大塚製薬株式会社

医療関連事業
2022年7月22日

ループス腎炎治療薬「ボクロスポリン」 欧州医薬品委員会より承認勧告を受領

大塚製薬株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:井上眞、以下「大塚製薬」)は、7月21日(現地時間)、「ボクロスポリン(一般名)」について、欧州医薬品庁(EMA)の医薬品委員会(CHMP)より、成人の活動性ループス腎炎の適応で承認勧告を受領しました。今後67日以内に、欧州委員会(EC)より、販売承認について最終的に判断される予定です。

本剤は、Aurinia Pharmaceuticals Inc. (本社:カナダ ビクトリア、以下「オーリニア社」)が、自己免疫疾患である全身性エリテマトーデス(SLE)の最も深刻な合併症の1つとされるループス腎炎(高度なタンパク尿を伴う慢性の糸球体腎炎)を対象に開発した新規の経口免疫抑制剤です。オーリニア社は、2021年1月に米国FDAより、成人の活動性ループス腎炎の適応で製造販売承認を取得しています。大塚製薬は、2020年12月に日本と欧州における独占的開発販売権をオーリニア社から取得するライセンス契約を締結しました。

大塚製薬ヨーロッパCEO のAndy Hodgeは、「ループス腎炎は、治療が不十分な場合、重篤な結果をもたらす可能性がある疾患です。このたびの承認勧告は、患者さんに新しい治療法を提供するための重要なマイルストンとなります。承認されれば、本剤は EU において成人の活動性ループス腎炎を対象とした初めての経口治療薬となります。ECの決定を楽しみにしています」と述べています。

【ループス腎炎について】 

ループス腎炎は、高度なタンパク尿を伴う糸球体腎炎で、SLEの重大な合併症の一つです*1。欧州では10万人に210人がSLEと言われており*2、女性に多く見られますが、男性がSLEを発症した場合、より重症化する可能性があります*3,*4,*5。SLE患者さんの40~60%が生涯に渡ってループス腎炎を発症するリスクがあり*6,*7、不可逆的なネフロン減少を引き起こすことが示唆されています*8

【ボクロスポリンについて(米国製品名:LUPKYNIS®)】 

オーリニア社が開発した、T細胞の増殖・活性化に重要な酵素であるカルシニューリンを阻害することで免疫抑制作用を発揮する経口のカルシニューリン阻害薬(calcineurin inhibitor:CNI)です。成人のループス腎炎の患者さんを対象とした新しい治療薬で、ミコフェノール酸モフェチルとステロイドの基礎治療に加えて、ボクロスポリンまたはプラセボを投与する国際共同フェーズ3試験により、プラセボと比較して有効性を示しました。安全性については大きな問題はありませんでした。

<参考資料>

  1. *1Jaryal A and Vikrant S. Current status of lupus nephritis. Indian J Med Res. 2017;145:167-178.
  2. *2Barber MRW, Drenkard C, Falasinnu T, et al. Global epidemiology of systemic lupus erythematosus. Nat Rev Rheumatol. 2021;17:515-532
  3. *3Goulielmos GN et al. Gene 2018;668:59-72.
  4. *4Bernatsky S, Boivin JF, Joseph L et al Mortality in systemic lupus erythematosus. Arthritis Rheum. 2006 Aug;54(8):2550-7. doi: 10.1002/art.21955. PMID: 16868977
  5. *5Ramírez Sepúlveda JI, Bolin K, Mofors J, et al. Sex differences in clinical presentation of systemic lupus erythematosus. Biol Sex Differ. 2019 Dec 16;10(1):60. doi: 10.1186/s13293-019-0274-2. PMID: 31843005; PMCID: PMC6915972.
  6. *6Barber et al. Arthritis Care Res 2018;70.
  7. *7Hanly et al. Rheumatology (Oxford) 2016;55.
  8. *8Anders HJ, Saxena R, Zhao MH, Parodis I, Salmon JE, Mohan C. Lupus nephritis. Nat Rev Dis Primers. 2020;6(1):7. doi:10.1038/s41572-019-0141-9.