大塚製薬株式会社

医療関連事業
2024年11月22日

FUS変異による筋萎縮性側索硬化症(ALS)治療薬 
「ウレフネルセン」の 全世界を対象としたライセンス契約締結について

大塚製薬株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:井上眞、以下「大塚製薬」)は、Ionis Pharmaceuticals, Inc. (本社:米国カリフォルニア州、CEO:Brett P. Monia, Ph.D.、以下「アイオニス社」)がFUS(Fused in sarcoma)変異による筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic Lateral Sclerosis: ALS)の治療薬として開発中の「ウレフネルセン(JAN:未取得、INN:ulefnersen、開発コード:ION363)」について、全世界を対象とした独占的製造販売権をアイオニス社から取得するライセンス契約を締結しましたので、お知らせします。アイオニス社からは、欧州および日本を含むアジア地域で開発・販売権を得た遺伝性血管性浮腫発作抑制薬「ドニダロルセン」に続く2品目の導入となります。

筋萎縮性側索硬化症(ALS)とは進行性の神経変性疾患で、四肢の筋力低下、呼吸筋麻痺などを急速に来し、数年で自発呼吸が困難になることもある深刻な病気です。全世界のALS患者数は増加傾向にあり、2040年までには30万人を超えると推測されています。発病の原因はまだ十分に解明されていませんが、これまでに30を超える、ALSを引き起こす遺伝子が見つかっています。FUSは、日本では2番目に多いALSの原因遺伝子として知られています(欧米では3~4番目)。FUSの遺伝子変異によって引き起こされる「FUS-ALS」は、一般的なALSと異なり、発症年齢が40歳前後と若い方に多く、病状の進行が非常に早いことが特徴です。*1,2

本剤は、アイオニス社が創製したアンチセンスオリゴヌクレオチドという核酸医薬です。遺伝子変異により毒性を持った異常なFUSタンパク質が神経に蓄積することで神経変性が生じる「FUS-ALS」に対して、12週間ごとに脊髄注射することで異常なFUSタンパク質の生成を阻害します。現在、日本を含む各国においてアイオニス社がグローバルフェーズ3試験を実施中で、開発に成功すれば、本剤は「FUS-ALS」における世界で初めての治療薬になる可能性があります。

今回の契約締結により、大塚製薬はアイオニス社に対して契約一時金(10百万米ドル)に加え、承認および売上高の達成目標に応じたマイルストンを支払います。全世界における製造および販売は大塚製薬が独占的に実施し、売上高に応じたロイヤルティをアイオニス社に支払います。なお、2025年以降の臨床試験における開発費については、アイオニス社に対してその費用を償還します。

大塚製薬 代表取締役社長 井上眞は、「大塚製薬は、アンメット・メディカル・ニーズに対応するため、世界中で処方されている常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)の治療薬をはじめ、IgA腎症、ループス腎炎、遺伝性血管性浮腫(HAE)、フェニルケトン尿症(PKU)など対象とした希少疾患治療薬のグローバル開発に注力しています。このたびアイオニス社とのさらなる提携により、世界中のFUS変異を伴うALS患者さんの治療に貢献できるよう尽力してまいります」と述べています。

*1 Nature Communications (https://www.nature.com/articles/ncomms12408

*2 Journal of Human Genetics (https://www.nature.com/articles/s10038-022-01055-8)

【アイオニス社の概要】 https://www.ionispharma.com/

会社名 Ionis Pharmaceuticals, Inc.
所在地 2855 Gazelle Court, Carlsbad, CA 92010, USA
代表者 CEO:Brett P. Monia, Ph.D.
事業内容 RNAを標的とした創薬プラットフォームを有し、治療が困難な疾患に取り組むgenetic medicinesの世界的な創薬企業。現在までにSPINRAZA(脊髄性筋萎縮症)、TEGSEDI(遺伝性 ATTRアミロイドーシス)、WAYLIVRA(家族性高カイロミクロン血症)、QALSODY(筋萎縮性側索硬化症)などの承認された核酸医薬を創出しています。