大塚製薬株式会社
新規作用機序を持つ注意欠如・多動症(ADHD)治療薬「センタナファジン」
成人期ADHDにおける実行機能および情動調節の改善を示すフェーズ3試験の事後解析結果を米国臨床精神薬理学会(ASCP)年次総会にて発表
大塚製薬株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:井上 眞、以下「大塚製薬」)および米国子会社のOtsuka Pharmaceutical Development & Commercialization, Inc.(所在地:米国ニュージャージー州・プリンストン、以下「OPDC」)は、成人期の注意欠如・多動症(ADHD)を対象に、開発中の新規ノルアドレナリン・ドパミン・セロトニン再取り込み阻害薬(NDSRI: norepinephrine, dopamine and serotonin reuptake inhibitor)である「センタナファジン(INN: centanafadine、開発コード: EB-1020)」を評価したフェーズ3試験について、新たな事後的かつ探索的な解析結果を発表しましたので、お知らせします。センタナファジンは現在、米国において承認審査が進行中であり、米国食品医薬品局(FDA)による優先審査の指定を受け、審査終了目標日(PDUFA date)は2026年7月24日に設定されています。
本データは、2026年米国臨床精神薬理学会(ASCP:American Society of Clinical Psychopharmacology)年次総会において発表されたもので、センタナファジンはADHD患者さんの中核症状の改善に加え、「実行機能障害」および「情動調節不全」といった、臨床的に重要でありながら見過ごされやすく、患者さんの負担に大きく影響する周辺症状においても、統計学的に有意な改善を示しました1。今回の事後解析結果は、成人ADHDを対象としたセンタナファジンのフェーズ3試験において、これまでに示されている良好な結果をさらに裏付けるものです。
センタナファジンは成人のADHD患者を対象とした2つのフェーズ3試験(NCT03605680、NCT03605836)において、中核症状である「多動性・衝動性」および「不注意」に対して統計学的に有意な改善を示しました。さらに、744例の成人が含まれる本フェーズ3試験の事後解析(センタナファジン200mg群 n=242、センタナファジン400mg群 n=241、プラセボ群 n=261)において、センタナファジンを投与された成人期のADHD患者は、自己記入式症状評価尺度(ASRS:Adult ADHD Self-Report Scale)拡張版の実行機能サブスケールによる評価で、実行機能の各指標において、プラセボと比較して統計学的に有意な改善を示しました。投与6週時点で、センタナファジン群はプラセボ群と比較して、患者自身の評価によりベースラインからの改善が確認されました。時間管理、計画立案および優先順位付け、タスクの開始と完遂、作業記憶といった面を含め、実行機能が改善していることが示されました。
また、センタナファジンは成人期ADHD患者においてプラセボと比較して、情動調節の改善も示しました。投与6週時点におけるASRSの情動調節サブスケールの評価では、情動過活動、感情の不安定性、怒りの爆発といった項目を含め、情動調節に関する各項目の改善が認められました。これらの解析では、中核症状に加え、実行機能や情動調節といった未充足のニーズが高い周辺症状の改善も示されており、患者さんの報告によって幅広い症状におけるセンタナファジンの特性がより明確になります。
ニューヨーク大学ランゴーン医療センターの成人期ADHDプログラムディレクターであり、本試験の治験責任医師であるLenard A. Adler医師は「実行機能障害や情動調節不全は、多くの成人期のADHD患者さんにとって最も対処が難しい症状であり、既存の治療では適切に対応できていないことがあります。本解析結果が示すように、中核症状と周辺症状の改善は、患者さんごとに症状の現れ方が多様であり、疾患の幅広い側面に対応する治療アプローチが求められる成人期ADHDの治療において重要な視点です」と述べています。
OPDCの上級副社長兼医学責任者John Krausは、「今回発表された成人期における結果は、小児期および思春期を対象としたこれまでの研究結果を補完するものであり、センタナファジンの臨床プロファイルに関する新たな知見を提供するとともに、ADHDに対してより包括的に対応できる可能性を改めて示すものです。実行機能や情動調節といった、ADHDの診療における未充足ニーズが高い周辺症状の改善を示すデータは、ファースト・イン・クラスのNDSRIとしてのセンタナファジンの臨床プロファイルへの理解をさらに深めるものです。これは成人のADHD患者さんが抱える、より広範な症状に対応する治療アプローチの推進に向けた、当社の取り組みを反映するものです。」と述べています。
成人対象の主要フェーズ3試験 (NCT03605680、NCT03605836)について
18〜55歳のADHD患者を対象にセンタナファジン徐放性製剤の有効性、安全性、忍容性を評価する無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験です。患者は6週間にわたり、センタナファジン200mg/日群、400mg/日群、またはプラセボ群に割り付けられました。主要評価項目は、6週時点における「ADHD症状評価スケール(AISRS)」総スコアのベースラインからの変化量でした。センタナファジン両用量群ともに、プラセボ群と比較して統計学的に有意かつ臨床的に意味のある症状改善を示しました。センタナファジンの安全性・忍容性プロファイルは良好で、乱用や依存のリスクが低いことが示されました。主な有害事象は食欲減退と頭痛でした3。
注意欠如・多動症(ADHD)について
ADHDは、主に「多動性・衝動性」「不注意」を特徴とする慢性的な神経発達症(発達障害)の一種です2。米国では18歳未満の約700万人の子どもと、推定1,550万人の成人がADHDを有していると米疾病予防管理センター(CDC:Centers for Disease Control and Prevention)は報告しています3,4。
センタナファジンについて
センタナファジンは、ノルアドレナリン、ドパミン、セロトニンの再取り込みを阻害するというADHD治療における新しい作用機序を有する薬剤です。臨床試験において、センタナファジンの安全性・忍容性プロファイルは良好、児童、青少年、成人のADHD中核症状を有意に低減することが示されています。また、臨床データから、センタナファジンは良好な安全性および忍容性プロファイルを示すとともに、乱用の可能性が低いことが示唆されています。
大塚製薬について
大塚製薬は、一人ひとりの可能性に向き合うトータルヘルスケアカンパニーです。"Otsuka-people creating new products for better health worldwide"の企業理念のもと、未充足の医療ニーズに新たな価値を提供する医療関連事業と、科学的根拠をもった独創的な製品やサービスにより日々の健康維持・増進をサポートするニュートラシューティカルズ関連事業を通じて、人々のウェルビーイングの実現に向けて取り組んでいます。 詳細はコーポレートサイト www.otsuka.co.jp をご覧ください。
- 1. Van Stralen, J. Emotional dysregulation in children with attention-deficit/ hyperactivity disorder. DOI 10.1007/s12402-016-0199-0.
- 2. American Psychiatric Association (2022). Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders (5th ed., text rev).
3. Staley, Brook S, et al. Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder Diagnosis, Treatment, and Telehealth Use in Adults -- National Center for Health Statistics Rapid Surveys System, United States, October-November 2023. US Centers for Disease Control and Prevention.
4. Data and Statistics on ADHD. Attention-Deficit/ Hyperactivity Disorder (ADHD). November 19. 2024. U.S. Centers for Disease Control and Prevention. https://www.cdc.gov/adhd/data/index.htm