大塚製薬株式会社

医療関連事業
2025年11月25日

新規作用機序を持つ注意欠如・多動症(ADHD)治療薬「センタナファジン」
新薬承認申請を米国FDAに提出

  • センタナファジンは3つのモノアミン(ノルアドレナリン、ドパミン、セロトニン)再取り込み阻害という新しい作用機序を有する、ADHDに対するファースト・イン・クラスの薬剤。
  • 児童、青少年、成人のADHD患者を対象とした4つのフェーズ3試験において、センタナファジンはADHDの中核症状である「不注意」および「多動性・衝動性」に対して統計学的に有意な改善を示した。
  • 非臨床および臨床データから、センタナファジンの安全性・忍容性プロファイルは良好で、乱用や依存のリスクが低いことが示された。
  • ADHDは、主に不注意、多動性、衝動性を特徴とする慢性的な神経発達症(発達障害)の一種。従来は子どもの疾患と見なされてきたが、幼少期にADHDと診断された人の多くが成人になってからも症状を抱えており、なかには著しい機能障害を伴うケースもある。
  • ADHDはしばしば成人になるまで診断されないが、現在米国では推定1,550万人の成人がADHDと診断されている。

大塚製薬株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:井上 眞、以下「大塚製薬」)および米国子会社のOtsuka Pharmaceutical Development & Commercialization, Inc.(所在地:米国ニュージャージー州・プリンストン、以下「OPDC」)は、児童、青少年、成人の注意欠如・多動症(ADHD)を対象とした新規ノルアドレナリン・ドパミン・セロトニン再取り込み阻害薬(NDSRI: norepinephrine, dopamine, and serotonin reuptake inhibitor)である「センタナファジン(INN: centanafadine、開発コード:EB-1020)」、1日1回持続放出性製剤について、新薬承認申請(NDA)を米国食品医薬品局(FDA)に提出しましたので、お知らせします。

本申請は、4歳の児童から55歳の成人までの患者を対象にセンタナファジンの有効性と安全性を評価した4つのフェーズ3試験の結果に基づいています。これらの試験において、センタナファジン投与群はプラセボ投与群と比較し、ADHD症状に対して統計学的に有意かつ臨床的に意味のある改善を示しました。症状評価には、児童・青少年には「ADHD評価スケール第5版(ADHD-RS-5)」、成人には「ADHD症状評価スケール(AISRS)」が用いられました。センタナファジン投与群では、全試験を通じて概ね良好な忍容性を示し、主な有害事象として、児童・青少年では食欲減退、悪心、発疹、疲労、腹痛、傾眠、成人では食欲減退および頭痛が報告されました1,2,3

OPDCの上級副社長兼医学責任者John Krausは、「精神疾患領域におけるリーディングカンパニーとして、ADHDとともに生きる患者さんに新たな治療を届けるための重要な一歩を踏み出せたことを、大変嬉しく思います。センタナファジンは、これまでのADHD治療薬とは異なる作用機序を持つファースト・イン・クラスの薬剤で、承認されれば、この複雑な疾患に対処するための選択肢を広げる可能性があります。臨床試験にご協力いただいた患者さんとそのご家族の皆さまに心より感謝申し上げます」と述べています。

フェーズ3試験プログラムについて

フェーズ3試験プログラムは、ノルアドレナリン、ドパミン、セロトニンの再取り込みを阻害するという、ADHD治療における新しい作用機序を有するセンタナファジンを包括的に臨床評価するものです。本プログラムは、児童、青少年、成人を対象に、センタナファジンの有効性と安全性を評価するための以下4つの主要なフェーズ3試験で構成されています1,2,3

■児童対象の主要フェーズ3試験 NCT05428033

4〜12歳のADHD患者を対象に、センタナファジンの有効性、安全性、忍容性を評価する無作為化、二重盲検、3群固定用量試験です。

患者は6週間にわたり、体重に基づき、センタナファジン高用量群、低用量群、またはプラセボ群に割り付けられました。主要評価項目は、6週時点におけるADHD-RS-5総スコアのベースラインからの変化量でした。

高用量群は、プラセボ群と比較して統計学的に有意かつ臨床的に意味のある症状改善を示しました。低用量群では有意差は認められませんでした。センタナファジンの安全性・忍容性プロファイルは良好で、乱用や依存のリスクは低いことが示されました。主な有害事象は、食欲減退、発疹、嘔吐でした1

■青少年対象の主要フェーズ3試験 NCT05257265

13〜17歳のADHD患者を対象に、センタナファジンの有効性、安全性、忍容性を評価する無作為化、二重盲検、3群固定用量試験です。

患者は6週間にわたり、センタナファジン高用量群、低用量群、またはプラセボ群に割り付けられました。主要評価項目は、6週時点におけるADHD-RS-5総スコアのベースラインからの変化量でした。

高用量群は、プラセボ群と比較して統計学的に有意かつ臨床的に意味のある症状改善を示しました。センタナファジンの安全性・忍容性プロファイルは良好で、乱用や依存のリスクが低いことが示されました。主な有害事象は食欲減退、悪心、頭痛、発疹でした2

■成人対象の主要フェーズ3試験 NCT03605680NCT03605836

18〜55歳のADHD患者を対象にセンタナファジン徐放性製剤の有効性、安全性、忍容性を評価する無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験です。

患者は6週間にわたり、センタナファジン200mg/日群、400mg/日群、またはプラセボ群に割り付けられました。主要評価項目は、6週時点におけるAISRS総スコアのベースラインからの変化量でした。

両用量群ともに、プラセボ群と比較して統計学的に有意かつ臨床的に意味のある症状改善を示しました。センタナファジンの安全性・忍容性プロファイルは良好で、乱用や依存のリスクが低いことが示されました。主な有害事象は食欲減退と頭痛でした3

注意欠如・多動症(ADHD)について

ADHDは、主に不注意、多動性、衝動性を特徴とする慢性的な神経発達症(発達障害)の一種です4。米国では18歳未満の約700万人の子どもと、推定1,550万人の成人がADHDを有していると米疾病予防管理センター(CDC:Centers for Disease Control and Prevention)は報告しています5,6

センタナファジンについて

センタナファジンは、ノルアドレナリン、ドパミン、セロトニンの再取り込みを阻害するというADHD治療における新しい作用機序を有する薬剤です。臨床試験において、センタナファジンの安全性・忍容性プロファイルは良好、児童、青少年、成人のADHD中核症状を有意に低減することが示されています。

大塚製薬について

大塚製薬は、一人ひとりの可能性に向き合うトータルヘルスケアカンパニーです。"Otsuka-people creating new products for better health worldwide"の企業理念のもと、未充足の医療ニーズに新たな価値を提供する医療関連事業と、科学的根拠をもった独創的な製品やサービスにより日々の健康維持・増進をサポートするニュートラシューティカルズ関連事業を通じて、人々のウェルビーイングの実現に向けて取り組んでいます。 詳細はコーポレートサイトwww.otsuka.co.jp をご覧ください。

  • 1
  • Ward, Caroline L., et al. "Efficacy and safety of centanafadine for ADHD treatment in children: A randomized clinical trial." Pediatrics Open Science, vol. 1, no. 3, 1 July 2025, pp. 1-11, https://doi.org/10.1542/pedsos.2024-000349.
  • 2
  • Ward, Caroline L., Ann C. Childress, et al. "Centanafadine for attention-deficit/hyperactivity disorder in adolescents: A randomized clinical trial." Journal of the American Academy of Child & Adolescent Psychiatry, July 2025, https://doi.org/10.1016/j.jaac.2025.06.023.
  • 3
  • Adler, Lenard A., et al. "Efficacy, safety, and tolerability of Centanafadine sustained-release tablets in adults with attention-deficit/hyperactivity disorder." Journal of Clinical Psychopharmacology, vol. 42, no. 5, 2 June 2022, pp. 429-439, https://doi.org/10.1097/jcp.0000000000001575.
  • 4
  • American Psychiatric Association (2022). Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders (5th ed., text rev).
  • 5"Data and Statistics on ADHD." Centers for Disease Control and Prevention, Centers for Disease Control and Prevention, www.cdc.gov/adhd/data/index.html.
  • 6
  • "Facts about ADHD in Adults." Centers for Disease Control and Prevention, Centers for Disease Control and Prevention, www.cdc.gov/adhd/php/adults/.