齋藤薫のエクエルダイアリー
vol6

女性はなぜ、毎日毎日鏡を
見なければいけないのか?
できるだけたくさん
見なければいけないのか?

以前より、鏡を見る回数が減った……。そういう人が少なくないのかもしれない。なぜ?と聞いても、答えは曖昧。なんとなく、いつの間にか。無認識に……。おそらくは誰もが同じように、年齢とともに鏡を見る回数を自然に減らしていくものなのだろう。

ここでちょっと思い出してほしい。例えば10代の頃、誰かに恋をした時、鏡を見る回数は急に増えたはず。逆に、ニキビができた時も、ため息をつきながら鏡を見る回数は増えていた。もちろん本格的にメイクをするようになれば必然的に鏡を見る時間が多くなり、年がら年中鏡を見ていると言う時期もあったはず。

いずれにしても若い頃は何かといえば、鏡をのぞきつつ、うっとりしたり悩んだり、喜んだり悲しんだり……。でもそうやって鏡を見るたびに、女性は綺麗になっていくと言う事実を、私たちはその当時気づいていなかったのかもしれない。

でもだから、年齢を重ねてなんとなくその回数が減っていた時に、せっかくの美しさに陰りが見えてきたとしたら残念なこと。もう一度意識して鏡と向き合ってほしいのだ。

なぜなら鏡には、ナチュラルなリフトアップ効果があるから。単に毎日鏡を見ているだけで、人は本能的に自分の顔をなんとなくでも引き締めているからなのだ。視覚によって、自分の顔をあるべき形に形状記憶させている、そう言ってもいい。

その証拠に、しばらく鏡を見ないでいると、顔立ちは逆になんとなく変わってくる。ただぼんやりでも鏡を見ることで、顔立ちが緩んでいかないよう、肌がたるんで行かないよう、意識の力が働くのは確かなのだ。

だから、年齢を重ねるほどに、人は鏡を見なければいけない。見たくない時も見続けなければ。そこでもう一度考えた。なぜ人はだんだん鏡を見る回数が減るのだろう。

おそらくは、自分がイメージしている顔と違うことが多くなるから。口角がちゃんと上がった柔らかな顔印象が自分の顔のイメージだったのに、そうではなくなっていくから、見なくなる?口角が次第に下がってきて、ちょっと険しい顔になってきた気がするから、あまり鏡を見たくなくなる。そういうことだろうか?

いずれにせよ、それは明らかに悪循環。見れば見るほどなりたい顔になっていくのに、見ないでいるとどんどんイメージから離れていってしまう。むしろイメージとのギャップをその日のうちに即刻埋めるためにこそ、日々たくさんたくさん鏡を見るべきなのだ。

例えばエステに行った日、メイクをしたくないほど美しい素肌に仕上がったような時、きっと何度も何度も鏡で自分を見るはずだ。あるいはまた、何か特別なことがあっていつもより念入りにメイクをした日、家でも外でも自分を鏡に移す時間が多くなるはず。もっと単純に、気に入った服を初めて着た日は、街の中のあらゆる鏡に自分を映して見てみたいと思うのだろう。ウインドウに映る自分の姿さえもが気になったりして。

そういうふうに、自分自身に見せたい自分を意識して作り続けるべきなのだ。「私」に対する興味が薄れてしまってはいけない。少しでもなりたい自分に自分を近づけて、「私」を常に愛でていたい。自分自身にうっとりする位でなければいけないのだ。

鏡は化粧品以上に大切かもしれないリフトアップケア。だから毎日何度も見て欲しい。

自分自身が見とれるような自分を作るために。

美容ジャーナリスト/エッセイスト
齋藤薫

女性誌編集者を経て独立。女性誌において多数の連載エッセイを持つ他、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『Yahoo!ニュース「個人」』でコラムを執筆中。新刊『大人の女よ!もっと攻めなさい』(集英社インターナショナル)他、『“一生美人”力 人生の質が高まる108の気づき』(朝日新聞出版)、『されど“服”で人生は変わる』(講談社)など著書多数。

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