大塚製薬株式会社
IBM

医療関連事業
2014年3月26日

大塚製薬とIBM 戦略提携
精神疾病患者さんにより良い医療を提供するための
グローバルプロジェクトを開始

  • 両社は、それぞれの専門性や技術・知識を持ち寄って、精神疾病患者さんにより適切で効果的な治療を提供し、患者さんの治療や予後に貢献するケアコーディネーションシステムをグローバルに共同開発することに合意

大塚製薬株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:岩本太郎、以下「大塚製薬」)とIBM(本社:米国ニューヨーク州アーモンク、CEO兼代表取締役社長:バージニア M. ロメッティ)は、中枢領域において新たにグローバルで行う共同プロジェクトを開始することに合意しました。このプロジェクトではビッグデータを用いた分析や、治療が途切れることがないように、また一貫した治療が行えるように支援することにより、患者さんや医療従事者および介護者に対して、現在のメンタルヘルスケアシステムの問題点を解決する新しいソリューションを提供することを目指します。

メンタルヘルスケアシステムについては、多くの課題が残っています。たとえば精神疾患の患者さんは、症状やその重症度によって異なる医療機関で専門的な治療を受ける場合がありますが、施設毎に患者さんの治療情報が局在していて、過去の診断や治療歴が共有されていないことがあります。そのため、患者さんが本来必要ではない、あるいは過去に効果の無かった治療を受ける場合があります。また、ある医療機関から別の医療機関に紹介された場合に、引継ぎが上手く行かずに治療を中断してしまうこともあります。このような不連続あるいは不十分な治療が問題視される中、現在、米国では、退院した患者さんの10%近くが1カ月以内に症状が再発して再入院しており、20%以上が6カ月以内に再入院しています。

大塚製薬は、2012年にフロリダ州マイアミ・デイド郡にあるNPO法人SFBHN(サウスフロリダ行動健康ネットワーク)からの依頼を受け、そのメンタルヘルスケアの問題点を解決するためのパイロットプロジェクトを開始しました。その際に大塚製薬はプロジェクトのパートナーとして、IBMにその基盤となるソフトウェアの開発を依頼したことから、今回の戦略提携へと発展しています。

共同開発プロジェクトが提供するソリューションは、行政機関、支払い機関、地域のメンタルヘルスセンター、病院そして福祉サービスを含むメンタルヘルスサービスを提供する組織が、患者さん各々の適切に統合された治療情報に基づいて、連携して包括的に治療に向かえるようにつくられています。より正確な患者さんの治療記録を作成し、複数の施設がその情報に基づいて一貫した治療を途切れることなく行うためのサポートを提供することで、このシステムを使う地域社会や医療施設が患者さんにより適切で効果的な治療を提供できるようになることを目指します。そのために、これらの医療施設が、患者さん、ご家族の同意を適切に得て、これらの施設ネットワークが患者さんの治療情報を共有して治療に当たれるようなサポートも提供する予定です。

大塚ファーマシューティカルD&C Inc.のグローバル コマーシャリゼーション アンド ポートフォリオ マネージメントの社長であるディーター・ウェイナンドは「大塚製薬は、世界の人々がより健康な生活をおくれる一助となることを使命としており、当社の開発した革新的な治療薬で精神疾患に苦しむ多くの方々に貢献してきました。その中で私たちは、精神疾患を取り巻く大きな問題の一つが、医薬品の提供だけでは解決することが出来ない、分断されたヘルスケアシステムであることに気付きました。今回IBMのような業界トップの企業と協力して、このメンタルヘルスの課題に対し取り組めることを大変喜ばしく思います。両社の持つ多様な歴史、文化そして価値観を合わせることで、このような大変困難な問題に対して、今まで成し得なかった解決策を提示できるものと確信しています。私たちは共に、分断されたヘルスケアシステムを改善して、限られた資源を効率よく活用し、精神疾患に苦しむ人々のケアと生活の質を改善することを目指していきます」と述べています。

両社は、まず、米国と英国の地域社会と連携してこのプロジェクトを進め、共に資源と専門知識・技術を提供し互いに協力し合いながら、その後世界に展開して行きます。IBMはスマーターケアプログラムの中でビッグデータ分析とソフトウェアの先進技術を用いて、大塚製薬はグローバルヘルスケアカンパニーとしてこれまで培った中枢領域や精神疾患の専門知識を基にして、医療関係者が正確な患者情報に基づいてより効果的な治療を行えるよう支援するプログラムを提供することで貢献していきます。

IBMソフトウェアグループのインダストリーソリューション副社長のカレン・パリッシュは「私たちの願いは、医療機関がお互いに連携して行動できるインフラを提供することで、患者さんがより総合的なケアを受けられるようになることです。私たちのデータ分析とケアコーディネーションプラットフォームを使っていくうちに、医療機関が悪循環を打破できるようになると考えています。われわれの目的はメンタルヘルスシステムをより優れたものにすることなのです」と述べています。

フロリダ州マイアミ・デイド郡でのパイロットプロジェクト

2012年以降、大塚製薬とIBMはフロリダ州マイアミ・デイド郡のNPO法人サウスフロリダ行動健康ネットワークと連携して、ケアコーディネーションの改善のための総合的ソリューションのパイロットプロジェクトを行い、精神疾患に苦しむ6万人以上の患者さんに対する統合された医療の提供に取り組んでいます。この進行中の地域密着型のプロジェクトは、大塚とIBMが開発した新ソリューションの最初の事例となります。新たに作ったソフトウェアとビッグデータの分析に基づいて、統合された治療への転換を支援することで、サウスフロリダの改革をサポートしています。

SFBHNのCEO兼社長のジョン・W・ダウは「苦しんでいる人たちのための治療をコーディネートする独創的なソリューションを、世界に先駆けて開発してこられたことを誇りに思います。私たちは、地域のメンタルヘルスケアシステムの問題点を改善するためには独創的な解決策が必要であったため、大塚製薬とIBMにパイロットプロジェクトとして行ってくれるように依頼しました。すでに今回の成果は市の責任者達や医療提供機関から評価されており、精神疾患のマネージメントを革新的に変え、患者さんの治療成績を向上し、医療コストを効率化できると受け止められています」と述べています。

大塚製薬とIBMは、精神疾患のある一人一人に対して医療機関が統合的に治療を行い、よりよい成果をもたらすために、両社の持つ経験が広く役立てられるように協力してまいります。

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