大塚製薬株式会社

医療関連事業
2026年6月25日

新規作用機序を持つ注意欠如・多動症(ADHD)治療薬「センタナファジン」
不安症を併発する成人ADHD患者を対象としたフェーズ3b試験の良好な結果について

大塚製薬株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:井上 眞、以下「大塚製薬」)および米国子会社のOtsuka Pharmaceutical Development & Commercialization, Inc.(所在地:米国ニュージャージー州・プリンストン、以下「OPDC」)は、不安症を併発する成人の注意欠如・多動症(ADHD)患者さんを対象に1日1回投与製剤「センタナファジン(INN: centanafadine、開発コード: EB-1020)」のフェーズ3b試験*(NCT06973577)において、良好な試験結果を得ましたのでお知らせします。なお成人ADHD患者さんの最大50%が不安症を併発していると報告されており、ADHD治療の課題の一つとなっています。

本フェーズ3b試験は、18~65歳の不安症を併発するADHD患者を対象にセンタナファジン徐放性製剤の有効性、安全性、忍容性を評価する無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験です。患者はセンタナファジン280mg/日群とプラセボ群に割り付けられ、8週間にわたり投与を受けました。
主要評価項目は、投与8週時点における ADHD症状評価スケール「Adult Investigator Symptom Rating Scale(AISRS)」総スコアのベースラインからの変化量で、センタナファジン群はプラセボ群と比較し、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示しました[最小二乗平均値変化量(ベースラインからの変化):センタナファジン群 -18.5、プラセボ群 -12.6、群間差 -5.87、p<0.0001]。統計学的有意差はベースライン後の最初の評価時点である1週時点から認められ、8週間の試験期間を通じて維持されました。
また併発する不安症状についても、主要副次評価項目である「ハミルトン不安評価尺度(HAM-A)」総スコアのベースラインからの変化量において、8週時点でプラセボ群と比較して統計学的に有意な改善が認められました[最小二乗平均値変化量(ベースラインからの変化):センタナファジン群 -12.5、プラセボ群 -10.6、群間差 -1.92、p=0.02]。

センタナファジンで最も頻繁に認められた有害事象(5%超かつプラセボより多く認められたもの)は、悪心、食欲減退、下痢、不眠、口渇、および嘔吐でした。 ADHDと不安症を併発する患者集団におけるセンタナファジンの安全性と忍容性プロファイルは,これまでに報告されているものと一貫していました。これらの結果は、ADHDの中核症状の改善に対するセンタナファジンの有効性を支持する科学的エビデンスをさらに拡充するものです。

大塚製薬が開発するセンタナファジンは、ノルアドレナリン、ドパミン、セロトニンの再取り込みを阻害する新規作用機序(NDSRI:norepinephrine, dopamine and serotonin reuptake inhibitor)を有するADHD治療薬です。現在、児童、青少年、成人を対象としたADHD治療薬として米国において承認審査が進行中です。米国食品医薬品局(FDA)による優先審査の指定を受け、審査終了目標日(PDUFA date)は2026年7月24日に設定されています。

OPDCの上級副社長兼医学責任者John Krausは、「不安症を併発されている成人 ADHD患者さんは非常に多く、またその治療が難しいとされています。本試験結果は、センタナファジンの臨床プロファイルに関する新たな知見を提供するとともに、不安症併発など多様な背景を持つ成人ADHD患者さんにおける本剤の有効性を支持するエビデンスをさらに強化するものです」と述べています。

* フェーズ3b試験: 実臨床に近いデータの収集・補完を目的として承認申請前後に実施される臨床試験

  

フェーズ3b試験(NCT06973577について

本試験は、ADHDに加え全般性不安症(GAD)および/または社交不安症(SAD)を併発する18~65歳の成人患者315例を対象とした無作為化二重盲検プラセボ対照フェーズ3b試験です。主要評価項目は、プラセボ群と比較した8週時点における ADHD症状評価スケール「Adult Investigator Symptom Rating Scale(AISRS)」総スコアのベースラインからの変化量でした。主な副次評価項目には、ベースラインからの「ハミルトン不安評価尺度(HAM-A)」総スコアの変化が含まれました。その他の副次評価項目としては、ADHDの関連症状に関する指標が評価されました。

注意欠如・多動症(ADHD)および不安症について

ADHDは、主に「不注意」「多動性・衝動性」を特徴とする慢性的な神経発達症(発達障害)の一種です1。米国では約700万人の子どもと、推定約1,550万人の成人がADHDを有していると米疾病予防管理センター(CDC:Centers for Disease Control and Prevention)は報告しています2,3。成人ADHD患者さんの最大50%が不安症を併発しており、これらの患者さんでは入院率、自殺傾向、精神病症状の発現率が高いことが報告されています4-6。不安症を併発する患者さんは、臨床症状がより重く、職業面での達成度が低いほか、生活の質の低下を経験することがあります6,7

センタナファジンについて

センタナファジンは、ノルアドレナリン、ドパミン、セロトニンの再取り込みを阻害(NDSRI)するというADHD治療における新しい作用機序を有する薬剤です。臨床試験において、センタナファジンは児童、青少年、成人のADHD中核症状を有意に低減することが示されています。また、追加の臨床解析では、ADHDの周辺症状の改善も示されています。臨床データから、センタナファジンは良好な安全性および忍容性プロファイルを示すとともに、乱用の可能性が低いことが示唆されています。主な有害事象としては、食欲減退と頭痛が報告されています。

大塚製薬について

大塚製薬は、一人ひとりの可能性に向き合うトータルヘルスケアカンパニーです。"Otsuka-people creating new products for better health worldwide"の企業理念のもと、未充足の医療ニーズに新たな価値を提供する医療関連事業と、科学的根拠をもった独創的な製品やサービスにより日々の健康維持・増進をサポートするニュートラシューティカルズ関連事業を通じて、人々のウェルビーイングの実現に向けて取り組んでいます。 詳細はコーポレートサイト www.otsuka.co.jp をご覧ください。

  • 1. American Psychiatric Association (2022). Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders (5th ed., text rev).

    2. Staley, Brook S, et al. Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder Diagnosis, Treatment, and Telehealth Use in Adults -- National Center for Health Statistics Rapid Surveys System, United States, October- November 2023. US Centers for Disease Control and Prevention.

    3. Data and Statistics on ADHD. Attention-Deficit/ Hyperactivity Disorder (ADHD). November 19. 2024. U.S. Centers for Disease Control and Prevention. https://www.cdc.gov/adhd/data/index.html

    4. Fu X, Wu W, Wu Y, Liu X, Liang W, Wu R, Li Y. Adult ADHD and comorbid anxiety and depressive disorders: a review of etiology and treatment. Front Psychiatry. 2025 Jun 6;16:1597559. doi: 10.3389/fpsyt.2025.1597559. PMID: 40547117; PMCID: PMC12179154.

    5. León-Barriera R, Ortegon RS, Chaplin MM, Modesto-Lowe V. Treating ADHD and comorbid anxiety in children: a guide for clinical practice. Clin Pediatr (Phila). 2023;62(1):39-46. doi:10.1177/00099228221111246

    6. Quenneville AF, Kalogeropoulou E, Nicastro R, Weibel S, Chanut F, Perroud N. Anxiety disorders in adult ADHD: a frequent comorbidity and a risk factor for externalizing problems. Psychiatry Res. 2022;310:114423. doi:10.1016/j.psychres.2022.114423

    7. Katzman MA, Bilkey TS, Chokka PR, Fallu A, Klassen LJ. Adult ADHD and comorbid disorders: clinical implications of a dimensional approach. BMC Psychiatry. 2017;17(1):302. doi:10.1186/s12888-017-1463-3