大塚製薬株式会社

医療関連事業
2022年9月20日

ループス腎炎治療薬「LUPKYNIS®」 欧州で販売承認を取得

大塚製薬株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:井上眞、以下「大塚製薬」)は、欧州委員会(EC)より、成人の活動性ループス腎炎の適応で「LUPKYNIS®」(一般名:ボクロスポリン)」の販売承認を取得しましたのでお知らせします。この決定は、欧州連合(EU)加盟国27カ国とアイスランド、ノルウェー、リヒテンシュタイン、北アイルランドに適用されます。本剤は欧州において成人の活動性ループス腎炎を対象とした初めての経口治療薬となる予定です。

今回の承認は、主要なフェーズ3試験であるAURORA 1試験およびAURORA 2継続試験における良好な結果に基づいており、ボクロスポリンとミコフェノール酸モフェチル(MMF)および低用量コルチコステロイドの併用により、52週時点の腎完全寛解率がMMFおよび低用量コルチコステロイド単独に比べ統計的に優れていたことが証明されています。ボクロスポリンの安全性プロファイルは、MMFおよび低用量副腎皮質ホルモン単独投与と概ね同等でした。

大塚製薬ヨーロッパCEO のAndy Hodgeは、「欧州においてボクロスポリンが承認されたことは、欧州のループス腎炎の患者さんにとって大きな進展であり、患者さんに新しい治療選択肢を提供できることを大変嬉しく思います」と述べています。

【ループス腎炎について】 

ループス腎炎は、高度なタンパク尿を伴う糸球体腎炎で、全身性エリテマトーデス(SLE)の重大な合併症の一つです*1。欧州では10万人に210人がSLEとされ*2、女性に多く見られますが、男性がSLEを発症した場合、より重症化する可能性があります*3,*4,*5。SLE患者さんの40~60%が生涯に渡ってループス腎炎を発症するリスクがあり*6,*7、不可逆的なネフロン減少を引き起こすことが示唆されています*8

【ボクロスポリンについて(米国製品名:LUPKYNIS®)】 

本剤は、Aurinia Pharmaceuticals Inc. (本社:カナダ ビクトリア、以下「オーリニア社」)が、自己免疫疾患であるSLEの最も深刻な合併症の1つとされるループス腎炎を対象に開発した新規の経口免疫抑制剤です。T細胞の増殖・活性化に重要な酵素であるカルシニューリンを阻害することで免疫抑制作用を発揮します。オーリニア社は、2021年1月に米国FDAより、成人の活動性ループス腎炎の適応で製造販売承認を取得しています。大塚製薬は、2020年12月に日本と欧州における独占的開発販売権をオーリニア社から取得するライセンス契約を締結しました。

<参考資料>

  1. *1Jaryal A and Vikrant S. Current status of lupus nephritis. Indian J Med Res. 2017;145:167-178.
  2. *2Barber MRW, Drenkard C, Falasinnu T, et al. Global epidemiology of systemic lupus erythematosus. Nat Rev Rheumatol. 2021;17:515-532
  3. *3Goulielmos GN et al. Gene 2018;668:59-72
  4. *4Bernatsky S, Boivin JF, Joseph L et al Mortality in systemic lupus erythematosus. Arthritis Rheum. 2006 Aug;54(8):2550-7. doi: 10.1002/art.21955. PMID: 16868977
  5. *5Ramírez Sepúlveda JI, Bolin K, Mofors J, et al. Sex differences in clinical presentation of systemic lupus erythematosus. Biol Sex Differ. 2019 Dec 16;10(1):60. doi: 10.1186/s13293-019-0274-2. PMID: 31843005; PMCID: PMC6915972.
  6. *6Barber et al. Arthritis Care Res 2018;70.
  7. *7Hanly et al. Rheumatology (Oxford) 2016;55.
  8. *8Anders HJ, Saxena R, Zhao MH, Parodis I, Salmon JE, Mohan C. Lupus nephritis. Nat Rev Dis Primers. 2020;6(1):7. doi:10.1038/s41572-019-0141-9.