大塚製薬株式会社
H. ルンドベックA/S

医療関連事業
2023年1月10日

抗精神病薬「ブレクスピプラゾール」
アルツハイマー型認知症に伴う行動障害(アジテーション)の
適応症について米国FDAが申請を受理

    • 抗精神病薬「ブレクスピプラゾール」のアルツハイマー型認知症に伴う行動障害(アジテーション)の治療に関する追加承認申請(sNDA)が米国FDAに受理された
    • 審査は優先審査対象となり、審査終了目標日(PDUFA date)は2023年5月10日を予定している

    • 審査中に精神薬理学的医薬品諮問委員会(Advisory Committee meeting)が開催される予定
    • 承認されれば、本剤は米国においてアルツハイマー型認知症患者におけるアジテーションの適応を有する初の抗精神病薬となる


 

 大塚製薬株式会社(本社:東京都、代表取締役社長 井上眞、以下「大塚製薬」)とH.ルンドベックA/S(本社:デンマーク、コペンハーゲン、社長兼CEO:デボラ・ダンサイア、以下「ルンドベック社」)は、抗精神病薬「ブレクスピプラゾール」のアルツハイマー型認知症に伴う行動障害(アジテーション)の効能追加について、米国FDAが申請受理したことをお知らせします。

 本剤については処方薬ユーザーフィー法(PDUFA)による優先審査が認められており、審査終了目標日は2023年5月10日に設定されています。また、FDAは本申請について議論するために、精神薬理学的医薬品諮問委員会(Advisory Committee meeting)を開催する予定であるとしています。

 本申請資料には良好な結果が得られた2本のフェーズ3試験のデータが含まれています。331-12-283試験では、主要評価項目であるCohen-Mansfield Agitation Inventory(CMAI)総スコアのベースラインから12週目までの平均変化量において、ブレクスピプラゾール2mg/日投与群はプラセボ投与群に対して統計学的に有意な改善を示しました(p<0.05)。また331-14-213試験では、ブレクスピプラゾール2mg/日および3mg/日投与群は、主要評価項目であるCMAI総スコアのベースラインから12週目までの平均変化量において、プラセボ投与群と比較して統計学的な有意差をもって有効性を示しました(p<0.05)。

 現在、米国において本疾患に対して承認された薬剤はなく、承認された場合、ブレクスピプラゾールは本適応を有する初めての抗精神病薬となります。

 大塚ファーマシューティカルD&Cの上級副社長兼医学責任者 ジョン・クラウス医学博士は、「アルツハイマー型認知症に伴うアジテーション症状は、患者さんと介護者の双方にとって複雑で困難なもので、本領域において新たな治療が切実に求められています。私たちは、この症状を軽減する選択肢を提供するため今後も努力を続けてまいります」と述べています。

 ルンドベック社の上級副社長兼研究開発責任者 ヨハン・ルスマンは、「今回FDAに申請が受理されたことは、患者さんと介護者の方々が直面するこの疾患の精神神経症状に対処しうる治療オプションへまた一歩近づく重要なマイルストンになりました」と述べています。

アルツハイマー型認知症に伴う行動障害(アジテーションについて)

アルツハイマー型認知症の患者さんの約45%は、介護者に対する暴言、暴力、錯乱などの行動障害を起こすといわれています*1,2。行動障害を含む認知症に関連する症状は、介護者の負担を重くし、個人や家族、介護者をひどく苦しめています。またこれらの行動障害は、患者さんが介護施設へ入居する要因ともなっています。

ブレクスピプラゾールについて

新規抗精神病薬「レキサルティ®(一般名:ブレクスピプラゾール)」は、大塚製薬が創製した独自の薬理作用を有する化合物で、ルンドベック社と共同開発・共同販売しています。2015年に米国で「成人の大うつ病補助療法」および「成人の統合失調症」の2つの効能で承認され、現在、統合失調症治療薬として約60の国・地域で展開しています。

<参考文献>

  1. *1Halpern R et al. Using electronic health records to estimate the prevalence of agitation in Alzheimer disease/dementia. Int J Geriatr Psychiatry 2019; 34: 420-431
  2. *2Fillit H et al. Impact of agitation in long-term care residents with dementia in the United States. Int J Geriatr Psychiatry 2021; 36: 1959-1969