齋藤薫のエクエルダイアリー
Vol8

ダイエットと運動不足、両方をクリアする、
“少しの体操”がもたらした、
あまりに大きな収穫!

人生100年時代……そう言われ始めてから、にわかに混み始めたのが、気軽にトレーニングができる女性専用のジムであるらしい。なぜ女性専用が流行るのか? 言うまでもなく、腹筋が8つに割れたようなムキムキの筋肉をつけるためのトレーニングではないことが明白で、最低限、動きやすければ、会社帰りの装いでも出来るようなレベルの簡単エクササイズだから。でもそれ以上に、女性には女性にしか分からない体への不安があって、それを何も説明せずに、受け止めてくれる気がするからなのではないか?

女にしか分からない不安……それは、とても複合的で一言では説明できないもの。言うまでもなく年齢とともにじわじわ増えていく脂肪のことだったり、痩せにくくなったことだったり、くびれが無くなってきたことだったり、また姿勢が悪いことも気になってきていたり。そして近頃にわかに階段が嫌いになったり、ハイヒールをはかなくなってしまったり、今までよりずっと疲れやすくなったことだったり……どこから話をすればいいのか解らない、些細なことだけれども気になることが本当にたくさんある、それが例えばアラフォーからの身体に対する不安なのではないだろうか?

そして何より1番気になっているのが、慢性的に運動不足であるということ。それでも日々の忙しさに追われ、本格的な運動を続けるほどのエネルギーは今のところない。なのに、人生100年とすればまだ折り返し地点にも至っていない段階で、すでにこんなに不安がたくさんあるのは、すごくマズイと思う。だって一生自分の足で歩き続けたいし、やっぱりずっとキレイでいたい。だからこそ何かしなくてはという気持ちが、そういう女性の諸々の 事情をわかってくれそうなジムに自然に足が向くのではないだろうか。

かくして、そうした気軽なジムに通うようになったある人が言った。通い始めて1番良かったのは、意外だけれど、「何事も億劫がらなくなったこと」であるというのだ。

例えばだけれど、何かの調味料がなくなった時、今までならばその調味料を使わないメニューに変更してしまったのに、今は近所の店までこの調味料を平然と買いに行くことができるようになったと。そういう時に何の億劫も感じなくなったと言うのである。

お茶が飲みたいと思ったら、たちまち台所に立っている。洗い物もためずに、すぐ洗う。探し物を途中で諦めず、最後まで探し当てる。散らかったクローゼットを、すぐに片付ける。今までなら全て億劫と思っていたことが億劫でなくなる、それがどんなに自分自身を元気付けるか、その変化に驚き、意外な成果に心から喜んでいると言うのである。

でもなぜ、そこまで気持ちの向きに変化が現れたのか?これは明らかに、多少とも新しい筋肉がついたから。目に見えるほどではなくても、筋肉がついてくると、不思議なことに気力が生まれる。いや気力といっても、もともとは単純に、今座っている椅子から立ち上がる力。でもそれこそが気力の源泉なのである。面倒がらずに立ち上がる力こそが、前向きな心を作るのだと言うこと、筋肉をつけて初めて知ることになるはずなのだ。

前回このコラムで、「上向きこそエイジングケアの決め手」と言う話をしたけれど、ここで、心の上向きを作るのは少しの筋肉、そう定義づけてもいい。ダイエットと運動不足を両方解消するための、少しの運動が思いがけない大きな収穫をもたらした、ともその人は言った。試してみて欲しい。少しの筋肉がつくと、本当に何事も億劫でなくなる。そしていつの間にか、何事に対してもポジティブ思考の、元気な自分になっている。全く不思議なくらい……。こういうエイジングケアもあったのだと、きっと嬉しくなるはずだから。

美容ジャーナリスト/エッセイスト
齋藤薫

女性誌編集者を経て独立。女性誌において多数の連載エッセイを持つ他、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『Yahoo!ニュース「個人」』でコラムを執筆中。新刊『大人の女よ!もっと攻めなさい』(集英社インターナショナル)他、『“一生美人”力 人生の質が高まる108の気づき』(朝日新聞出版)、『されど“服”で人生は変わる』(講談社)など著書多数。

取り扱い先

取り扱い先を調べる

公式通販サイト

ご購入はこちら