齋藤薫のエクエルダイアリー
Vol11

私たち日本人が、世界に誇る若さ美しさのためにも、
大切に守っていくべきもの、その1つが和食である。

日本人の平均寿命が、世界一を競っていること、とりわけ女性の平均寿命は実際に何度も世界一に輝いていること、これは日本人誰もが誇りに思っている。けれどもその理由がどこにあるのか、私たち日本人はあまり掘り下げていない気がする。

いやその理由が、和食にあることだけはなんとなく知っている。和食それ自体が世界遺産に登録されるほど、バランスの良い優れた食事であることは誰でも知っている。でも和食の一体どういうところが長寿につながるのか、そこは曖味。和食はヘルシーというくらいにしか思っていない人がほとんどなのだろう。

とても単純に、和食はやはり脂質の摂取量が少ない。逆に、米による「穀物摂取量」が多く、肉より魚の摂取量が多いのが特徴。動脈硬化を招きにくい食事なのは確か。でも長寿の理由として1番注目すべきはやはり、豆腐、納豆、味噌をはじめとする「大豆系の発酵製品」が常に食卓を飾ってきたと言うことだろう。

今まさに発酵ブーム。美容界においても発酵成分を主役とした発酵ケアが一大ブームとなっているのだ。それも一過性のものではない。今あるロングセラー化粧品の多くが、何らかの形で発酵成分を配合していた事が次第に明らかになり、まさに全方位に効果をもたらすという期待感が一気に膨らんだからなのだ。

そして何より、健康食品の代名詞ともされるようになった大豆のチカラが大きいとされる。大豆は「畑のお肉」と言われるほど良質なタンパク源。言うまでもなく人間の体の素材は、血管に至るまでがタンパク質。だから健康体になるための大前提として、最近はタンパク質こそが大事といわれるようになっている。大豆はもっとも低カロリーなタンパク質と言えるうえに、細胞や抗酸化とも関係が深く、何よりも女性の変化への働きが期待される「大豆イソフラボン」など、本当に多才。和食における影の主役ともいえる大豆こそが、実は長寿の意外な決め手かもしれないのだ。

でも最近は、そうした伝統的な和食が食卓に乗る頻度は、残念ながら目立って減っている。逆に世界中が日本食に注目している時代に、ちょっと皮肉な話。私たち日本人が永遠に大切にしなければいけないものの1つのとして、改めてその尊い力を知っておくべきなのだ。平均寿命ばかりじゃない。日本人が一様に若く見える理由の1つも、ひょっとしたらこの和食にあるのではないか。そう思うと、改めて有り難みが増してくる。世界遺産にも選ばれた和食の素晴らしさ、美容的見地からももう一度見直したいのである。

ちなみに、世界遺産になった1つの理由は、そうした食文化が失われないよう、文化の存続のためでもあると言う。私たち日本人が守っていかなければならないものの1つなのは明らかなのだ。

一汁三菜……見た目にも美しく、健康食としてのバランスもまた素晴らしい、その黄金比的な食事を、きちんと食卓で再現する、そうした習慣が若さ美しさにつながっていくのなら、こんなに素敵なことはないと思う。

美容ジャーナリスト/エッセイスト
齋藤薫

女性誌編集者を経て独立。女性誌において多数の連載エッセイを持つ他、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『Yahoo!ニュース「個人」』でコラムを執筆中。新刊『大人の女よ!もっと攻めなさい』(集英社インターナショナル)他、『“一生美人”力 人生の質が高まる108の気づき』(朝日新聞出版)、『されど“服”で人生は変わる』(講談社)など著書多数。

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