大塚製薬株式会社
FACEDUO「フレイル予防支援VR」提供開始
ー フレイルへの早期発見を促し、健康維持と介護予防を支援 ー
大塚製薬株式会社(本社:東京都、代表取締役社長 井上 眞、以下「大塚製薬」)は、株式会社ジョリーグッド(本社:東京都、代表取締役CEO 上路 健介、以下「ジョリーグッド」)との共同事業であるVR(バーチャルリアリティ)トレーニングプログラム「FACEDUO(フェイスデュオ)」において、新コンテンツ「フレイル予防支援VR」の提供を開始しました。本プログラムは、フレイルの兆候をVRで疑似体験することで、早期の気づきを促し、健康維持と介護予防を支援することを目的としています。
フレイル(虚弱)とは、「加齢により体力や気力が弱まっている状態」で、健常と要介護の間の段階です。身体的フレイルは筋力の低下などによって生じ、精神・心理的フレイルはうつ状態や軽度認知症といった心の変化に関連します。さらに、社会的フレイルは社会とのつながりが希薄になることで起こります。これらの要因は互いに影響し合い、連鎖的に進行することで自立度の低下が急速に進むとされています。一方で、フレイルには可逆性があり、早期に気づき、予防に取り組むことで進行を緩やかにし、状態を改善することが可能です1。
東京大学高齢社会総合研究機構 機構長 未来ビジョン研究センター 教授の飯島勝矢先生監修のもと、本プログラムはVRを通じてフレイルの兆候をリアルに体験し、予防行動への意識を高めることを目指して開発しました。フレイル対策の3つの柱である「栄養」「身体活動」「社会参加」をテーマに、健康で自分らしく暮らせる未来を目指すきっかけを提供します。
「フレイル予防支援VR」は、自治体主催の健康イベントや地域包括支援センターでの啓発活動、医療・介護施設でのフレイル予防支援教室など、幅広い場面で活用される予定です。
【「フレイル予防支援VR」概要】
フレイル対策の3つの柱である「栄養」「身体活動」「社会参加」を通じ、健康で自分らしく暮らせる未来を目指す取り組みを、2つのコンテンツから促進します。
1. 見過ごされやすいフレイルのサイン
VR内で「握力の低下」「誤嚥(むせ)」「脚力の衰え」といった、見過ごされがちなフレイルのサインをVRナビゲーターの進行を通じて疑似体験できます。体験者は、こうしたフレイルのサインを見過ごしてしまうことから派生する未来を垣間見ることで、早期の気づきと予防の大切さを学ぶことができます。
- 疑似体験① 握力低下: ペットボトルのキャップを開ける、いつも通りの動作が難しく感じられる体験。手に力が入らない感覚を通して、筋力維持の大切さを実感します。
- 疑似体験② 誤嚥(むせ): 食事中の小さなむせ込みを再現。のどに違和感を覚える体験を通して、嚥下機能の衰えや食事姿勢の重要性に気づきます。
- 疑似体験③ 脚力低下: 横断歩道を渡りきれない不安を感じる場面を再現。脚の重さや不安定さを感じながら、下肢筋力の重要性と転倒予防の意識を高めます。

2. 日常から考えるフレイル対策
親の視点を体験しながら、娘との会話を通じて筋力低下のリスクや栄養摂取の重要性に気づき、フレイル進行の可能性を認識して生活習慣を見直すきっかけを提供します。

【フレイルについて】
フレイル(虚弱)とは、「加齢により体力や気力が弱まっている状態」で、健常と要介護の間の段階です。加齢に伴い心身や社会性の回復力が低下することで、健康に過ごせる状態から生活に支援が必要な要介護状態へ移行するリスクが高まります。
フレイルは大きく、「身体的フレイル」「精神・心理的フレイル」「社会的フレイル」の3種類に分類されます。身体的フレイルは、運動器障害による移動機能の低下(ロコモティブシンドローム)や筋肉量の減少(サルコペニア)などです。精神・心理的フレイルは、定年退職やパートナーの喪失などを契機に生じるうつ状態や軽度認知症などの状態です。社会的フレイルは、加齢に伴う社会とのつながりの希薄化による独居や経済的困窮などの状態です。これら3つの要素が連鎖することで、自立度の低下が急速に進みます。
一方で、フレイルには「可逆性」という特性があります。自分の状態に気づき、予防に取り組むことで進行を緩やかにし、健康に過ごせていた状態に戻すことができます。予防の柱として、「栄養」「身体活動(運動)」「社会参加」の3つが挙げられています1。
2025年9月の東京都健康長寿医療センター研究所の発表によると、日本人高齢者(65歳以上)全体の8.7%がフレイルに該当し、プレフレイル(フレイルの前駆状態)は40.8%でした。年代が上がるほどその割合は高くなる傾向にあり、75-79歳では7.1%がフレイルであるのに対し、80-84歳では15.4%が、85歳以上では30.3%がフレイルに該当していました2。

【コンテンツ監修:飯島先生からのコメント】
医学監修: 飯島 勝矢 先生
東京大学高齢社会総合研究機構 機構長
未来ビジョン研究センター 教授
フレイル予防には「気づき・自分事化」できる個人への意識変容を促す視点が重要です。FACEDUOによるVR体験を通じて、多くの方にフレイル予防を意識頂き、ひいてはわが国の健康長寿・幸福長寿実現に向けた一歩になれば幸いです。
【FACEDUO(フェイスデュオ)について】

「FACEDUO」は、人とテクノロジーで社会課題に対する解決策を提案するVRトレーニングプログラムです。現在、社会生活場面を教材にVRで練習できる「ソーシャルスキルトレーニング(SST)支援プログラム」、ひきこもり者のご家族に社会参加を促す際に有効なコミュニケーションのポイントや対応方法を学ぶことを目的とした「ひきこもり家族支援プログラム」、良好な人間関係を築くスキルを育てる「感情認知トレーニングプログラム」、認知症の方のご家族が介護を行う際の具体的な対応を学ぶための「認知症ケア支援VR」があります。
詳しくは https://www.faceduo.jp/ をご覧ください。
【FACEDUOに関するお問い合わせ】
自治体や企業、認知症治療・介護に携わる医療施設や介護福祉施設で導入を検討されている方からのお問い合わせはhttps://www.faceduo.jp/form/contact よりお願いいたします。
大塚製薬について
大塚製薬は、一人ひとりの可能性に向き合うトータルヘルスケアカンパニーです。"Otsuka-people creating new products for better health worldwide"の企業理念のもと、未充足の医療ニーズに新たな価値を提供する医療関連事業と、科学的根拠をもった独創的な製品やサービスにより日々の健康維持・増進をサポートするニュートラシューティカルズ関連事業を通じて、人々のウェルビーイングの実現に向けて取り組んでいます。 詳細はコーポレートサイトwww.otsuka.co.jp/ をご覧ください。
- 1厚生労働省「健康長寿に向けて必要な取り組みとは?100歳まで元気、そのカギを握るのはフレイル予防だ」
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou_kouhou/kouhou_shuppan/magazine/202111_00001.html
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地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター研究所
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2025年9月22日「日本人高齢者全体のフレイル割合は8.7%:全国規模の訪問調査から判明」