肝硬変の栄養療法の考えかた

肝臓病の原因はいろいろとある

肝臓病の3大原因は、ウイルス、アルコール、肥満(生活習慣)

ウイルス

日本にはB型肝炎ウイルス感染者が約150万人、C型肝炎ウイルス感染者が約200万人います。B型やC型の肝炎ウイルスは血液を介して肝臓に感染します。B型肝炎ウイルスは出産時に母から子へも感染しますが、現在では輸血血液のチェックやワクチンなどのお蔭で、感染を防げるようになりました。またC型肝炎ウイルスについても、輸血血液のチェックがなされているので感染するリスクは極めて少なくなりました。

アルコール

お酒に含まれるアルコールは、肝臓で無毒化されます。お酒を大量に飲めば、それだけ肝臓に大きな負担がかかります。また、アルコールは水に溶け、脂肪を溶かし、蛋白を変性させる働きがあるので体の細胞を直接害します。さらに肝臓ではアルコールが代謝されてできる毒性の強いアセトアルデヒドによって障害が強まり、肝臓の線維化(せんいか)が引き起こされます。

肥満(生活習慣)

最近は食べ過ぎや運動不足による肥満が増えていますが、肥満者の約80%に脂肪肝がみられます。また肥満や糖尿病の人に起こる炎症や線維化を伴って肝硬変へ進行する脂肪肝(非アルコール性脂肪肝炎:NASH)も知られてきました。生活習慣を見直さずして肝臓の機能が改善することはありませんので、とにかく生活改善を実践することが大切です。

慢性肝炎から肝硬変、そして肝がん

ウイルスに感染して慢性肝炎になりますと、その後20年近くかけ肝炎が進行していき、肝硬変へと進みます。アルコール性肝障害でも、飲酒を続けるとやがて炎症を起こして肝線維症や肝硬変になります。
さらに肝硬変を放っておくと、肝硬変の原因が何であれ、肝臓がんへと進展してしまうのです。早期から肝臓病の治療や栄養療法をはじめましょう。

※1日に摂取する蛋白質やエネルギーについては、医師、薬剤師、栄養士にご相談ください。