結核 - 古くて新しい病気

結核の感染経路と意外な感染場所

換気の悪い狭い場所は要注意

結核菌は、人が「咳」をすることで空気中に撒き散らされ、空中でふわふわ浮いているのを他の人が吸い込むことによって感染します(空気感染飛沫核感染)。手を握る、同じ食器を使う、などで感染することはありません。

空調換気の悪い狭い場所などは、結核菌の飛沫が長く滞留するため、感染源になる人が目の前にいなくても、知らないうちに感染してしまう事例もあります。

大都市は、多くの人が集団生活をするので、もともと感染のリスクが高いところです。また、ホームレスをはじめ健康管理に恵まれない人たちや、結核の多い国の出身の外国人労働者や学生などがますます多くなっているため、大都市と農村部に結核まん延の格差があります(図6)。

図6 いくつかの都市県の全結核罹患率の推移

結核になりやすい条件があります

  • 乳幼児期や思春期
    免疫力の弱い乳幼児は感染すると発病しやすく、重症化しやすいので注意が必要です。
  • ストレス
    ストレスや不規則な生活は発病につながりやすいといわれています。
  • 男女差
    中年以前では明らかな性差はありませんが、中年以降は男性の方が顕著に多くなっています。
  • 糖尿病や胃潰瘍など
    糖尿病や胃潰瘍、胃の切除をしたことがある人は、結核を発病しやすいことが知られています。そのほか、塵肺、腸のバイパス手術、人工透析を受けている人、血友病の人なども発病しやすいといわれています。
  • 副腎皮質ホルモン剤、生物学的製剤
    喘息や膠原病、癌などに使われる副腎皮質ホルモン剤(ステロイド剤)や抗癌剤は免疫を抑えるため、結核発病率が高まります。また、関節リウマチなどの治療薬として最近注目されている「TNFα阻害剤」などの生物学的製剤を使っている人も結核の発病率が高くなっていることが世界的に認められています。
  • エイズ、HIV感染
    アフリカや一部のアジアの国々ではHIV感染、エイズ発病により免疫が低下することにより結核が増加して深刻な問題になっています。
  • 遺伝素因
    結核に対する抵抗力は部分的には遺伝的に決められているということが徐々に解明されてきています。
  • タバコ、その他
    喫煙者、以前に結核を経験した人、BCG接種歴がなくてツベルクリン反応が陽性の人、最近身近に結核にかかった人がいる、などの場合は発病のリスクが高くなります。