今回三角筋への投与が可能となったことで、服を脱がずに投与部位を露出できることから、医療従事者が投与しやすく、患者さんにとっての心理的負担の軽減も期待されます。
統合失調症の治療は、症状を改善し再発を抑制するために長期の維持治療を必要としますが、患者さん自身が服薬を中断してしまい、再発することも少なくありません。統合失調症においては、病識の欠如や認知機能障害などの問題のため、他の慢性疾患に比べても服薬の継続が難しく、統合失調症や統合失調感情障害を対象とした調査では服薬不良と判断された患者さんの割合は57%との報告があります※3。また、経口剤投与の場合、アドヒアランスは退院後1週目から低下が目立つことや退院時から良好患者さんの割合が徐々に低下し、6カ月後に服薬不良となる患者さんは4割以上にものぼるとの報告もあります※2。主な服薬中断の理由として、飲み忘れ、病識の欠如、副作用、服薬方法が複雑であること、家族から十分な支援が得られないことがあります。
大塚製薬株式会社
医療関連事業
2016年3月2日
抗精神病薬「エビリファイ持続性水懸筋注用」三角筋への投与部位追加の承認を日本で取得
- 「エビリファイ持続性水懸筋注用(以下、エビリファイLAI※)」は、1回の投与で4週間効果が持続する注射製剤。この度、従来の臀部筋肉内投与に加えて三角筋内(上腕の筋肉内)にも投与が可能になる
- 統合失調症患者さんは国内に約71万人※1と推定。症状の再発を防ぐために継続した治療が必要とされるが、経口投与の場合、退院後1週目からアドヒアランスの低下が目立ち、その後6か月間で服薬不良と判断された患者さんは4割以上との報告があり※2、アドヒアランスの服薬改善が必要とされている
- 「エビリファイLAI」は、毎日薬を飲まないことによる症状の悪化・再発の防止を目的に開発。2013年3月に米国で発売し、欧州27カ国、カナダ、オーストラリアでも販売。日本では2015年5月に発売
大塚製薬株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:樋口達夫、以下「大塚製薬」)は、「エビリファイ」(一般名:アリピプラゾール)の持続性注射剤である「エビリファイ®持続性水懸筋注用300mg、400mg、および300mgシリンジ、400mgシリンジ」(一般名:アリピプラゾール水和物)について、三角筋(上腕の筋肉内)への投与を追加する医薬品承認事項一部変更の承認を取得しました。エビリファイLAIは、統合失調症の適応で2015年5月25日から国内販売しており、これまでは臀部筋肉内への投与のみでした。
- LAI: Long Acting Injection
大塚製薬が独自に開発した「エビリファイLAI」は、「エビリファイ」と同様な安全性プロファイル※4を持ち、4週間に1回の投与で効果が持続する筋注用製剤です。薬剤の投与が確実で来院回数を減らすなど患者さんの負担を軽減し、統合失調症の再発予防および良好な予後に貢献できる治療法です。海外では「Abilify Maintena®」の製品名で、米国で2013年より統合失調症の適応で販売を開始しました。欧州では2014年から販売し27カ国に広がり、またカナダ、オーストラリアでも販売しています。臀部筋への投与に加えて三角筋への部位追加は、2015年1月に欧州、同年7月に米国で承認されています。
大塚製薬は、今後とも統合失調症の患者さんの社会復帰を目指して、服薬・再発防止に貢献できる新たな価値創造をグローバルに提供してまいります。
- 1厚生労働省ホームページ、厚生労働省統計データベース。平成23年疾患調査より
- 2趙岳人ら 臨床神経薬理 14 (9): 1551-1560, 2011
- 3Byerly MJ, et al. Psychiatric Services. 2007; 58 (6): 844-7
- 4持続性注射剤における注射部位反応を除く
統合失調症についての情報
こころの健康情報局「すまいるナビゲーター」に統合失調症について多くの情報がありますのでご覧ください。
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