開発を進めてまいります。
【ループス腎炎について】
ループス腎炎は、多臓器を障害する自己免疫疾患である全身性エリテマトーデス(SLE)によって引き起こされる高度なタンパク尿を伴う糸球体腎炎で、SLEの最も深刻な合併症の1つとされています。国内におけるSLEの患者数は約6万人から10万人と推計されており、男女別にみると女性が9割を占め、特に20~40歳の女性に好発することが多いとされています1。アジア人は白人に比べ、腎病変の合併率が高く、SLE患者さんは診断時に21-65%、時間の経過とともに40-82%がループス腎炎を発症します2。比較的若年に発症することで、SLE患者さんにおけるループス腎炎の合併は生命予後の悪化につながる末期腎不全へのリスクを高めていると考えられています。タンパク尿を伴う糸球体腎炎の速やかな寛解達成と、その後の副腎皮質ステロイドの減量が課題となっています。
【国際共同フェーズ3試験について】
本剤の承認は、AURORA1およびAURORA2の2本の臨床試験のデータ3, 4等に基づいています。国際共同フェーズ3試験AURORA1は、投与開始52週時点における腎奏効患者さんの割合を主要評価項目とし、日本人を含む18歳から75歳の活動性ループス腎炎患者さん357名(ボクロスポリン群179名、プラセボ群178名)を対象に実施されました。ボクロスポリン群とプラセボ群ともに、投与中はミコフェノール酸モフェチルと経口ステロイド薬が併用され、ステロイド投与量は減量するレジメンとなっています。投与開始52週時点における腎奏効患者さんの割合は、ボクロスポリン群で40.8%、プラセボ群で22.5%で有意な差が認められました(p<0.001)。AURORA2は、AURORA1の延長試験として、治験薬投与を完了した患者さん216名(ボクロスポリン群116名、プラセボ群100名)を対象に、さらに24カ月間にわたるボクロスポリンの長期安全性および忍容性、長期有効性の評価を行いました。本剤の安全性と忍容性は良好で、重篤な有害事象は認められませんでした。
「ルプキネス®」の製品概要
製品名 |
ルプキネス®カプセル7.9mg |
一般名 |
ボクロスポリン |
効能又は効果 |
ループス腎炎 |
用法及び用量 |
通常、成人にはボクロスポリンとして1 回23.7 mg を1日2 回 経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。 |
*効能又は効果に関連する使用上の注意並びに用法及び用量に関連する使用上の注意は、電子化された添付文書をご覧ください。
- Reference
- 1. 難病情報センターhttps://www.nanbyou.or.jp/entry/53 (2024年9月現在)
- 2. Jakes, RW. et al.:Arthritis Care Res. 2012;64(2): 159 168
- 3. Brad H Rovin, Y K Onno Teng, et al. Efficacy and safety of voclosporin versus placebo for lupus nephritis (AURORA 1): a double-bling, randomized, multicenter, placebo-cntrolled, phase 3 trial. Lancet 2021; 397: 2070-80
- 4. Amit Saxena, Ellen M. Ginzler, et al. Safety and Efficacy of Long-Term Voclosporin Treatment for Lupus Nephritis in the Phase 3 AURORA 2 Clinical Trial. Arthritis & Rheumatology Vol. 76, No. 1, January 2024, pp 59-67