大塚製薬株式会社

医療関連事業
2023年10月31日

アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションに対する
レキサルティの日本における効能追加申請について

 大塚製薬株式会社(本社:東京都、代表取締役社長 井上眞、以下「大塚製薬」)は、「レキサルティ® (一般名:ブレクスピプラゾール)」の「アルツハイマー型認知症に伴うアジテーション(攻撃的行動及び発言、非攻撃的行動の亢進、焦燥を伴う言動等)」について、国内にて効能追加申請を行いましたので、お知らせします。現在、日本では本疾患を効能効果に持つ薬剤はなく、承認された場合、ブレクスピプラゾールは本適応を有する初めての治療薬となります。

 アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションは、攻撃的な症状と非攻撃的な症状を含み、国際老年精神医学会において、徘徊や同じ動作の反復などの活動亢進、攻撃的発言または攻撃的行動のうち少なくとも1つ以上の症状からなり、患者さんの日常生活、社会生活、人間関係のいずれかに支障を来した状態と定義されています*1。これらの症状は、アルツハイマー型認知症の患者さんの約半数で認められ*2,3、介護者の負担を重くし、患者さん自身や家族、介護者の生活の質を低下させるとともに、患者さんが家族と同居できず介護施設へ入居せざるを得ない要因の一つとなっています。

 本剤の国内フェーズ3試験では、アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションを有する55歳から90歳の患者さん410名を対象に、ブレクスピプラゾール(1mgまたは2mgを1日1回)を10週間投与し、有効性と安全性をプラセボと比較して評価しました。ブレクスピプラゾールの1mg群および2mg群はプラセボ群と比較し、いずれも主要評価項目であるCMAI*4合計スコアにおいて、統計学的な有意差をもって有効性を示しました。また、臨床全般印象・重症度スコア(CGI-S*5)など、副次評価項目においても、プラセボ群と比較してブレクスピプラゾールの1mg群および2mg群で改善が認められました。本試験においてブレクスピプラゾールは全般的に良好な忍容性を示し、新たな安全性の懸念は認められませんでした。

大塚製薬は、今後も世界中の未解決の医療ニーズを満たすため、革新的な製品をお届けしてまいります。

ブレクスピプラゾールについて

「レキサルティ®(一般名:ブレクスピプラゾール)」は、大塚製薬が創製した独自の薬理作用を有する化合物で、ルンドベック社と共同開発しています。2015年に米国で「成人の大うつ病補助療法」および「成人の統合失調症」の2つの効能で承認され、現在、統合失調症治療薬として、日本を含めた60以上の国・地域で展開しています。2023年5月には、米国で初めてとなる「アルツハイマー型認知症に伴うアジテーション」の治療における効能追加の承認を米国FDAより取得しました。

      

  1. *1Sano M et al. Agitation in cognitive disorders: Progress in the International Psychogeriatric Association consensus clinical and research definition. Int Psychogeriatr. 2023 Mar 7:1-13.
  2. *2Halpern R et al. Using electronic health records to estimate the prevalence of agitation in Alzheimer disease/dementia. Int J Geriatr Psychiatry 2019; 34: 420-431
  3. *3Fillit H et al. Impact of agitation in long-term care residents with dementia in the United States. Int J Geriatr Psychiatry 2021; 36: 1959-1969
  4. *4CMAI :Cohen-Mansfield Agitation Inventory 攻撃的行動と非攻撃的行動を含む29項目のアジテーション症状の出現頻度を7段階で評価する指標
  5. *5CGI-S: Clinical Global Impression-Severity Illness 臨床全般印象・重症度スコア