齋藤薫のエクエルダイアリー
vol5

「疲れて見える」と言わせない。
いつ見ても「元気そう」
と言われることが、エイジングケア

「大丈夫?今日疲れてない?」

時々でもそう心配される人がいたら、聞いてほしい。その時、あなたは本当に疲れているのだろうか?本当に肉体的にくたびれているのだろうか?そう言われるまで、疲れていることに気づかなかったり、むしろ元気だったりはしないだろうか?

つまり疲れている自覚がないのに疲れていると言われるのは、むしろ肌がくすんでいる日。肌に透明感がないことを疑ってみるべきだろう。申し訳ないけれど、「今日は肌の調子が悪いね」と言われているのに等しいのだから。

じつはある年齢から、肌の老け感は"疲れ”となって現れる。衰えは”衰え”として現れるのではない。まず疲れになって、疲れた印象になって現れるのだ。だから、指摘してくれた本人に悪気はない。心からあなたの疲労感を心配しているのだろうけれど、結果的には、肌がくすんでいることをわざわざ指摘してくれたに他ならないのだ。

有難いような、有難くないような……。だから少なくとも逆の立場になった時、安易に「疲れているね」と指摘してはいけない。明らかに疲れて見えるのなら、「疲れて見える」という指摘より、まずは別の形で体調を気遣ってあげるのが、女同士のマナーなのかもしれない。

そもそも肌の疲れ=肌くすみは、鏡には映りにくい。くすんでいるのか透明感があるのか、その評価が自分ではできにくいのだ。肌の印象は、肌表面だけで決まるのではなく、何層もある肌の奥までを一度に見て決まるもの。しかし、自然光の入らない室内の鏡では、肌の奥まで映らない。肌表面しか映らないから、決定的に透明感の有無が見えにくいのだ。ましてや、いわゆる発光感……肌の内側から輝きが溢れ出ているさま……は見えていない。端的に言ってしまえば、自分の肌が他人から見てどう見えているか、家の鏡ではなかなか確認できないのである。

だから、外出して「疲れて見える」と言われて初めて気がつく肌くすみ。もし体の疲労に自覚がないのならば、改めて保湿のお手入れをやり直して欲しい。肌がくすむ1つの理由は、単純に潤いが足りないから。潤いがたっぷりあれば、肌がそれだけで透明度を増し、くすみがなくなるはずなのだ。透き通るような水は、ある程度の水の層、水の厚みがあるからこそ、透明に見える訳で、透明感を作るのは水の厚み。発光感も、その透明感の中を光が通り抜け跳ね返ってくるから、光を放っているように見えるのだと考えてもいい。だから発光感の決め手もそもそもは潤い。衰えが、そのまま疲れに見えるような年齢になったら、まずはたっぷりの潤いを与えること。

逆に、「今日は元気そう」と言われたら、それはそっくり褒め言葉として受け取っていい。それこそある年齢から、美しさは、生き生き感。美しさは、ハツラツとした印象。透明感と発光感こそが、肌の若さになって相手に伝わる。だから、元気そうと言われる肌を、意識して毎日作ってみて欲しいのだ。

まずは、そういう目で、周囲の女性たちの肌を見直ししてみて欲しい。目立って美しい人は、肌1枚が単純に美しいのではなく、体の中から生命感が生き生きハツラツ見えているのではないだろうか。それこそが30代40代、若々しく美しい人の条件なのである。

だから「肌がきれい」と褒められるより「元気そう」と褒められたい。「疲れてるね」と言わせない、いつ見てもいつ会っても「元気そう」と言われる生き方をしたいのである。

美容ジャーナリスト/エッセイスト
齋藤薫

女性誌編集者を経て独立。女性誌において多数の連載エッセイを持つ他、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『Yahoo!ニュース「個人」』でコラムを執筆中。新刊『大人の女よ!もっと攻めなさい』(集英社インターナショナル)他、『“一生美人”力 人生の質が高まる108の気づき』(朝日新聞出版)、『されど“服”で人生は変わる』(講談社)など著書多数。

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