大塚製薬株式会社
H. ルンドベックA/S

医療関連事業
2022年8月5日

抗精神病薬「ブレクスピプラゾール」
アルツハイマー病協会国際会議(AAIC)2022においてアルツハイマー型認知症に伴う行動障害(アジテーション)を対象としたグローバルフェーズ3試験の良好な結果を発表

大塚製薬株式会社(本社:東京都、以下「大塚製薬」)とH.ルンドベックA/S(本社:デンマーク、コペンハーゲン、以下「ルンドベック」)は、8月4日(米国時間)、米国カリフォルニア州サンディエゴで開催された「アルツハイマー病協会国際会議(Alzheimer's Association International Conference:AAIC)2022」において、アルツハイマー型認知症に伴う行動障害(アジテーション)の効能追加を目的としたブレクスピプラゾール(一般名)のグローバルフェーズ3試験の結果を発表したことをお知らせします。

本試験は、アルツハイマー型認知症に伴うアジテーション症状を有する55歳から90歳の患者さん345名を対象とした多施設共同、プラセボ対照、ランダム化、二重盲検比較試験です。主要評価項目はアジテーションの出現頻度を介護者が評価するCohen-Mansfield Agitation Inventory(CMAI)合計スコアの12週目におけるベースラインからの平均変化量、主要な副次的評価項目は臨床全般印象評価尺度-重症度(Clinical Global Impression-Severity Illness:CGI-S)のベースラインからの平均変化量とし、2種類のブレクスピプラゾール固定用量(2mg/日、3mg/日)の有効性および安全性を治療群(n=228)とプラセボ群(n=117)を比較して評価しました。患者さんは、国際老年精神医学会が定義するアジテーションの基準を満たしています。

本試験では、主要評価項目であるCMAI総スコアの変化量の平均値で、ブレクスピプラゾール2mgまたは3mg投与群はプラセボ投与群と比較して統計学的な有意差(ブレクスピプラゾール投与群-22.6, プラセボ投与群-17.3, p=0.0026)で有効性を示しました。2mgと3mgそれぞれの投与群においてプラセボ投与群に対して統計学的な有意差を示しています。主要な副次評価項目であるCGI-Sにおいても、アジテーションに関連する項目で統計学的な有意差(p=0.0055)で有効性を示しました。また、ブレクスピプラゾール投与群で5%以上の発現率がプラセボ投与群を上回った有害事象はありませんでした。ブレクスピプラゾール投与群で2%以上の発現率がありかつプラセボ投与群よりも発現率が高かった有害事象は、傾眠、鼻咽頭炎、めまい、下痢、尿路感染症、無気力症でした。転倒、アカシジア、錐体外路障害などの有害事象は、ブレクスピプラゾール投与群で2%未満の発生率でした。有害事象による投与中止は、ブレクスピプラゾール投与群の5.3%、プラセボ投与群の4.3%に認められました。

大塚ファーマシューティカルD&C最高戦略責任者のRobert McQuade は「今回のフェーズ3試験とそれ以前の 2 つの試験から得られた良好な結果は、多くのアルツハイマー型認知症の患者さんにみられるアジテーション症状に対する初めての治療法を開発するという私たちの取り組みにとって、大きなマイルストンとなり得るものです。この症状に悩む患者さんとそのご家族に、FDA から初めて承認された治療薬をお届けできる可能性に一歩近づきました」と述べています。

ルンドベック上級副社長兼研究開発責任者の Johan Luthmanは「アルツハイマー型認知症の患者さん、そのご家族、試験に参加され本研究に多大な貢献をされた研究者の皆様に深く感謝申し上げます。今後、アルツハイマー型認知症の患者さんのアジテーションに対するブレクスピプラゾールの可能性を十分に見極めるため、試験結果の解析を継続してまいります」と述べています。

大塚製薬とルンドベックは、本試験と終了している2つの試験結果に基づき、2022 年後半に米国での承認申請を予定しています。なお、本件は 2016年2月に米国FDAよりファストトラック(優先承認審査制度)の指定を受けています。

ブレクスピプラゾールについて

新規抗精神病薬「レキサルティ®(一般名:ブレクスピプラゾール)」は、大塚製薬が創製した独自の薬理作用を有する化合物で、ルンドベック社と共同開発しました。2015年に米国で「成人の大うつ病補助療法」および「成人の統合失調症」の2つの効能で承認され、現在、統合失調症治療薬として、約60カ国で展開しています。